黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

長崎さるく #59 蒟蒻煉瓦

2010-11-20 01:07:00 | 長崎さるく
シリーズでお送りしている長崎さるくの第三弾。

今回は、以前からことあるごとに触れて来た蒟蒻煉瓦を、
まとめてみようと思います。

まずは以前にもアップした、グラバー邸の厨房。
国民的ドラマで一躍知名度を上げたグラバー。
彼の関わった施設には、
蒟蒻煉瓦が特におおく使われていますが、
なにかこだわりがあったのでしょうか。



この厨房を出た中庭の花壇の柵にも、
蒟蒻煉瓦が使われています。



グラバー邸といえば、
以前訪れた時に時間がなく観る事ができなかった、
高島のグラバー別邸の蒟蒻煉瓦も、
今回はチェックして来ました。



敷地のほんの一部ですが、
確かに蒟蒻煉瓦が地中に埋まっています。
平置きの煉瓦もあるものの、
グラバー邸の厨房同様、縦置きの煉瓦もあり、
敷地の位置から考えて、
こちらも厨房の床として使われていたんでは。。。





高島と言えば、かつての町役場の近くにも、
蒟蒻煉瓦の擁壁の跡。





蒟蒻煉瓦を使った建物で、最も奇麗な形で残っているのは、
なんと言ってもそろばんドッグと呼ばれる、
小菅修船場跡の捲上小屋。
こじんまりとしていながらも、
近代化産業遺産の風格を備えた、
秀逸な一品ですね。
ちなみにこちらもグラバーさんが大きく関わっています。





すこし南には、小ヶ倉の国際海底電線陸揚庫。
国内初を総なめにする長崎にあって、
これもまた国内初の国際電線を陸揚げした小屋の跡。
半分蒟蒻煉瓦、半分石造りという変則的な造りの建物。





また以前にもアップした、
大浦天主堂の隣に建つ羅典神学校もまた、
木骨煉瓦造りで、その煉瓦は蒟蒻煉瓦と言われていますが、
確認出来る露出部分がなく、
かろうじて地下へ続く通路に、
蒟蒻煉瓦が使われています。





こちらも以前にアップした、
長崎4大唐寺の一つ、聖福寺の境内にある、
金炉「惜字亭」の内部に確認出来る蒟蒻煉瓦。
蒟蒻煉瓦が、西洋式の建造物だけでなく、
ひろく長崎で使われていた事の証でもあるのでしょう。





なんと言っても蒟蒻煉瓦が一番残っているのは、
軍艦島の隣の島、中ノ島ではないでしょうか。
画像の遺構の他にも、用途不明の蒟蒻煉瓦製の遺構や、
床面や壁面とおもわれる蒟蒻煉瓦が、
いたるところに残存しています。





画像は中ノ島の高台の上に残る床面と思われる蒟蒻煉瓦。
グラバー邸の厨房同様、煉瓦が縦置きされているのが分かります。
蒟蒻煉瓦を床面に使用する時は、
このように縦に並べるのが一般的だったんではないでしょうか。





そしてこれら蒟蒻煉瓦の元祖が、
三菱重工長崎造船所の史料館に鎮座する、
ハルデス煉瓦ですね。

これぞ日本の赤煉瓦の原点!

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2 Comments

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Unknown (Nylaicanai)
2010-11-15 08:06:47
ご無沙汰しております。
コンニャク煉瓦ですか。
粋なネーミングですね(^^ゞ

実は9月に軍艦島を訪れました。
ほんのわずかなエリアしか歩けなかったのですが、それでも強烈な印象を受けましたよ。
でも、正直なところ、もっと奥深くに入りたかった……
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▼Nylaicanaiさんへ (KLO @ 廃墟徒然草)
2010-11-18 17:25:50
おひさしぶりでございます!
たしかにサイズ感が蒟蒻に近いんです。
それに対して現行の煉瓦を豆腐煉瓦となづけてみましたが。。。(汗)

そうですか、軍艦島へ行かれましたか!
確かに見学路は島の一部ですが、
かつての心臓部の全貌なので、
結構いんではないかと思います。
でも残っているのもが少ないんで、
想像するのは困難ですね(^.^ゞ)
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