老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

10/24学習会「特定秘密保護法案が狙うもの」(1)

2013-10-26 13:29:44 | 秘密保護法案
10月24日に行われた学習会「サロン・ド・朔」は、弁護士の坂本雅弥さんにお越いただき、「特定秘密保護法案」をテーマにお話していただきましたが、安倍政権が今国会成立を目指す「秘密保護法案」の全容を理解し、その危険性を知る上で、とても有意義で貴重な機会となりました。

「秘密保護法案」については、ここにきて、憲法学者、日弁連、日本ペンクラブ、国会議員有志、一般市民などの間から、強い反対の声が湧き上がっていますが、政府はあくまでも今国会中に成立させる姿勢を崩してはいません。

国会内では衆参ともに与党が圧倒的多数の「ねじれ解消」状態となっていますが、国民の意志との捩れは深まるばかりです。現政権が、数の力で当法案を強引に成立させるか否かは、私たち国民の今からの意志表示に掛かっているといっても過言ではありません。

事態は緊迫しています。でも、まだ間に合います。講師・坂本雅弥弁護士さんのお話概要をここに紹介しますので、是非ご一読いただき、この問題を自分自身の問題として考えていただければ、幸いです。

★☆10/24学習会「特定秘密保護法案が狙うもの」(概要)☆★

●これまでの経緯とスケジュール

【経緯】

2000年(自民党政権)、アーミテージ元国務副長官が日本に対し、秘密保護の法整備を要求。これを受けて、2004年~05年、日本は法整備を提言する有識者報告書を作成。2005年、2プラス2で「秘密保護の追加的措置」を合意。2007年軍事情報包括保護協定(GSOMIA)で、アメリカは日本に提供した秘密軍事情報について、アメリカと同等の保護を求める。

2010年11月(民主党政権)に起きた尖閣諸島沖での中国漁船と海上保安庁巡視船の衝突事故のビデオ流出をきっかけに、2011年1月に「秘密保全のための法制の在り方に関する有識者会議」を設置。同年8月に有識者会議が政府に提出した報告書が、今の「特定秘密保護法案」の基礎となっている。2011年10月、2012年、政府(民主党政権)は、法案提出を表明するものの、提出するに至らなかった。

2013年4月(自民党政権)、安倍首相が法案提出を国会で明言。同年5月、日米2プラス2で、アメリカは日本の法案提出に向けた取り組みを「歓迎」。

2013年9月3日、内閣官房が法案の内容を明らかにし、9月3日~17日、パブリックコメントを募集。

【今国会スケジュール】

10月25日に法案の閣議決定・国会提出、11月5日~15日に特別委員会審議をし、15日に委員会採択→本会議採択→参議院送付、11月18日に参議院審議を行い、12月6日の会期末までの成立を目指している。

●法案が規定する目的と必要性

【目的】
法案では「我が国の安全保障に関する情報のうち特に秘匿することが必要であるものについて、(略)その漏えいの防止を図り、もって我が国及び国民の安全の確保に資することを目的とする。」(第一条)としている。
しかし、実体は「情報を国が管理する」ことにねらいがあり、国民の利益とは相容れない。(問題点参照)

【必要性】

有識者会議の報告書では、過去の4件の情報漏えい事件(*以下のとおり)を法案の必要性(立法事実)を裏づけするものとしてあげている。
ボガチョンコフ事件
② 内閣情報調査室職員による情報漏えい事件
③ 尖閣諸島漁船衝突事件の映像流出事件
④ 国際テロ対策に係るデータのインターネット上の掲出事案

①は懲役10ヶ月の実刑になったが、その後再発防止のための対策はとられた。②③は不起訴処分。いずれの案件も現行の国家公務員法(守秘義務)や自衛隊法96条2-1(秘密条項)で対処できる。④は日本では深刻な国際テロの被害にあったことはない。よって、法案の立法事実は認められない。

(続く・・・)

「護憲+BBS」「イベントの紹介」より
笹井明子
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

10/24学習会「特定秘密保護法案が狙うもの」(2)

2013-10-26 13:27:11 | 秘密保護法案
●問題点

(1)「国家秘密」と「国民の利益」

「国家秘密」が「国民の利益」と相容れないことは、戦前の治安維持法、軍事機密方、国防安保法などで実証済み。
近年では、日米同盟・沖縄密約や原発事故後のSPEEDIの取り扱いなど、国が持っている情報を秘匿することで国民の知る権利を侵害し、不利益をもたらしている。

(2)「特別秘密」に指定する分野

「防衛に関する事項」、「外交に関する事項」、「特定有害活動の防止に関する事項」、「テロリズムの防止に関する事項」と多岐に亘り、あらゆる重要情報が該当しうる。
また「秘密」の範囲が広範で不明確。
秘密にするかどうかは、情報を保有する「行政機関の長」とされており、憲法が「国の最高機関」と定めた「国会」による行政機関の監視機能をも空洞化させる。

(3)処罰対象範囲の拡大と重罰化

【範囲の拡大】
故意による漏えい、特定秘密の取得行為、過失による漏えい行為、漏えい行為の未遂、漏えい行為及び特定秘密の取得の「共謀」、「教唆」及び「扇動」を処罰対象としている。

【重罰化】
最高で懲役10年。(現行の自衛隊法は「5年以下の懲役」、国家公務員法では「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」と規定。)
こうしたことによる報道機関の萎縮効果は甚大で、国にとって都合の良い情報しか出てこなくなる可能性が今以上に高まる。

(4)適正評価制度

【適正評価制度とは】
秘密情報を取り扱わせようとする者について、日頃の行いや取り巻く環境などを調査し、秘密情報を取り扱う適正を有するかを判断する制度。

【調査事項】
「特定有害活動」「犯罪等の経歴」「情報取り扱いに係る非違」「薬物、飲酒」「精神疾患」「信用状態、経済状況」などが調査事項となり、プライバシーの侵害や思想差別につながる。

●政府が秘密保護法の成立を目指すわけ

(1)立憲主義の解体

立憲主義とは、「人は生まれながらの自由と人権を持っている。これは不可侵のものである」として、基本的人権を尊重し、国家がこれを侵害することのないように、憲法でその手を縛るという原理、原則。「秘密保護法」は日本国憲法の立憲主義を否定する「自民党改憲草案」と一体となって、基本的人権を「公益(国益)」と「公の秩序(国の秩序)」に従属させようとしている。

(2)日米関係の強化、軍事同盟の深化

これまでの【経緯】でも明らかなように、「秘密保護法」はアメリカからの要請に基づくものであり、集団的自衛権の行使、国家安全保障法案(日本版NSC)と共に、日本がアメリカと共に戦争するための基盤整備との意味合いが強い。 

※参照資料:
特定秘密保護法案(最終案)全文
http://www.asahi.com/articles/TKY201310250345.html

「護憲+BBS」「イベントの紹介」より
笹井明子
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする