シリア軍は30日、北部の要衝アレッポに押し寄せたイスラム主義の反体制派「シャーム解放機構(HTS、旧ヌスラ戦線)」が主導する大規模な攻撃で数十人の兵士が死亡したと発表した。
ロシアの通信社によると、同国の国防省はシリア軍を支援するため反体制派への攻撃を行ったと発表。ロシアはシリアのアサド政権を支援している。
シリア軍司令部は、反体制派がアレッポの大部分に侵入したと認めた。反体制派はアレッポの空港も掌握したとしている。
HTSは米国、ロシア、トルコなどの国によってテロリスト集団に指定されている。
米ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)は状況を注視しており、地域の関係国と連絡を取り合っていると説明した。
ショーン・サベット報道官は、シリアが政治的プロセスへの関与を拒否し、ロシアとイランに依存していることが「シリア北西部におけるアサド体制ラインの崩壊を含め、現在展開されている状況をつくり出した」とした上で、米国は「指定されたテロ組織」が主導する攻撃とは無関係であり、「緊張の緩和と、真剣かつ信頼できる政治的プロセス」を求めていると述べた。
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しかし、それは政権の勝利という幻想であり、反体制派によって粉々に打ち砕かれた。今回の攻撃を主導したのは過激派組織「シャーム解放委員会」(HTS、旧ヌスラ戦線)で、イドリブ県で攻撃を開始し、わずか72時間でアレッポ市の中心部まで攻め入ることに成功した。
11月30日の夜までに、SNSのシリアのアカウントは政府軍が北部全域で崩壊し、反体制派が中部のハマ市にまで前進していることを伝えていた。同地では1982年初めに、ハフェズ氏が、軍隊と情報機関を使って反政府勢力の数千人を殺害した。イスラム組織「ムスリム同胞団」が主導した反政府活動を終結させたのがハマ市だった。
なぜ、わずか数日で、ダムが決壊したのだろうか。
明白な原因としては、主要な同盟国であるロシアやイラン、ヒズボラがいずれも圧力に直面して警戒を緩めたということだ。
ヒズボラは内戦の暗黒時代に政権を強化するうえで重要な役割を果たした。しかし、昨年10月のイスラム組織ハマスによるイスラエルへの奇襲以降、イスラエルと戦うために部隊の大部分を撤退させた。さらにイスラエルによる攻撃で、組織の幹部の多くが死亡した。
ロシアもシリア政府を支えるうえで重要な役割を果たした。ロシアは2015年9月にシリアに軍隊や戦闘機を派遣していた。しかし、今、ロシア政府にとって最も優先度が高いのはウクライナでの戦争だ。
最後にイランだが、シリアにいる軍事顧問や基地はこの1年間、イスラエルによる攻撃を繰り返し受けている。
さらにその先には、寿命という基本的な現実がある。アサド王朝は1971年以来、53年にわたり権力を握り続けている。生き残ったというだけでも立派だが、それ以外に目を向けるようなものはほとんどない。
2011年に内戦が勃発する以前から、汚職と管理不行き届きが蔓延(まんえん)して、経済にとっての重荷となっていた。その後も、平均的なシリア人の暮らしは悪化の一途をたどっている。内戦によって数十万人が死亡したほか、数百万人が国内での避難や亡命を余儀なくされている。
1971年以来、アサド王朝は何度も国内外の試練を乗り越え、生き延びてきた。しかし、政権も指導者も、永遠に続くものはない。すべてはやがて終わりを迎える。
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シリアの反政府勢力がここ数年で最大の攻撃を開始し、シリア内戦が大きな転換点を迎えた。シリア主要都市であるアレッポがあっという間に陥落した。
シリアは南部のダマスカスが首都だが、北部のアレッポは南部にある首都ダマスカスに次ぐ第二の都市で、日本でイメージすれば、大阪があっという間に制圧されたという感じだ。 そんな重要都市を取られようとしているのに、アサド政権の政府軍はほとんど抵抗らしい抵抗を行わずに逃げ出した。
日本のメディアでは、シリア北部だけでなく、シリア中部においても反政府勢力が攻勢を強めていると報じられているが、現実には反政府勢力の攻勢はもっと進んでいる。
政府軍の最重要拠点であるシリア南部の首都ダマスカスにおいてでさえ、すでに激しい銃撃戦が繰り広げられているのだ。
主流派メディアは報じていないが、すでにアサド大統領がモスクワに脱出したという情報が出ている。私はこれは確実だと見ていいのではないかと考えている。
というのは、ロシア大統領府のペスコフ報道官がアサド大統領がモスクワに予定外の訪問を行ったという未確認の報道について、コメントすることを拒否したからだ。公式には認められないけれども、否定もできないということではないだろうか。
アサド支持派の情報筋は、アサド大統領のモスクワ訪問はシリアの復興投資について話し合うためだと伝えているが、それを真に受けることはできない。もしそうであるなら、ペスコフ報道官はそのように話せばよかったのではないか。
今回のアサド大統領のモスクワ訪問には、アサド大統領が単独で乗り込んだのではなく、親族全員も一緒にモスクワに連れてきたと伝えられている。政権崩壊の可能性を察知して、アサド一族が安全のために逃げ出したと見るべきである。
