『よごれた本』
新潮文庫、番号46、『ボッコちゃん』収録。
「人外召喚」の内、「悪魔」モチーフのパターン。
星作品では非常に多い印象。
人と悪魔と、互いに言葉尻を取り合う屁理屈合戦ぶりが、星作品の気質に合うのだろう。
今回登場する悪魔は、他のショートショートと比べ、相当に強かだ。
例えば最初に紹介した『悪魔』の悪魔は最終的に人間をゲットしているが、それは人間が欲に飽かせた結果論。
それが本作では、人間の望みなんざ何も叶えるつもりがない。
最初から食らう気まんまんである。
そんな悪魔も、後の話では逆にしてやられる率が上がっていったはず。
読み返すのが楽しみだ。
ところで、こういう話で、本の指示に従って、まず日常では手に入らないだろう風変わりな素材を一通り集める下りが毎度さらっと出てくるが、皆さん一体どんなツテで手に入れてるんだろうか。
これも或る種の才能では?
それでは。また次回。