黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

長崎さるく #31 長崎のキリスト教関連施設

2009-07-23 06:02:30 | 長崎さるく
前回の記事で大浦天主堂をアップしたので、
今日はその関連施設です。



天主堂のすぐ隣に建つ旧大司教館。
元来天主堂より早く建設された大司教館は、
老朽化により1914年に
ド・ロ神父の設計、鉄川与助の施工で建てられたものだそうです。
この2人とも、これまた長崎の教会を語る上では、
絶対にはずせない重要な2人ですね。
それにしてもこの建物は素晴らしく思います。
煉瓦の壁にライトブルーの日よけ、そして屋根は瓦。
バランスも抜群で、個人的には長崎の建築物で、
1、2の美しさだと思っています。



そしてその奥に建つ旧羅典神学校。
再び登場する長崎の「初もの」は、国内初の木骨煉瓦造りの建物です。
煉瓦の上に塗られた白壁とグレーの瓦屋根だけを見ると、
由緒ある倉などの日本建築にも共通する感じですが、
窓枠などに目をやると、ヨーロッパの香りが強烈にします。



キリストの解禁後建設されたラテン神学のための施設ですが、
やはり旧大司教館同様ド・ロ神父の手によるものだそうです。
反対側の面にはテラスも作られていますが、
どの角度からも道が狭く、
なかなか全貌をカメラで捉えられないのが残念です。



美しい弧を描く木製階段や、
階段の裏側の細かな装飾、そして鉄製の手すりなど、
内部の造りも隅々まで気が配られているのが分かります。

最近アップしてきた浦上天主堂や大浦天主堂、
そしてこの旧羅典神学校も含めて、
「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」として、
2007年に世界遺産の暫定リストに入りましたが、
こうして一つ一つをみていくと、世界遺産かどうかは別にしても、
日本の歴史にとっては、
とても意味深い建物だということが分かってきました。




中庭にはこんな施設が残されています。
これには何の解説もありませんが、
当時の水場の跡でしょうか。
すぐ隣には塞がれた何らかの煉瓦作りの横穴跡もあり、
これらはちょっと気になります。

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