今回、反体制派が一気に攻勢をかけたのは、プーチンがカザフスタンを訪問し、ベロウソフ国防大臣が北朝鮮に向かっているタイミングであった。
反体制派はロシア政府側の動きを見たうえで、迅速な対応がロシアにはできないことを見越したうえで、こうした攻勢を行ったと見ればよいだろう。
ところでシリアはロシアにとって死活的に重要な戦略的な要衝である。
シリアの南東側にはイラク、クウェート、サウジアラビア、カタールなどの石油・天然ガスの重要な産出国がある。そしてシリアより北西側にはトルコがあり、さらにその西側にはヨーロッパ諸国が広がっている。
仮に南東側の石油・天然ガスの重要な産出国と、北西側のヨーロッパ諸国を結ぶパイプラインが建設されると、中東の石油・天然ガスが極めて安価にヨーロッパに供給されることになり、そうなると自国の石油・天然ガスを売りたいロシアとしては、たいへん困ることになる。
だから、シリアを反欧米にしておいて、南東側と北西側がパイプラインで繋がらないようにすることが、戦略的に極めて重要だったのだ。
だから何があっても反欧米のシリアのアサド政権を守るのは、ロシアの国益に極めて重要であった。
さらに言えば、前回のトランプ政権期にイスラエルとサウジアラビアが歴史的和解をしたことも、ロシアには大きな脅威であった。シリアを経由しないでも海底パイプラインを地中海に通せば、トルコやギリシャなどに南東側の国々の石油や天然ガスが送れるようになってしまうことになる。これもまた、ロシアにとっては大変困ることになる。
このイスラエルとサウジアラビアの歴史的和解に対して、大きな邪魔をしたのがバイデン政権だったことも思い出したい。
サウジアラビアのサルマン皇太子の命令でサウジアラビアの反体制派のカショジ記者がトルコにあるサウジアラビア大使館で殺害されたのではないかとの疑惑をバイデン大統領は持ち出して、アメリカとサウジアラビアの関係を悪化させ、サウジアラビアとイスラエルの関係も冷え込ませる働きをした。バイデン大統領の意図がどんなものであったにせよ、客観的にはロシア、イラン、中国を大いに利する動きであったと言わざるをえない。
話がやや脱線したが、ロシアはこの状況を前にして、どのような対応を取るだろうか。
ここで頭においておくべきは、ロシアがウクライナとの戦争に全力を注がなくてはならなくなっているところだ。ウクライナとの戦争でロシア側は確かに占領地を確実に拡大している。だが、それはロシア側が自らの犠牲を顧みない無謀な攻撃を続けているからで、ロシア側の損耗はウクライナ側の損耗を実は遥かに凌駕している。
人的損失が激しいために、ロシアは北朝鮮軍やイエメンのフーシ派の軍勢もかき集めてウクライナとの戦闘を何とか行っている状態であり、シリアに十分な兵力を割くことはできなくなっている。シリアに展開されているロシア軍も必然的に規模縮小に追い込まれているのだ。
アサド政権を支援するロシアは、反政府勢力の拠点などに空爆を行い、アレッポなどで320人以上が死亡したと報じられてはいる。だが、主要都市アレッポがほぼ一日で陥落したのは、ロシア側の支援が限定的なものにとどまっていることを、如実に物語っているだろう。
シリア政府軍は必死の抵抗をしても、十分な援軍が来ないことを想定しなければならないので、本来は絶対に死守しなければならないはずの主要都市であるアレッポであっても、あっさりと見限ったと見るべきなのだ。
ここで、シリア内戦の主だった勢力を3つに整理しておこう。
まずはアサド政権側のシリア政府軍だ。シリア政府軍は、ロシア、イランに加え、イランから支援を受けているレバノンのヒズボラなどによって支えられてきた。
次にロジャヴァとも呼ばれるクルド人勢力だ。ロジャヴァというのは、「北部及び東部シリア自治行政区」の略称だが、シリア政府から公式に自治権を認められているわけではない。クルド人勢力が強い、主としてシリア北東部を中心に支配領域を広げ、その中で勝手に独立国のように振る舞っている勢力だ。
もう一つが反政府勢力とひとまとめでよくいわれる雑多な勢力だ。こうした勢力は目的が共通しているときには団結するが、いろんな思惑で離れていくこともあり、本質的には統一的に捉えることはできない。なお現在の反政府勢力の主力はHTS(タハリール・アル・シャーム機構)という、かつてはヌスラ戦線とも呼ばれたテロ組織だ。
アメリカは反アサドの立場から、クルド人勢力や反政府勢力を支援してきた。トルコは、アサド政権とも仲は良くないし、クルド人勢力が強くなると、トルコ国内のクルド人勢力にも大きな影響を及ぼすため、反政府勢力、特にHTSを強力に支援する立場に立っている。
アサド政権はその政権基盤を、ロシアばかりでなく、レバノンの武装組織であるヒズボラの支援にも頼ってきた。ところが、ヒズボラはこの間のイスラエルとの戦闘で徹底的に弱体化された。ヒズボラを支える立場にあったイランも、イスラエルと戦える力が自分たちにないことを悟り、イスラエルの強い動きに対して、結局手が出せない状態になっている。
こうなると、アサド政権の支持基盤が極めて弱体化していることが容易にわかるだろう。こうした力学的な変化も、今回の反政府勢力の動きに大きな影響を及ぼしている。
