時々母との記憶を手繰り寄せる様に
そしてそれを懐かしく思い出す
ハンカチを選んでいた時の事
数枚並べて迷っていた私
すぐ側に母を感じ
「どれが良い?」と聞くと
手がにゅ〜と伸びてきた
「これかしら」と‥‥母とは明らかに違う声
驚いて隣を見ると見知らぬ女性
「ごめんなさいね!これが素敵と思って」と続けて言われ
私は何て言ったのか覚えていないのだけど
多分母と間違えた事、
また、選んでくださった事に、お詫びとお礼を言った様な‥‥
母が会話に気付き、母と同年代であろうその女性と2人で
和やかに言葉を交わしていた
「お嬢さんとお買い物で良いですね」みたいな‥‥
今は私が同年代の母娘2人の買い物姿を見ては
羨ましくて目で追ってしまう
母はいつも人に囲まれていた
おおらかで誰にでも優しく
娘の私が言うのは烏滸がましいが
女優さんの様に美しくて
自慢の母だった
最近特に思う
今の私になんて声を掛けてくれるだろうか
多分「りこちゃをは、間違ってないよ!」って
『そうだよね、お母さん!』