中学校で、英語を習い始めた1960年頃、まわりには、アメリカン・ポップスが溢れていました。
ラジオで流れるのは、もっぱら本場の歌手が歌うオリジナルの曲。そして、テレビでは、サワリのパートくらいが英語で、あとは訳詞で、日本人歌手が歌う、というのが主流だったように記憶しています。
オリジナルの歌詞を全部聞き取るなんてことは、とても出来ませんでしたけど、所々、聞き取れる英語、というか単語があるだけで、いかにも新しいことを学んでいるような気分になったものです。
とはいえ、英語と日本語の壁は厚く、謎の英語歌詞に振り回されたことを懐かしく思い出します。
まずは、<ルイジアナ・ママ>です。当時のジャケットです。
飯田久彦がカバーしていた訳詞バージョンが、耳に残っています。歌いっぷりを再現すると、こんな感じです(後年の映像をYouTubeで見ることが出来ます。文末にリンクを貼っておきました)。
マ、ツ、リ、ガ、アーッタ
ア、ル、バ、ン、ニ~
ア、ノコサソッテフタリキリ
ダンスニイッタノサ、ソシタッラ
アノコハソットウチアケタ~
ボク、ガスキダッテ~
ビックリギョウテンウチョーテン
コロリ、ト、イカレタヨ
マールイジアナママ
ロニオリ
問題は、最後の「ロニオリ」です。
私には、そうとしか聞こえませんでしたが、友人の中には、「オリオリ」だ言うヤツ、いや「ロリオリ」だ、「ノリオリ」だと電車みたいな説まで飛び交いました。
後年、"from New Orleans"(ニュー・オリンズ出身の) だと分かった時は、胸のつかえが取れた気がしました。
中尾ミエなんかが盛んに歌っていた<可愛いベイビー>にも謎の歌詞がありました。
「可愛いベイビー、ハイハイ」という訳詞部分に当る英語です。
あれは、「スチャラカ・ベイビー」だ、いや「ヒチリチ」だ、いや「イチイチ」だと、これも議論百出でした。レコード買って来たヤツがいて、"pretty little baby"だと分かったんですけどね。
プレスリーの「ハウンド・ドッグ」も、出だしの歌詞(それしか覚えてませんけど)が神秘でした。
「ユエンナツバラハウンドック」と聞こえます。
「湯煙?夏原?」まさか俳句の兼題でもないでしょうし。
"You ain't nothing but a hound dog"(あんたは、(ハウンド・ドッグみたいに)口先だけの犬以外のなにものでもない)なんて、当時は、知りようもありませんでした。
と書いてきて、思い出したんですけど、PPM(ピーター・ポール&マリー)がカバーしていた「虹とともに消えた恋」という歌がありました。
確か、私の学生時代に流行った歌で、後年、タモリが、テレビの番組で、「冒頭部分は「しゅ~、しゅ~、修羅場~、修羅~、六尺、修羅婆(ばば)食う」と覚えて、歌ってた」と話してました。確かにそうとしか聞こえません。彼の話を思い出すたびに、頬が緩みます。
フランス語みたいな響きですが、アイルランドのゲール語だ、という記事をネットで目にしました。英語弁講座担当の私の手には余りますので、ご参考の情報ということで。
飯田久彦のルイジアナ・ママの映像は<こちら>です。
いかがでしたか?次回をお楽しみに。