ウクライナも捨てられない、シリアも捨てられない
今回の事態を受けて、プーチンは極めて困難な状況に陥った。
ウクライナとの戦いを優先すれば、シリア援助を切り捨てるしかなくなる。しかしシリア援助を切り捨てれば、中東においてのロシアのプレゼンスを失うことになり、ロシアの国際的な発言力を失わせることに繋がる。
シリアに親欧米政権が樹立され、中東の産油国・産ガス国とヨーロッパ諸国を結ぶパイプラインが建設されることになれば、ロシアの経済的な打撃は計り知れないことにもなる。だからシリアを失うことは絶対に避けなければならない。
しかし今アサド政権を守るには、相当な兵力をウクライナからシリアに動かさなければならない。そんなことをすれば、ウクライナが一気に反転攻勢に出てくることは容易に想像ができる。
ロシアはウクライナも捨てられない、シリアも捨てられない中で、究極の二択を今迫られているのだ。
ところで今回の動きは、トランプ政権誕生とつながる動きではないかとの説もある。
トランプはウクライナの戦争を終わらせることを最優先させると明言している。そのやり方はまだ明確にはわからないけれども、
1)ウクライナのNATO加盟を20年間は認めない
2)ウクライナにアメリカは制限なく武器を売却できるようにし、これによってロシアに対するウクライナの抑止力が確保できるようにする
3)800マイルの非武装地帯を設置し、停戦監視団は、ポーランドやドイツ、イギリス、フランスなどヨーロッパ諸国が担う(アメリカは停戦監視団に入らない)
というものではないかと、ウォール・ストリート・ジャーナルは報じた。
このような停戦案はプーチンにはとても飲めるものではないだろうが、そのプーチンに対して停戦案を飲めとするトランプ側の圧力が、トルコを通じてすでに行われているのではないかという見方も出ているのだ。
この真偽はわからないが、トルコのエルドアン大統領がトランプの言うことを素直に聞いているとは考えにくい。私はむしろ、トルコが自らの国益を考えて積極的に動いていると見るほうが正しいのではないかと思う。
ちなみにトルコは単にHTSを支援するだけでなく、シリア領内にトルコ軍を介入させているとの話も出ている。
シリアのアサド政権が崩壊すれば、ロシアやイランを除いたほとんどの中東・南西アジアの国々が得をする流れができることが見通せるようになる。
中東の産油国・産ガス国とヨーロッパ諸国を結ぶパイプラインの重要な要の立場にトルコが立てる見通しが立てば、エルドアン大統領の悲願であるEU加盟に向けて大きく前進することになる。エルドアン大統領は様々な地政学的な変化を踏まえたうえで、こうしたトルコの国益のためにロシアと距離を置く姿勢を見せたのではないかと、私は考えている。
まだアサド政権が本当に倒れるのかどうかはわからないが、ロシアの今後のテコ入れが十分な大きさを持たないものになれば、意外とあっさりと崩壊する可能性が高いと見るべきだろう。もし倒れることになったらプーチン・ロシアに対する打撃は実に大きく、それはロシアの中におけるプーチンの権力にも動揺を与えることになるのは、間違いないだろう。
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シリアの反政府勢力は8日、首都ダマスカスを掌握し、アサド大統領を追放したと国営テレビで表明した。アサド大統領は航空機で首都を離れたという。これにより、父の政権から50年余り続いたアサド一族による体制が崩壊した。
シリア当局者はロイターに、陸軍司令部がアサド政権の終焉を将兵らに通達したと語った。ただ、軍はハマやホムスなど主要都市などで「テロリスト集団」に対する作戦を継続していると発表した。
陸軍高官2人によると、アサド大統領は8日早朝にダマスカスを離れたが、目的地は分かっていないという。反体制派が首都に進攻した際、政府軍は展開していなかったという。
反政府勢力は「われわれは捕らわれた仲間を解放し、セドナヤ刑務所における不正の時代の終焉を告げるニュースをシリア国民と共に祝う」と表明。同刑務所はダマスカス郊外にある大規模な軍事刑務所で、シリア政府は数千人を拘束していた。
目撃者によると、ダマスカスの主要広場には数千人が集まり、手を振りながら「自由」と叫んでいたという。
飛行中の航空機を追跡するフライトレーダーによると、反政府勢力がダマスカスを制圧したと伝えられたころ、シリア航空機がダマスカス空港を離陸。同機は当初、アサド政権のアラウィ派が拠点とするシリア沿岸部に向かっていたが、突然Uターンし、数分間反対方向に飛行した後、レーダーから消えたという。
ロイターは搭乗者を確認できていないが、シリアの情報筋2人は、飛行機が事故に遭った可能性が非常に高いとし、撃墜された可能性もあると述べた。
<不安定化の新たな波>
反政府勢力は8日早朝、わずか1日の戦闘で中部の主要都市ホムスを完全に支配したと発表していた。事態が急展開したことににアラブの周辺各国は驚き、地域不安定化の新たな波に懸念が高まっている。
シリアの反政府勢力は8日、首都ダマスカスを掌握し、アサド大統領を追放したと国営テレビで表明した。アサド大統領は航空機で首都を離れたという。
