前週の釣行ではなんとか尺以上のアマゴを2本獲ることが出来た。
でもこの釣果は当初の目論見に達していない。
「三日間で3本の尺以上のアマゴを獲る」を釣行前の目標にしていたからだ。
僕は釣った数には殆ど拘りはない。
基本的には1日に1本の尺以上のアマゴ、若しくはヤマメが獲れればそれで充分と考えている。
フィールドによっては尺以上の個体に出会うことは稀だということもある。
そのようなときは、その川で、若しくはそのポイントで最大級の魚を1本獲れればよいと考えている。
実際には週末は泊まり掛けの釣行となる場合が殆どなので、高原川のように大物が獲れる確率が高い川では二日間で2本以上の尺以上のヤマメを獲りたいと思うし、益田川や小坂川への釣行では週末の二日間で1本の尺以上のアマゴを獲りたいと思っている。
ただ、前週の三連休は大物の着くポイントに絞って入川するつもりだったし、禁漁直前の最大限にアマゴが大きく育った時期なのだからいつもより高めの目標設定にした。
ところが実際はかなり厳しい釣りだった。
早朝に網を回収し、夕刻に再び網を仕掛けるというパターンが多いため、我々釣り師が日中に竿を出すことにはさほど障壁とはならない。
しかし、朝は夜明け前の空が白み始めた頃から竿を出したい、夕まずめは日没後暫くの目印が確認出来るうちは竿を出したい、そう考える釣り師には前述のパターンは非常に厳しいのだ。
網が毎朝回収され、毎夕仕掛けられる・・・これを繰り返すうちにそこに着く魚たちは当然警戒するだろうし、網に掛かかってそのポイントから抜かれてしまうということも充分に考えられる。
そう思うと、もうシーズン最終盤は益田に行くのはやめようかとこれまでも何度も考えた。
でもその時期だけ別の川へ釣行したところでその川のことをよく知らないのだし、それに網は日中は回収されているのだから魚も自由に移動できる筈と気を取り直し、なんとか網銀座の益田川と小坂川でも終盤に尺以上の個体を獲ってきた。
勿論今シーズンもそのつもりだった。
しかし、益田川で僕が狙いを定めていたポイントには想定外の場所に網が仕掛けられ、まるっきり釣果に繋がらなかった。
他の有望ポイントでも竿を出したがいまひとつパッとしない釣果だし、小坂川でもそれは同じことだった。
2014年9月20日の早朝、もう尺アマゴを獲るぞとか空回りしそうな気合は入れてはいけないと自分自身に言い聞かせながら益田川へ降り立った。
それでもやはり微かな望みに賭けたいもので、懲りもせずに前週は3日間とも朝一番で入ったポイントに入るつもりだった。
暗いうちから準備を始め僅かばかり空が白み始めた頃、堤防の斜面を降り始めたときに愕然とした。
網ばかりではなく、既に釣り師が入っていた。
どこから入川したのか分からない。
僕が斜面を半分くらい下ったまさにそのときに岸辺へ降り立ったようだった。
こればかりはどうしようもない。
僕が気付いていなかっただけでその釣り師が先に釣り場へ到着していたのかもしれない。
或いは僕の方が先に到着していたとしても、川へ入ろうとしている釣り師に向かって文句をぶつけて小競り合いになるのは避けたい。
どうせ網の回収にやってくるだろうし、もう今日は初めから別のポイントに入ろうと気を取り直して移動した。
しかし、別のポイントと言ってもこの時期に大型のアマゴを狙うのに好都合な箇所はなかなか思い付かない。
大物の着き場というものを幾つか知ってはいるが、今時期の着き場ではない。
でも、僕の方で勝手にそう思い込んでいるだけかもしれないと思い直して竿を出してみたが、今日ばかりは幸か不幸か僕の考えは当たっているようだった。
20cm台半ばの来シーズンまた会いたいアマゴが数匹遊んでくれただけだった。
少しずつ気持ちが萎え始めてきた。
どうせ大物が釣れないならと半ば投げ遣りな気持ちで、ならばパーマークの鮮やかな綺麗なアマゴを釣ろうと思い小坂へ向かった。
