私が幼い頃の、おやっさんは、名実ともに【大虎で】お酒を飲んだら手に負えない人で、今で言うなら、間違いなく【DV】だったと思います。ですが、私は一度も手を挙げられた経験がなく、私にとっては、ものすごい【子煩悩なおやっさん】でありました。
今でも、私はおやっさんが大好きで、奇跡のご存命です。
私の家の前には、川と藪があり、この季節、家の目の前でホタルが飛びます。
今年も、ホタルが舞ってます。
ホタルを見るといつも思い出します。
都会の子は、虫をとるのに虫網を持ってくるかもしれませんが、ホタルを捕るのには、笹を使います。(田舎の子はね)
笹の先の方だけ、葉を残して、下の方は思い切って葉を落としてしまいます。
その先の方の葉をジャブジャブ川の水で浸して、ホタルの飛ぶ軌道にス―――っと動かすと、笹の葉に、ホタルがとまります。
これを、虫かごに入れます。
ほ!ほ!ほーたる来い!そっちのみーずはにーがいぞ。こっちのみーずは、あーまいぞ!ほ、ほ、ほーーーたる来い!
って、全力で歌うと、こっちに来てくれます。
この季節、毎日、おやっさんと、ホタルを捕りに来てました。
ホタルを追って、川下に動いていくのですが、そのうち、追ってたホタルが上空に飛んでいって、星の間でどこに行ったのかわからなくなってしまっていました。
幼心に、空高く飛んで行ったホタルだけが、星になれるのだと、妙に納得してました。
幼い私にとって、星は、【根性のあるすごいヤツ(ホタル】】だったのです。(笑)
捕ってかえってきたホタルは、はかなくて、
「ふたあけて、庭で放しといちゃろう。(逃がしとちゃろう)」
って、おやっさんが言うので、ふたを開けたまま、庭で放してました。
次の日に、虫かごの中が、からっぽになってるのをみて、妙にほっとしたのを覚えてます。
そして、また、おやっさんと、ホタルをとりに行くのです。
この季節、酒飲みでタイガース好きのおやっさんが、酒と、タイガースのラジオ中継をちょっと我慢して、私達のホタル捕りに毎日付き合ってくれていたのを思い出しては、「ありがとう、おやっさん」って思うのです。