シリアの反政府勢力は8日、首都ダマスカスを掌握し、アサド大統領を追放したと国営テレビで表明した。アサド大統領は航空機で首都を離れたという。
アサド政権崩壊はシリアにとって大きな転換点となる。同国では過去13年余りの間、政府軍と反体制派による戦闘で都市が瓦礫と化し、数十万人が死亡した。また、数百万人が難民として国外に逃れた。
今後の鍵になるのは、反政府勢力に制圧されたシリア西部地域の安定化だ。西側諸国はアサド政権と長年距離を置いてきたが、国際的にテロ組織に指定されているシャーム解放機構(HTS)が影響力を持つとみられる新政権にどう対応するか判断しなければならない。
西部全域で反政府勢力の攻勢を率いてきたHTSは、かつてはアルカイダ系の「ヌスラ戦線」として知られていたが、最高指導者アブ・ムハンマド・アルゴラニ氏は2016年に過激派による聖戦主義運動との関係を断った。
シリア専門家でオクラホマ大学中東研究センター所長のジョシュア・ランディス氏は「重要な問題は、政権移行がどれだけ秩序あるものになるかだ。そして、ゴラン氏が秩序ある移行を強く望んでいるのは明らかだ」と述べた。
ゴラニ氏は、米軍が03年にフセイン政権を打倒した後にイラクを襲った混乱が再発することを望んでおらず、「彼らには再建が必要で、欧州と米国が制裁を解除する必要がある」とランディス氏は語った。
ただ一部のシリア人は、HTSが厳格なイスラム主義による統治を行い、報復を進めるのではないかと懸念している。
米国の同盟国であるアラブ首長国連邦(UAE)やエジプトなどはイスラム過激派を脅威と見なしていることから、HTSが周辺主要国から抵抗に直面する可能性もある。
UAEの大統領外交顧問であるアンワル・ガルガシュ氏は、自国にとっての主な懸念は「過激主義とテロリズム」だと述べた。
米国防総省のダニエル・シャピロ副次官補(中東担当)は、バーレーンで8日開かれた安全保障会議「マナマ対話」で、米国はシリア東部にある駐留基地を維持し、過激派組織「イスラム国」の復活を阻止するために必要な措置を講じると述べた。
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シリアのアサド政権が崩壊した。ここ数日に驚異的なペースで進軍し、領土を制圧してきた反体制派が首都ダマスカスにも進攻した。
シリア国営放送は8日朝、「偉大なシリア革命の勝利と犯罪的なアサド体制の崩壊」を発表。その後でロシア外務省はアサド大統領が辞任すると決定し、シリアから出国したと声明で明らかにした。
ロシア国営タス通信によると、アサド氏とその家族はモスクワに到着。アサド氏一家はロシアへの亡命が認められたという。ロシア大統領府当局者を引用してタスが8日に報じた。
シリアを長期にわたり支配してきたアサド政権の崩壊は、中東全体に衝撃を与えている。同国の主要支援国であるロシアとイランにとっては大きな打撃となりそうだ。
イスラエルは8日朝、ゴラン高原の市民らを守るためシリア付近の緩衝地帯に軍を配備したと発表。その後、米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)が匿名のイスラエル当局者2人を引用して伝えたところによると、イスラエル軍の地上部隊は週末にシリアとの国境の非武装地帯を通過し、1973年の第4次中東戦争以来初めてシリア領内に入った。
バイデン米大統領は8日、 アサド政権崩壊でシリアと中東全体に「歴史的な好機」が訪れたと歓迎した上で、「リスクと不確実性の瞬間でもある」と指摘。過激派組織「イスラム国」(IS)が空白を利用しようとする事実をわれわれは冷静に認識し、それを許さないと表明した。
イスラエルのネタニヤフ首相はアサド政権崩壊について、パレスチナ自治区ガザで拘束されている人質を解放する取引が前進する可能性があると、人質家族との会合で語った。
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バイデン米大統領は8日、アサド政権が崩壊したシリアについて、情勢安定化に向け同国内のパートナーと協力していくと表明した。
シリアは「リスクと不確実性」の時期に直面しており、米国はできる限り支援すると強調。シリアで、ロシアやイラン、イスラム教シーア派民兵組織ヒズボラが影響力を持っていないのはここ数年で初めてだと指摘した。
「長年、アサド大統領の主な支援者はイラン、ヒズボラ、ロシアだった。だが先週、これらの支援は崩壊した。なぜならイラン、ヒズボラ、ロシアが私が大統領に就任した時よりもはるかに弱体化しているからだ」と説明した。
「次に何が起こるかという疑問に向き合う中、米国はシリアにおけるパートナーや利害関係者と協力し、彼らがリスクを管理する機会をつかめるよう支援していく」と述べた。
さらに、過激派組織「イスラム国」(IS)が勢力を再び拡大するのを阻止するため、米軍が8日にシリアでISの拠点と工作員を標的とした精密攻撃を数十回実施したと述べた。
「これは、長い間苦しんできたシリアの人々にとって誇りある国のより良い未来を築く歴史的な機会だ。同時にリスクと不確実性の瞬間でもある」と語った。
