「南部美人」 久慈浩介 in USA パート6
試飲会の報告のために「南部美人」久慈 浩介のUSAレポート最終話の
アップが遅れてしまいました。
超人的なスケジュールをこなし無事帰国
これから海外を目指す蔵元様にも
参考になるレポートになっているのではないでしょうか!?
ではKousuke最後のUSAレポート
10月8日(月) まとめ
無事に3名で帰国しました。
有馬さんは前日ぐっすり寝たせいか、
朝から今回のアメリカ横断の旅で1番体調がいいと話していました。
石塚さんは全てのスケジュールに完全出席。根性のあるところを見せてくれました。
おかげでかなり疲れ気味でした。
ホテルをチェックアウトして、ラスベガスの特約卸の
DELUCAのエリックさんが見送りに来てくれて、
最後の情報交換をして握手をし空港へ向かいました。
ところが、ここでまた問題発生。
結構時間に余裕を持たないで空港に行ったので、
チェックインはスムーズにいったのですが、
何と機内持ち込み荷物のセキュリティーチェックで大混雑。
そしてその後手荷物検査で大混雑!
飛行機のフライト時間が迫る中、ギリギリフライトの直前で滑り込みました。
おかげで石塚さんは楽しみにしていたお土産を買うことが出来ず、
ちょっとかわいそうでした。
機内では石塚さんが大暴走。エコノミークラスで飲めるワインを15本も飲み干して、最後は大変なことになりました・・・
そんなこんなで無事に成田に到着して今回のツアーは無事に終了しました。
振り返ってみると、やはりアメリカは広いな、というのが実感で、
同じ国で時差もあり、東と西では気候が全く異なり、
そして収入格差もかなり大きいということです。
ニューヨークで通用することが必ずロスで通じるか、
逆にロスで通じることがニューヨークで通じるか、
全くわからないと言うことです。
ニューヨークは明らかに消費の中心で、
大都会ですし、物価も高く、トレンドにものすごく敏感、
そして日本酒を含め、日本食の味をかなり高いレベルでわかるアメリカ人が多く、
そのおかげで和食レストランのレベルは
とんでもなく高いところも多いということです。
また日本人でもニューヨークは高級大型和食店や
トレンドの発信の和食レストランの日本人マネージャーは
日本の地酒界の動向にも詳しく、味わいにも厳しく、
そして何よりも異国で日本酒をしっかりと根付かせたいという
強い思いを持っている方が非常に多いところも特徴です。
西海岸に移動すると、カリフォルニアはワインの大生産地ということもあり、
こちらも日本酒に対する興味は高く、
また広大な土地ゆえに、
レストランからレストランの移動が非常に大変だと言うことがまずあります。
ロスとサクラメントでは全く風土も違い、
同じカリフォルニアでもこれほど差があるのかと感じました。
ロスは日本人独特のコミュニティーも出来上がっており、
新潟の地酒などは認知度も高く、その分新しい物への挑戦の意欲は
ニューヨークほど多くは無いと感じました。
こちらは日本人社会へまずは飲んでいただくことが重要なのかとも感じました。
しかし、1つだけ言えるのは、日本で売れないから海外で売ろう、
という考えでは絶対に売れないということです。
日本で通用しないものは海外でも通用しないし、
日本で通用して初めて海外でさらなる努力を加え、
浸透していかなければいけないのです。
この「さらなる努力」がどこまで出来るか、
これが海外で日本酒を販売、浸透していくために大きな壁になりますし、
その蔵の「覚悟」の証ではないでしょうか。
同じことが日本でも言えて、例えば岩手で全く通用しない無名の蔵が、
その味わい、その会社の方向性のまま東京に出て行っても
通用しないと言うことと同じだと思います。
経営者が若返り、酒質を地元でも通用するもの以上に変え、
そこで初めて「覚悟」というさらなる努力で東京で販売が可能になるのでしょう。
つまり、日本でしっかりと通用することは「絶対条件」となります。
また、私たちは海外で販売して売り上げを上げることだけが目的ではなく、
日本でこのブログを読んでいる地酒のファンの皆さんが、
何かのきっかけでニューヨークに行くことになり、
そのとき流行の和食レストランで自分達が日本で親しくしている銘柄に再会し、
その銘柄を地元のアメリカ人が喜んで飲んでいる姿を見たら、
ちょっと優越感がありませんか?
「俺はその蔵元を良く知っているぞ。
その蔵元のもっと秘蔵の酒を飲んだことがあるぞ」と。
それをきっかけにそのアメリカ人たちと会話が弾み、
盛り上がったらどれだけ楽しいでしょう。
日本の地酒のファンの皆さんが、
世界中の方々と「地酒」という合言葉でつながっていく。
もう一部のマニアだけが楽しむものではなく、
世界中に旨を張って「日本酒が好きだ」と言えるようになれば
どれだけ素晴らしいでしょう。
世界中で「日本酒で乾杯」が実現できるように、
美味しい地酒をキーワードに世界中の人々が笑顔で語り合える世界が来るように、これからも我々若い蔵元は世界を駆け巡って行きたいと思います。
日本中の地酒ファンが世界で1番幸せなお酒を飲めるように。
※ほんとにお疲れさま
ハードスケジュールの中、熱く確かなレポートを送ってくれて感謝! 感謝!
今宵 旨い日本酒を飲める喜びを「南部美人」で乾杯!!