十の輪をくぐる読了。
帯で荻原浩氏が書いている通り、20代でこの作品が書けるとは凄いです。
ただ読んでいて気分の良いものではなかったです。先は気になるけど、常に嫌な気分にさせられてたかな。
過去と現代を行き来する形で、若かりし頃の万津子を取り巻く人々もそうだけど万津子に対してもどこか違和感を覚えた。
現在では万津子の息子泰介の言動には辟易させられる。後にADHDと判明してもです。
万津子は満に騙されて結婚してしまったが、満の息子の泰介も本性を隠して由佳子と結婚したんじゃないかって邪推もできる。由佳子ははっきりと泰介との結婚理由を述べていたけれど。
泰介のような人と出会ったらどう対応していいのか考えてはみるものの、結局は突き放してしまうだろう。
この作品では泰介の娘が自分はADHDではないかと心配になり調べ始める。泰介の言動を見た娘は、父もADHDではないかと気になり自分の悩みを打ち明ける形で診察をすすめるあたりは絶妙だなと思った。
ADHDの治療には「薬物治療」と「心理社会的治療=心がけ」の2つあるそうで、
これを知れたことは良かった。
良隆ちゃんが死んだ原因がわからないのが・・・うやむやにしているのは私の想像通りなのかと。
そうなると万津子の対応もどうかなと思う。
なんか好感の持てる登場人物がいなかったのが、読んでいて常に嫌な気分だった原因だろう。
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