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ロシアのプーチン大統領はシリア内戦に介入し、アサド政権の“後ろ盾”として中東などで影響力を拡大してきた。しかしロシアはウクライナ侵攻で余力を失い、反政府勢力の猛攻からアサド政権を守り切れなかった。プーチン氏の政治的ダメージも避けられない状況だ。
▼トランプ次期大統領「ロシアがアサド大統領を守ることに興味を失った」
■シリア軍事介入…プーチン大統領にとっての意味合いは
プーチン大統領は2015年にシリア内戦への軍事介入に踏み切った。2011年に本格化した民主化運動「アラブの春」によって、シリアではアサド政権と、さまざまな反政府勢力が入り乱れる形で内戦が続いてきた。アサド政権は劣勢だったが、ロシア軍の空爆の支援を得て戦況を好転させることに成功した。
プーチン大統領は以降、アサド政権の後ろ盾として中東での影響力拡大を図ってきた。プーチン氏は2014年にウクライナのクリミアを併合したことで西側諸国から制裁を受けていて、シリアへの介入はアメリカなどに対抗し、世界にロシアの影響力を示す象徴的な意味合いもあったとされる。
ロシアにとって、地中海に面するシリアは戦略的な要衝でもある。2つの主要な軍事施設を通じ、中東やアフリカへ影響力を行使してきた。
タルトゥース海軍基地は、ロシア海軍にとって地中海での唯一の補給・修理拠点。気候が暖かく、一年中利用できる貴重な軍港だ。またフメイミム空軍基地は近年、アフリカでの活動を広げるロシアにとって中継拠点としての価値が高まっていた。
■アサド政権のあっけない崩壊…ロシアに余力なく
シリアの反政府勢力が先月下旬以降、大規模な攻勢を仕掛けたのに対し、ロシアによるアサド政権への軍事支援は非常に限定的なものだった。ウォール・ストリート・ジャーナルは7日、アサド政権の強力な味方だったロシア空軍について「ウクライナ侵攻で火力を消耗し、シリアでの活動は大幅に縮小した」と報じている。今回も空爆などの支援は行ったものの、戦況を変えるほどの効果はなかった。
同じくアサド政権を支えてきたイランやイスラム教シーア派組織ヒズボラも弱体化する中、ロシアにもウクライナとの二正面作戦に臨む余力がなかったのが実情だ。ブルームバーグ通信は6日、ロシア大統領府に近い関係者の話として、プーチン大統領はアサド政権軍が拠点を放棄し続ける限り、アサド氏を救うつもりはないようだとの声を伝えていた。
ロシアなど支援国の弱体化で、アサド政権はあっけなく崩壊した。ウクライナに固執し、シリアという中東やアフリカへの足がかりを失ったことは、プーチン大統領にとっては戦略的敗北とも言える。
ロシア外務省は8日、ロシアは反政府勢力の全てのグループと連絡を取り合っているとして、今後は暴力ではなく政治的手段により問題を解決するよう呼びかけた。
ロシア側が最も懸念していたのは、シリア領内の2つのロシア軍基地が反政府勢力に制圧されることだったが、そのような状況には至っていない。
ロシア外務省はこの基地について、厳戒態勢ではあるが重大な脅威はないとしている。プーチン政権と反政府勢力との間で今後、協議が行われるとみられるが、縮小・撤退などに追い込まれれば、プーチン氏にとって、さらなる政治的ダメージは避けられない状況だ。
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イスラエル紙タイムズ・オブ・イスラエルなどによると、イスラエル軍は8日、シリアの首都ダマスカスにあるシリア空軍の基地などを空爆した。弾薬庫や武器庫が標的とみられ、同紙は、シリアの武器を反体制派やレバノンを拠点とするイスラム教シーア派組織ヒズボラなどに流出させないための攻撃との見方を示した。
イスラエル軍は8日、イスラエルが占領するシリアのゴラン高原周辺の緩衝地帯などに部隊を展開したことを明らかにした。同軍は「国民を守るためだ。シリアの内政に干渉するものではない」と主張している。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は声明で「中東にとって歴史的な日だ」とした上で、「シリアで台頭する新たな勢力と友好的な関係を築きたいが、それができなければイスラエルと国境を守るためにあらゆる手段を講じる」と反体制派などをけん制した。
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イスラエルはシリアの軍事拠点に対する攻撃を強めた。10日早くに数百の目標を攻撃し、シリア領内深くまで部隊を侵入させた。
英国に拠点を置くシリア人権監視団によると、首都ダマスカスを含むシリア各地の軍事基地や倉庫、兵器庫など少なくとも310カ所が過去2日間で標的となった。イスラエル軍のラジオ局は匿名の国防当局者の話として、空軍史上最大級の攻撃と伝えた。
前日にはシリアとの国境沿いの緩衝地帯を掌握。過激派の手に渡るのを防ぐべく、シリアの化学兵器およびミサイル貯蔵施設を空爆したとイスラエル軍は主張した。
イスラエルの緩衝地帯占拠とシリアへの継続的な攻撃は、エジプトやサウジアラビアなどアラブ諸国の怒りを買っている。サウジは声明で、イスラエルの攻撃は「シリアが安全保障と安定、領土保全を回復する機会を妨害する決意」を示していると糾弾。エジプトも、イスラエルは「シリア領のさらなる占領」を狙っていると非難した。
