好事家の世迷言。

調べたがり屋の生存報告。シティーハンターとADV全般の話題が主。※只今、家族の介護問題が発生中です。あしからず。

星新一ショートショート再読。(その34)

2023-06-04 | 星新一ショートショート
『肩の上の秘書』
新潮文庫、番号34、『ボッコちゃん』収録。

本作のタイトルにあるアイテムは、個人的にちょっと欲しいなと思ってしまう時がある。
人々が連れ歩くオウム型ロボット。
何と、自分が小声でつぶやいた言葉を聞き取り、礼儀正しく丁寧表現で言い直してくれる代物。
そして逆に、相手の婉曲な表現を、分かりやすく教えてくれるというとんでもない代物。
つまり人々は、対外的には全部オウムを通して“会話”しているわけだ。
ぶっちゃけ、今時のAIに音声認識を付けた物に近い。

そんな世界で主人公は、ビジネスでは客や上司と、互いにオウムを駆使して“会話”する一方、オフの時間になればオウムを外し、酒場で(オウム付きの)女性と、本当の意味での会話を楽しむ。
(因みに主人公の名前はゼーム氏。エヌ氏ではない)

本作から読み取れる事は多い。
人々が付き合いで交わしている“会話”には、実のところ意味はない事。
付き合いの中で、人は自らは出来るだけ単純な連絡を求め、相手には逆にやわらかい表現を求める事。
その両方の要素のバランスが大切で、とても難しい事。などなど。

ところで本作の世界では、このオウムは手放せないインフラと化しているだろう。
万一、オウム達が壊れたらどうなるか。
そもそもオウムが相手の話を「まとめる」時点で少なからず危なっかしい。
もしオウムが勝手に余計な推測を加えて“会話”し始めたら大変。
下手すると、人間には理解できない言語でオウムだけが“会話”してるなんて事態になったりして。
先の想像も、興味深くも恐ろしい話である。

それでは。また次回。

この記事についてブログを書く
« ジャンプ(26号)私的雑感。 | トップ | 『ファイアーエムブレム風花... »

星新一ショートショート」カテゴリの最新記事