黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

細倉鉱山 #06

2011-10-18 05:43:51 | 産業遺産
宮城県の北部、奥羽山脈の東側の麓にある、
細倉鉱山のシリーズです。
前回に引き続き、鉱山住宅跡。

鉱山の南東、佐野地区と呼ばれる所に、
嘗ての幹部職員用の「佐野社宅」が残っています。Mapion

この社宅群は、実際に使われなくなった直後に2007年に
映画『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』
のオープン・セットとして使われたために、
かなりの部分で手が加えられてしまっています。

前回の記事では、
当時の姿を留めてると思われる場所をアップしましたが、
今回は、
オープン・セットとして作り込まれてしまったと思われる場所を中心に、
アップしようと思います。



入口から入るとまず目に入って来るのがこの光景です。
最初は嘗ての商店の名残かと錯覚しますが、
この部分は建物も含めて全てオープンセット。
しかし、いくら近ずいて見ても、
建物の壁や扉など、並んで建つ当時の建物と比べても、
まったく遜色がありません。







この一角は、当時の建物の外観を利用しながら、
主に看板だけ付け加えて、
商店街にしてしまったエリア。
昭和かどうかは分かりませんが、
雰囲気のある街並にはなっています。







映画での居酒屋に改造されてしまった建物。
居酒屋のセットは確かに良く出来てますが…







電柱に設置された看板の傷み具合等、
TDR並みの気合いの入り様です。
右側に写る建物は棟割長屋ですが、
幹部職員の住宅で棟割りは考えられないので、
これは建物自体もセットで造られたものじゃないでしょうか。







敷地の奥には、社宅街で一番大きな、
鉱長さんの社宅があります。
建物は実物ですが、
奥の「西島炭鉱」と描かれた事務所は書き割りです。
映画の舞台は筑豊炭鉱で、
西島炭鉱も架空の炭鉱なので、
細倉鉱山とは全く関係ない世界ですね。







一般公開では室内も見学ができます。
これもどこまでが実際のものかは分かりませんが、
段差のある土間や竃など、
貴重な光景を見る事はできます。







部屋をもう一つ。
鏡台や炬燵櫓など、これらも今では見る事のなくなった、
日本の家具ですね。
ただ鏡台に布がかかってなかったり、
炬燵やぐらが剥き出しで部屋に置いてある等、
なかなか不思議な光景だとは思いますが。



佐野社宅は無料で一般公開されていましたが、
3.11の震災以来見学は出来なくなってしまっているようです。
1日も早く復興してくれるといいですね。

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