僕の愛竿、ダイワの「琥珀本流エアマスター100MV」がカタログ落ちしたのが2014年。
ついにモデルチェンジされることなくラインアップから姿を消してしまったと肩を落とした。
補修部品が手に入るうちに、全ての節を手に入れてもう1本作ろうかと考えていたくらいだ。
メーカーに出して微妙なコミ調整をやってもらえば、ほぼ新品のエアマスターが完成するかなとも考えていた。
それが2015年に復活した。
実はある筋から2014年にエアマスターが復活するかもしれないとの情報は得ていた。
ところが実際にはカタログから姿を消していた。
もし復活するならば、SMT(スーパー・メタル・トップ)を搭載してくるだろう、僕はそう踏んでいた。
そのためにモデルチェンジが遅れて急遽カタログから落ちたのかもしれない。
それが事実だったのかと思わせるように、2015年に琥珀本流エアマスターはSMTを搭載して復活を遂げた。
カタログ上の製品名称は以下の通り。
琥珀本流エアマスター メタルチューン H100M(95-100)
琥珀本流エアマスター メタルチューン 105M(100-105)
僕が購入したのは下段の「105M」の方。
先代モデルを使い始めた頃は「10mで届かないならばもう諦めるしかない」と思っていた。
それが次第に欲が出てきた。
「ダイワさんには是非とも11mのエアマスターを作って欲しい」と。
さすがに11mは叶わなかったけれども、先代のパワーランクをそのまま引き継いだ105Mは、50cm長い10.5mとなった。
今回は2015年のシーズンの殆どを新しいエアマスターで実釣を重ねてきた僕の使用感を書いて行きます。
先ずはその長さに関係することから。
先代モデルは僕はズーム部を常時伸ばした状態で使っていた。
長さとしては10m。
それでももっと長い竿が欲しいと思ったのだから、当然二代目もズームを常時伸ばして10.5mで使っていた。
たかが50cm。
大差無いと思っていたがそうはいかない。
先ずは畳んだ状態での比較だが先代より長い。
手持ちのロッドケースには収まらず、鮎竿用の高価なロッドケースも購入することを余儀なくされた。
しかも、釣り場に着いてクルマから川へ降りて行くときにも、油断すると竿尻を地面に当ててしまいそうになるなど、持て余すことが多くなった。
では伸ばした状態ではどうか。
ズーム部を縮めて長さ10mで振るときにはこれまでに近い感覚で振り込める。
持ち重り感も問題ない。
ところがこれを50cm伸ばすと一気に持ち重り感が増す。
振り込み時も「よっこらしょ」という感じで力を要する。
シーズン初期は一日中振り続けた翌日には手首が痛んだ。
恐らくこれはSMTを搭載したことにより穂先に金属を有することが影響しているのだろうと感じた。
その感覚は仕掛けを付けずに竿を伸ばした状態にして構えてみるとよく分かる。
この持ち重りに慣れることが出来なければ、ズームを縮めた状態での使用を考えなきゃアカンなあ、でも10mならば先代の方が遥かに扱いやすいしなあ・・・
そんなことを考えながら使っていくと、次第に10.5mの持ち重り感にも慣れてきた。
次に竿そのもののパワーや調子について。
5月の長良川でサツキマスが掛かってくれたらシーズンの早い段階でこの竿のことをもっと掴めたと思う。
しかし残念ながらサツキマスは掛からなかった。
今シーズン初めて尺を超える魚を掛けたのは益田川で獲った36cmのニジマスだった。
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(2015/06/14 益田川~貧果の中にも手応え)
岩盤帯で河床勾配の強い段々瀬のあとの深瀬から開きに続き大淵となるポイント。
流れは広大で押しも相当強い。
しかも思いっきり腕を伸ばした状態でのドリフトで、流し切る直前に掛けた。
竿を立てられずにそのまま糸が切れるという醜態になりかねない状況だったが、難なく獲ることが出来た。
この時に感じたのは先代モデルよりも相当パワーが上がっているということだった。
要するに強い竿になったと感じたのだ。
実際にはパワーそのものに変化はなく「パワー感」が上がっただけかもしれない。
XトルクやVコブシといった、先代モデルの開発時にはなかった技術の恩恵かなとも感じた。
あの状況で先代モデルに36cmのニジマスが掛かったら、よく言うようにそれこそ「元上から曲がった」と思う。
ところが二代目エアマスターではまだ余裕があるように感じたのだ。
そして曲がりに関しては、このときは先代モデルに本当によく似ていると感じた。
その印象が強く、僕はこの後の2015年のシーズンで何度も失態を演じることになる。
ではその曲がりについて抱いた印象がどのように変わって行ったのかを書いてみる。
最初にその印象に疑問を抱き始めたのは、7月の下旬に高原川で34cmのヤマメを獲ったときだった。
