以前、アメリカの1コマ漫画をご紹介しました(第268回ー文末にリンクを貼っています)。アメリカならではのジャンルで、もう少しご紹介したいネタが残ってましたので、お付き合いください。なお、< >内がキャプション(登場人物のセリフ)です。
まずは、「精神分析医」です。かかりつけの分析医がいるのが、ひとつのステータスとされるアメリカ。日本人だったら、酒場で仲間にクダまいて解消するような悩みを、いちいち分析医に相談するのもアメリカ。
アタマの部分が高くなった長椅子に横たわる患者と、分析医という構図の中で、とんでもない悩みと、とんでもない医者の言動(章のタイトルは、「頭のねじれ」)が展開します。
ネイティブアメリカンの患者。
<マンハッタン島を24ドルで白人に売った先祖の事を考えると、くやしくて眠れません>
気持ちはよく分かる。
雄大な妄想をかかえた患者も来訪する。
<今までのことをお話しください>と促された患者がしゃべり始める。
<まず天と地をわけ、夜と昼を創り・・・・・>
なんとスケールの大きい妄想!!
ヌーディスト・キャンプ内の分析医へ女性患者が訴えている。
<あたし時々、着物をつけて、大通りへかけ出したいとの衝動にかられるのです>
ヌーディスト・キャンプならではの、「深刻な」悩みです。
分析にかかる治療費は決して安くないようです。
<財産のことが心の重荷になっています>と訴える患者に、
<ご心配なく。私におまかせになれば、すみやかに軽くしてさしあげます>
お次は、特許申請の代行、コンサルなどをする「 弁理士事務所 」を舞台にした漫画(章のタイトルは、「ぬれ手でアワ」)も、取り上げられてます。一攫千金を狙って、突飛な発明を持ち込むというシチュエーションのものが定番です。こんなエロチックな発明を持ち込む人物も現れます。
事務所のスタッフが言う。
<どこが発明ですの。私にはただのガラスにしか見えませんけど>
弁理士事務所の前で、ふんぞりかえってる若き日のエジソン。ドアを開けた弁理士が叫ぶ。
<You again!(また君か)>発明王は、特許申請王でもあったはず、というオチです。
こんなひねったネタもあります。どこからともなくやって来た原始人が、火や車輪を持って、事務所の前で待っている。世が世なら、確かに偉大な「発明」には違いないですが・・・・
さて、仏教的世界観だと、「極楽」ですが、キリスト教的世界観だと「天国」ということになるでしょうか。「雲の上の連中」とのタイトルで紹介される天国も、漫画となると、極めて人間臭い世界のようで・・・
夫婦で天国に召されたとおぼしきカップル。亭主が車がわりの「雲」を運転しています。
女房がうるさく指図している。
<ほら、スピードを落として。ハンドルを左へ。その雲にぶつかるわよ>
ぶつかっても、「死亡事故」にはならないはずなんですけど・・・・
平穏なはずの天国も、夫婦で、となると話は別。
夫人はハープなんぞをかなでて、満足の態だけど、亭主は
<永久にこの繰り返しなのか>とうんざり顔。離婚も浮気もできず、酒も飲めないのですから。
なかには、夫人にかまわず大っぴらに浮気する亭主が現れる。夫人が文句を言うと、
<うるさい。結婚した時の誓いは、「死が二人を分つまで」だ>と怒鳴り返している。これには思わず大笑い。
雲に乗ってる二人の男。ひとりが言う。
<地上でなにかあったらしい。あっという間に、数十億人がやって来たと思ったら、あとは、ひとりもやってこない>
ちょっと不気味なブラック1コマ漫画です。
前回(第268回)へのリンクは<こちら>です。
いかがでしたか?次回をお楽しみに。