地上にいる人々の情報網を通じてシリア内戦の監視を続けているシリア人権監視団は、イスラエル軍の戦車がダマスカスの南西部近郊で目撃されたとも報告。目撃されたのはダマスカスから十数マイル離れた地点だという。
イスラエル軍報道官はX(旧ツイッター)で、同国軍は緩衝地帯やシリアとの国境付近に展開しているとしつつ、一部のメディアで出回っている「ダマスカスへの進軍や接近は完全な誤り」だと主張した。
イスラエルはアサド政権下のシリアと正式には交戦状態にあった。過去1年にはいくつかの侵犯があったが、国境は比較的平静を保っていた。
イスラエルのカッツ国防相は、同国軍の恒久的な駐留を伴わない防衛地帯をシリア南部に設置することを明らかにした。この地帯には武器およびテロの脅威を存在させないという。
イスラエルは、週末にアサド政権を転覆させたシリアの反体制派を警戒している。反体制派を主導する武装組織「シリア解放機構(HTS)」は過去に国際テロ組織アルカイダとつながりがあり、米国など多くの国がテロ組織に指定している。
米国や英国を含む主要7カ国(G7)はそれでも、法の支配と宗教的・民族的な少数派が尊重される限り、シリア新政府を支持する意向を表明している。G7以外にもカタールは既に反体制派と接触している。
週内に発表される予定の声明案によると、G7は「シリア統治で役割を担いたいと考えている全ての反体制グループが、全てのシリア人の権利に責任を負うことを期待している」と表明。声明内容は依然として変更の可能性がある。G7はまた、アサド政権時代に国を逃れた数百万人に及ぶシリア人の安全な帰国を呼び掛ける見通しだ。
事情に詳しい関係者によると、カタールは過激派組織「イスラム国」(IS)のような組織が、過渡期にあるシリアで地盤を固めることがないよう、HTSと早期に連絡ルートを確立した。
シリア国営テレビが報じたところによれば、反体制派はムハンマド・アルバシール氏に暫定政府の樹立を任じた。アルバシール氏はエンジニアでHTSが2017年に設立した疑似政府のトップ。
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シリアのアサド政権崩壊を受け、政権側優位でこう着していた戦況が再び動き始めている。政権を打倒した反体制派の攻勢をきっかけに、国内各地で勢力を競い合う武装組織や関係当事国が活動を活発化。それぞれの思惑が交錯して内戦の構図が流動化し、混乱収拾の見通しは立たない。
反体制派に権限移譲へ 主力組織指導者、首相らと会談―シリア
「シャーム解放機構」(HTS)を主力とする反体制派は、政権に押しとどめられていた北西部イドリブ県の拠点から一気に進軍し、わずか12日で国土の中枢部を掌握した。HTSや連携する勢力が、今後の権力移譲プロセスを主導するとみられる。ただ、過激なイスラム主義から穏健路線への転換を強調するものの、全容が不透明な統治手法に警戒が強まる可能性もある。
存在感が高まっているのは、反体制派と関係が深い隣国トルコだ。HTSをテロ組織に指定しているが、エルドアン大統領は進攻を非難せず容認した。エルドアン氏はかねて、シリア国境から約30キロの「安全地帯」を東西約450キロに及ぶ地域に設け、シリア難民を帰還させると主張。このため、国境地帯からシリア北東部までを実効支配するクルド人主体の「シリア民主軍」(SDF)と対立している。
トルコと緊密な別の反体制派組織「シリア国民軍」(SNA)は、攻勢に乗じる形でシリア北部テルリファトやマンビジュなどクルド系が掌握していた都市を次々と制圧。さらに攻勢を強めるとみられる。
SDFは過激派組織「イスラム国」(IS)掃討の一環で、米国の支援を受けてきた。SDFもアサド政権に対抗して政権支配地の一部へ進攻したが、クルド系を敵視するトルコには劣勢だ。中東への関与を嫌うトランプ次期米政権下でSDFへの支援が細れば、苦境に陥りかねない。
米国はシリア国内のIS討伐を重視。バイデン大統領は8日、約900人の米軍駐留を継続する意向を示した。しかし、反体制派については「今は正しいことを言っているが、言葉だけでなく行動で判断する」と述べ、関与の是非を見極める構えだ。
一方、アサド大統領を支えたロシアやイランは今後、影響力の低下が避けられない。アサド氏亡命を受け入れたロシアにとっては、地中海沿岸のシリア北西部にあるロシア軍基地の維持が死活問題。イランも「国の将来を決めるのはシリア国民」(ペゼシュキアン大統領)として、連帯していたアサド氏と距離を置き始めた。両国とも反体制派との関係構築や足場の確保を模索しているもようだ。
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イスラエル軍が隣国シリアとの間に設けられた「緩衝地帯」からさらに先に進みシリア領内で軍事活動をしていることが10日明らかになった。両国の停戦協定に違反する行動だ。アサド政権崩壊後の混乱に乗じたイスラエルの動きはシリア復興の妨げとなり、地域の緊張を一段と高めかねない。
イスラエル軍スポークスマンは10日、「分離エリア(緩衝地帯)といくつかの追加的な地点」で作戦を実施していると発...
