家の近くのむし探検 第5弾
4月18日にマンションの廊下で虫探しをした後、近くの公園に行ってみました。サクラはほぼ終わり、植栽のツツジはまだまだ。山のミツバツツジが咲いているだけでちょっと殺風景な感じでした。
ツツジの芽を見てみると、ルリチュウレンジがじっとしています。どうやらモチツツジのねばねば成分にくっついたようです。
近くを見ると、クロバネキノコバエもたくさんくっついていました。この成分は以前にも調べた記憶があったのですが、ブログを探しても見つからないので、ちょっと書いておきます。
中村司朗ほか、「モチツツジの粘液に含まれる新トリテルペノイドアルコールの単離」、日本化学雑誌 86, 1308 (1965). (ここからダウンロードできます)
論文はいくつか見つかったのですが、この論文を読むと概要が分かります。このねばねばの中には、鳥もちの中にも含まれるモチオール、モチ酸のほかにもネオモチール、ゲルマニジオール、モチジオール、アジアネンジオールが含まれていると書かれていました。モチ酸を除けば、皆、「オール」という語尾がついているので、アルコールということですね。ついでに鳥もちの成分も探してみると、研究の歴史はもっと古くて19世紀まで遡るようです。Wikipediaによると、鳥もちはモチノキ、ガマズミなどの樹皮のほか、ナンキンハゼ、ヤドリギなどの果実、ゴムノキの乳液、ツチトリモチの根などから抽出されるようです。そういえば、昔、鳥もちがハマグリの貝殻に入って、駄菓子屋で売られていましたね。
小さな虫が飛び回っているので何だろうと思って写してみたら、こんなユスリカでした。
これはネコハエトリ。この公園ではネコハエトリの姿をよく見かけます。
イダテンチャタテでもいないかなと思って、桜の木の幹を探していたら、ぴくっと動くものがいました。写してみたら、イダテンチャタテではなかったのですが、こんなチャタテがいました。翅に黒い点がいっぱいついているので、チャタテ科のTrichadenotecnum属の仲間です。これについては次の論文に詳しく出ています。
K. Yoshizawa, "Systematic revision of Japanese Trichadenotecnum Enderlein (Psocodea: 'Psocoptera': Psocidae: Ptyctini), with redefinition and subdivision of the genus", Invertebrate Taxonomy 15, 159 (2001). (ここからダウンロードできます)
以前も同じ公園で似たようなチャタテムシを見つけ、調べたことがありました。この論文ではこの複雑な斑紋を8つの部分に分けて、その特徴が書かれていました。前回もそれを見ながら調べていったので、今回もやってみました。
これが模様を部分に分けたものです。ついでに、翅脈の名称も次の論文を見ながらつけてみました。
K. Yoshizawa, "MORPHOLOGY OF PSOCOMORPHA (PSOCODEA: 'PSOCOPTERA')", Insecta Matsumurana 62, 1 (2005). (ここからダウンロードできます)
「日本昆虫目録第4巻」によると、日本産Trichadenotecnum属には24種記録されていますが、上の2001年の論文には22種の翅の写真が載っています。検索表は主に交尾器に関するものなので、翅の模様で比較してみると、可能性のありそうな種が7種見つかりました。そのうち、本州産はincognitumとyamatomajusの2種に絞られました。実は、以前も同じことをして同じ結論になりました。2001年の論文にはこの2種のうち、yamatomajusの翅の特徴が書かれていたのでその部分を訳してみました。
翅の模様の部位別に特徴が書かれています。これと比較すると、だいたいは合っているのですが、③と⑧あたりがどうかなと思いました。③では斑紋に淡色部分があると書かれているのですが、注意して見ると少しそんな感じもするのですが、はっきりとは分かりません。また、⑧ではhの斑紋がはっきりしていると書かれているのですが、この個体では淡い色です。以前はbの前方の斑紋が不明瞭なので、yamatomajusとしたのですが、この辺りはよく分かりません。
次は同じ木にいたハリブトシリアゲアリです。このアリについては以前調べたことがありました。
次はクロボシツツハムシのカップル。
この小さなバッタはヤブキリの幼虫かな。
それからヒメクロオトシブミ。
ハエはよく分かりません。上はM1脈が曲がっていないので、たぶん、イエバエ科。下は何でしょう。
これはツツジトゲムネサルゾウムシ。
それから、ケブカクチブトゾウムシ。
最後はジョウカイボンの仲間ですね。頭部の形状からPodabrus属かなと思ったのですが、よくは分かりません。
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