桜の木

日常のあれこれ
お出掛けや、ちょっとだけ演劇の事など

記事に想いを馳せて

2018年11月08日 | 演劇
朝食の後片付けと洗濯を済ませ、ほっと一息、珈琲を飲みながら新聞に目を通した。
我が家は日経と読売を購読しているのだが、私が開くのは専ら読売。

その記事の中に「ぷらざ」というコーナーがある。
朝から仕事で忙しかった為、読んでなかった昨日の新聞に、数年前の自分を彷彿とさせる文面が掲載されていた。

記事の内容を集約すると、
「子どもの役員で親しくなったママ友が、都内のコンサートホールでピアノリサイタルを開き、ブルーのドレスに身を包みステージの中央で光り輝いていた。彼女は血の滲むような努力をされてきたのだろうが、両親を見送り、息子の就活も終え、これで自分はやりきったと思っていたが、私はここ数年、何をしていたのだろう。人生100年時代、また何かに挑戦したいと思った。きっかけをくれた友人に感謝しつつ、久しぶりにワクワクした気分になった」というものだった。

私も体調を崩し、ようやく快方に向かった頃、たまたま父の大学の後輩の方から誘われた演劇に、私もお供させてもらった。
開演までの間、近日開催されるクラシックコンサートや演劇のパンフレットの中に、見覚えのある顔と名前があった。
それは息子の就学前のママ友。
彼女は音大の声楽科を出た後、自宅でピアノ教師をさていたが、たまたまお宅にお邪魔してお茶を頂いた時に、

「いつか声楽の仕事に就きたい。
まだ、子どもが幼いから、自宅でできるピアノ教室をやっているけど、でも、やりたい…」と。

その後、子どもの通う学校もお互い離れていた為、自然と疎遠になってしまったが、
彼女だった。
間違いなくパンフレットに紹介されている声楽家は彼女だ。
あれから15年以上会っていなかったが
あの時の夢を実現したんだ!凄い!

ふと、私は…と思った瞬間
なにをやっていたのだろう…
新聞の記事の彼女と似たような気持ちになった。いや、両親は健在だし、まだまだやりきったなんて言えるようなこともしていない私だが…

そうこうしている間に時間が経ち
演劇が開演される時となった。
とても感動した。
とても感動して涙が止まらなくなった。

自宅に戻り、演劇のパンフレットの中に劇団の募集とオーデイションの案内が掲載されていた。

これだ!
ダメ元でやってみよう…と。

そして、オーデイション。
演出家の女性に
「あなた、楽に声出してるでしょ?」と言われた。
𠮟咤されたのかと思った。
彼女は続けて「ノーマイクでやる私たちには、通る声というのは、武器になる。」
そう言われて、まさかの合格。
今年で、出演する定期公演が3度目となる。
昼の部、夕の部の2公演となるので、舞台には6度立つことになる。

そのきっかけを作ってくれたのは彼女。
彼女の姿を見てなかったら、こうして舞台に自分が立つなんてあり得なかったし、それ以前に、オーデイションを受けるなんて考えもしなかっただろう。

あの時の、あの日に、彼女のリサイタルの事を知らなかったら…
そう思うと、それはママ友からのプレゼントだったのだと思う。
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