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イスラエルは10日、シリアの海軍艦隊を攻撃したと発表した。バッシャール・アル・アサド政権の崩壊を受け、シリアの軍事資産を無力化するためだとした。また、シリア全土で数百回にわたって空爆を実施したとした。
イスラエル国防軍(IDF)は声明で、同軍の艦船が9日夜、シリアのアル・バイダとラタキアの港を攻撃したとした。当時、15隻の船が停泊していたという。
イスラエルのイスラエル・カッツ国防相は声明で、IDFの狙いは「イスラエル国家を脅かす戦略的能力の破壊」だと説明。シリア艦隊を破壊する作戦は「大成功」だったとした。
BBCは、ラタキア港における爆発の映像を確認した。船や港の一部が大きな損傷を受けている様子が映っている。
IDFはまた、シリア全土で空爆を350回以上実施したとした。イスラエルが占領しているゴラン高原とシリアの間にある非武装地帯にも、地上部隊を移動させたとした。
さらに、シリアの首都ダマスカスやホムス、タルトゥース、パルミラでも、飛行場や軍用車両、防空兵器、兵器生産施設、武器倉庫、弾薬庫、「多数」の艦対艦ミサイルなどを標的に攻撃を実施したと説明。それらが「過激派の手に渡るのを防ぐ」ためだとした。
イギリスに拠点を置くNGO「シリア人権監視団(SOHR)」も10日、アサド政権が反政府勢力によって倒されて以降、シリアに対するIDFの攻撃を310回以上確認しているとした。
SOHRの創設者で代表のラミ・アブドゥル・ラーマン氏は、イスラエルによる一連の攻撃を、「シリア軍の全能力」を破壊していると説明。「シリアの土地が侵害されている」と述べた。
一方、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はビデオ演説で、アサド前大統領を失脚させた反政府勢力「ハヤト・タハリール・アル・シャーム(HTS、「シャーム解放機構」の意味)」に向けてメッセージを発し、イランが「シリアに再び定着する」のを許すなら、イスラエルは「強力に対応する」と述べた。
ネタニヤフ氏はこれまで、シリアの新政府と平和な関係を望むと表明している。シリアへの介入については、自国を防衛するためのものとしている。
IDFは、ゴラン高原に隣接する非武装緩衝地帯での動きをめぐっては、部隊がシリア領内に入ったと認めた。ただ、ダマスカスに戦車が接近しているとの報道が出ていることについては、報道は「誤り」だとした。
BBCヴェリファイ(検証チーム)は、ゴラン高原の緩衝地帯から500メートルほどシリア領内に入ったクウダナ村近くの丘に、IDF兵士が立っているのを画像で確認した。
ネタニヤフ氏は、緩衝地帯にあるシリアの拠点をIDFが抑えたことについて、「適切な取り決めが見つかるまでの一時的な防衛的措置」だと9日に述べている。
トルコは、イスラエルが緩衝地帯に入ったことを非難している。トルコ外務省は、「シリア国民が何年も望んできた平和と安定が実現するかもしれないという大事な時期」に、イスラエルが「占領気質」を見せつけていると批判した。
ゴラン高原は、シリアの首都ダマスカスの南西約約60キロメートルに位置する岩だらけの高原。イスラエルは1967年の6日間戦争の終盤にシリアから奪った。
1974年には、イスラエルとシリアの停戦合意の一環として、緩衝地帯の「兵力引き離し地域(AOS)」が設定された。
しかし、イスラエルは1981年、ゴラン高原を一方的に併合。国際社会はこれを承認していないが、2019年にトランプ米政権が単独で認めた。
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ロイター通信によると、シリアの政権崩壊で後ろ盾のロシアに亡命したバッシャール・アサド前大統領は、逃亡計画を大半の側近や親族らに伝えず実行した。政権軍幹部には直前まで「露軍の支援がある」とうその説明をしていた。
当時の事情を知る側近ら14人の話として、13日に報じた。アサド氏は政権崩壊前日の7日、政権軍や治安部隊幹部との会合で露軍が支援に向かっていると伝え、地上部隊に持ちこたえるよう要請した。
7日の執務を終えると、大統領府責任者に帰宅すると伝えたが、空港に向かった。逃亡計画は軍精鋭部隊を率いる弟マヘル氏にも秘密だった。アサド氏は首都ダマスカスから西部ラタキアの露空軍基地に移動し、モスクワへ向かった。妻子は先にモスクワへ逃げ、アサド氏を出迎えたという。
ロイターが伝えた外交筋や当局者の話では、アサド氏は反体制派が大規模反攻を始めた翌日の11月28日にロシアを訪れ、軍事介入を要請したが、ウクライナ侵略を優先するロシアに断られた。もう一つの後ろ盾であるイランには軍事介入を求めなかった。介入を口実に、イスラエルがシリアに駐留するイラン軍への猛攻やイランへの直接攻撃に乗り出す可能性を考慮したという。