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2015/07/25 高原川~遅すぎるヤマメ34cm
そこは非常に水深のあるポイントで、多くのヤマメは底へ底へ潜るような抵抗をする。
その時に先代エアマスターなら腰を落として竿を矯めている僕の目の前まで穂先が降りてきた。
「目の前まで穂先が降りてくる」。
このぞくぞくする瞬間が大好きで僕はこのポイントに通っている。
しかし、その時は目の前まで穂先は降りてこなかった。
しかし遣り取りからかなりの大物が掛かったと予測した。
結果的には34cmのヤマメだったが、非常に体高豊かな筋肉質の逞しい体躯で、40cm近い魚が掛かったんじゃないかと僕を惑わせたのも頷けた。
ところが穂先は中空に位置したまま二代目エアマスターは弧を描いていたのだ。
「おかしいなあ、この引きならもっと絞ってくれてもよいのにな」と感じた。
この後も何度か同じような疑問を感じた。
高原川で40cm近いニジマスを掛けた際、疾走する彼等を止めようと竿を絞ると、決まって同じような感覚を抱いた。
「もっと絞れるんかなあ。いまいち胴に乗る感覚が希薄なんだよなあ・・・」と。
決定的になったのは8月半ばの益田川での遣り取りだった。
魚の姿は見ていないが、引きの力強さからかなりの大物だったことは間違いないと思う。
その魚を掛けたのはたいして押しも強くないトロ場のようなポイントだった。
要するに水勢を加味せず、純粋に魚の引きを感じられるポイントだった。
掛かった瞬間から相当な力強さで沖へ向かった。
竿を絞りながら釣り座を移動して魚に着いて行ったが、それ以上行かれては困るというところまで来たとき、魚の動きを止めるべく竿の絞りを強めた。
しかし、魚は止まらない。
これだけ強く絞っていたら、先代モデルなら間違いなく元上から曲がる。
更にその限界付近でもなんとか耐えて魚をいなしてくれた筈だ。
魚の動きを止めるところまでのパワーはなかったにしても、逆に動きを穏やかにして宥めるような方向に持って行ってくれたと思う。
ところが二代目のエアマスターは違った。
絞っても曲がりの支点は元上のひとつ上の節にあるような感覚だった。
実際の支点は分からないが、明らかに先代エアマスターよりも穂先側に支点があると初めて分かった。
結局その魚の動きを止められずに糸が切れて終了。
悔しい思いをした。
その時に僕は釣りを一時中断して考えた。
「同じ調子だと思っていたけど、違うのかな・・・」。
結論はこうだ。
二代目は先代よりも50cm長い。
50cm長くなったのに、先代同様に元上から曲がるような調子にしたらどうなるか。
恐らくモーメントが大きくなり過ぎて非常に扱い難い竿になるだろうと考えた。
更に、本来なら取り込み時にズーム部を伸ばすことを想定している竿であることも理由の一つと考えた。
ズームを伸ばした状態というは、伸ばす前に比べると、竿の全長の中での曲がりの支点は相対的に穂先側に移動する。
他にもまだある。
Vコブシを採用したことにより穂先側の節の長さが短くなっているにもかかわらず、先代よりも全長を伸ばさねばならない。
元上やその上の節などで伸ばす長さの分を稼がねばならない。
これらのことを考えると、同じ「エアマスター」ではあるものの、初代と二代目ではその調子に明らかな差異があっても何ら不思議なことではないのだ。
「そういうことだったのか、全く思い及ばなかった。なんて浅はかな考えだったのか。エアマスター愛用者なのにエアマスターのことを十全に理解していなかったのだ」と自身の釣り師としての知見、力量、洞察力を恥ずかしく思った。
10mよりも長い竿が欲しい。
こう思ったが、それが実現しても釣果は変わらないどころか、昨年に及ばないではないか。
川の状況がよくなかったというのは勿論ある。
でも、絶対に10.5mでなければ獲れなかった魚が居るだろうか。
いや、「居る」と胸を張って答える自信はない。
「ならば10mでいいでしょう?
先代モデルの方が比較にならないくらい扱いやすいでしょう?」と自問する。
「確かにその通りだ」。
しかし、先代モデルをこれ以上出動させたくはない。
何かがあって破損した場合、元に戻せなくなる可能性が年々高まる。
ここまで愛着のある竿を失いたくはない。
一本の竿として形を残しておきたい。
飾るための竿でも構わない。
とにかくこれ以上先代モデルにダメージを与えたくはない。
そう考えると、ここはやはり二代目エアマスターを使いこなせるように自身の釣技を向上させねばならないのだろう。
或いは、2015年12月発売予定となっているモデルチェンジしたシマノの10mの本流竿。
もしかしたら、こちらの方が先代エアマスターの調子に近いのかもしれない。
一度振りに行ってみよう。
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