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クソだな こいつww
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シリアのアサド大統領の失脚を受け、ロシアが軍装備品や兵員の大規模撤収を始めたことが分かった。諜報(ちょうほう)に詳しい米当局者2人と西側当局者1人が明らかにした。
当局者らはロシアの撤収について、大規模かつ重要な動きだと指摘。撤収が始まったのは先週だが、恒久的なものになるかどうかは不明だとの見方を示した。
欧米の諜報が示唆するところでは、ロシアの当局者は現在、シリアの実権を掌握した主要反体制派「シャーム解放機構」(HTS)が一部主要基地へのロシアの残留を認める何らかの交渉による解決に前向きかどうか見極めている。候補となる基地の中には、ラタキアのフメイミム空軍基地やタルトゥスの港湾施設も含まれるという。
クレムリン(ロシア大統領府)のペスコフ報道官は先週の記者会見で、シリア首都ダマスカスの反体制派と接触していることを明らかにし、「現地の支配勢力との接触を維持する必要がある。我々はシリアに施設や人員を配置しているからだ」と述べていた。
米当局者の2人によると、ロシアは海軍の資産をシリアからリビアに移動させ始めた。別の国防当局者によれば、ロシア政府はリビア国民軍のハフタル司令官への圧力を強め、ベンガジの港湾に対するロシアの権益を確保するよう求めているという。
当局者によれば、リビアの港湾を失い、シリアのタルトゥスも放棄せざるを得ない状況になれば、ロシアは北大西洋条約機構(NATO)の南側面に対して戦力を投射する地中海の港湾を失うことになる。たとえ一時的にでもタルトゥスを失えば、ロシアとアフリカの間で違法物資を輸送するロシアの試みは一段と難しくなる見通しだという。
航空関係の記録や人工衛星画像には、ロシア非常事態省に登録された貨物機がここ1週間足らずの間に少なくとも7回、リビアのアルカディム航空基地に到着したことも示されている。歴史的に、アルカディム航空基地はアフリカにおけるロシアの作戦拠点となっており、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」が戦争犯罪に問われたスーダンの準軍事組織に兵器を供与する際にも、この基地が使われた。
CNNは先週、米宇宙企業マクサーが13日午前に収集した人工衛星画像をもとに、ロシアは航空機に貨物を積み込んでシリアの軍事基地を離れる準備を進めている様子だと報じていた。
フメイミム空軍基地には13日の時点で、2機のAN124大型輸送機が駐機していた。両機ともノーズコーンが開いており、貨物の積み込み準備が整った状態とみられる。同基地ではおそらく輸送の準備としてKa52攻撃ヘリコプターが解体されており、ロシアの地対空ミサイルシステム「S400」の部品の積載準備が進められている様子も確認できる。
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ロシアのプーチン大統領は19日、2015年に始まったロシアによるシリアへの軍事介入が失敗だったとの見方を改めて否定した。
プーチン大統領は年次記者会見で、アサド政権の失脚を受けたロシアへの影響については重視していないほか、シリアへの軍事介入はシリアが「テロリストの拠点」となるのを防ぐのに寄与したと言及。ただ現在の状況は主にイスラエルを利していると述べた。
またプーチン氏は、シリア国内のロシア空軍基地と海軍基地を維持するようシリア暫定政権に提案したと言明した。
12月初めにロシアに亡命したアサド前大統領については、「今後会う予定だ」と述べた。
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シリア北西部で続く暫定政府の治安部隊とアサド旧政権残党の衝突で、在英のシリア人権監視団は9日、女性や子供ら市民830人が死亡したと明らかにした。アサド前大統領と同じ少数派のイスラム教アラウィ派の住民らが主に標的とされたとみられる。交戦で治安部隊と旧政権を支持する武装勢力合わせて480人超が死亡。6日に始まった一連の衝突に伴う死者は1300人を超えた。
交戦が激しさを増している北西部ラタキア県やタルトス県などの地中海沿い一帯にはアラウィ派の住民が多く、旧政権の支持者らが多数残っているとされる。アラウィ派はアサド独裁体制下で優遇されたため、昨年12月の政権崩壊後は、国内の多様な民族や宗教・宗派からの報復が懸念されていた。
同監視団は「市民が宗派や地域を基に虐殺された戦争犯罪だ」と指摘。スンニ派主導の治安部隊を支援する勢力が北西部一帯に押し寄せ、迫害の動きを強めている可能性がある。人口の1割を占めるキリスト教徒も多く犠牲になったと伝えられ、宗教・宗派対立が激化する恐れがある。
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