前週の釣行の際には先行者が居て断念したポイントは今日は空いていたので入ってみた。
恐らく盆の出水によるものと思うが流れが変わっていた。
もしかしたら新たな着き場が出来ていて魚が入っているかなと淡い期待を抱いた。
順に流れを探っていき、大物が着くならあの筋のあの辺りだろうと予測した地点で食ってくれた嬉しいアマゴに出会えた。
顔付も精悍で凛々しく体型も申し分ない。
しかし残念なことにサイズが足りなかった。
去年なら立派な尺アマゴに育っただろうなと思わせるこの雄アマゴは27cmだった。
27cmでは満足できないと思い暫く流し続けたがアタリはない。
そこでまた別のポイントに移動した。
出来ればそこは今シーズンの最終釣行までそっとしておきたいポイントだったが、網問題もあるし、いつ魚がそのポイントから居なくなるか分からない。
もう釣れるときに釣っておいた方がよいという考えで流し始めた。
段差からの強い流れが岩盤に当たってほぼ直角に流れの向きを変えるポイントで、直角に曲がった後の緩い流れの中、もう少しで流し切るというところで餌を咥えて持って行くようなアタリがあった。
引きそのものはそれほど強くないし首振りも少ない。
暴れる感じはなく寧ろおとなしい手応えではあったが、寄せるには段差後の強い流れを横切らせねばならない。
重量感だけはかなりあったが、多分尺には届かないだろうなという予想は悲しいことに的中した。
釣ったことを申し訳なく思うような腹ボテのあまごは28cm。
もう釣られたり網に掛かったりしてはダメよと声を掛けて流れに返した。
ところが、翌日の釣果を先に書いてしまうことになるのだが、同じポイントの同じ流れの筋でまた僕の竿に掛かった。
掛かった際の引き方もほぼ同じ。
遣り取りの最中から「昨日の雌のアマゴによく似てるなあ」と感じていたのだが、釣りあげて魚体を見たときにまさしくそのアマゴだったので驚いた。
時刻は15時を回っていた。
以前夕まずめに竿を出したとき、陽が山の端に隠れるといきなり魚たちの活性が上がり、シビアな流しをしなくても次々食ってくれたポイントがあったため、僅かな望みを繋いでポイントを移動した。
流し始めて30分以上が経過した。
おかしなことにアマゴらしきアタリは勿論、ウグイやカワムツのアタリさえない。
水面には網を掛ける場所の証しのペットボトルが浮いている。
魚はもう大半が抜かれてしまったのだろうかと思いながら諦めずに流していると、網師と思われる初老の男性が川に降りてきた。
準備をしている姿を見ていると、どうやらこれから網を仕掛けるのではなく回収するようだった。
「なんだよ、網が入っていたのか。」と少しイライラしながら網が回収されるのを待った。
日暮れの直前までポイントを休めてまた竿を出そうと考えた。
岸辺で腰を降ろしていると、更に2名の網師が川に降りてきた。
3名揃ったところで舟に乗りこみ網を回収し始めた。
回収される網を見ていると、鮎たちに混じって時折40cm近い魚が掛かっているのが分かった。
最初はニゴイだろうと思ったが、川に棄てることも無くそのまま持ち帰ろうとしていた。
「いや、あれはニゴイじゃないな。あの魚体はアマゴやろう!」と驚いた。
子孫繁栄を願って、僕は釣り上げた魚の殆どをリリースしている。
特に禁漁間際の大型魚は繁殖活動に参加して大型の遺伝子を後世に引き継いで欲しいとの思いから必ずリリースしている。
でも、こうして網に掛かって一生を終えてしまうのか。
とても悲しく居た堪れない気持ちになった。
左岸から右岸へ、舟は進んでいき網は回収された。
ところが次は右岸から左岸へ2枚目の網を回収し始めた。
2枚の網の間隔は7~8mといったところか。
2枚目の網にも40cm近いアマゴの姿があった。
「そうかあ、やっぱりここに居た魚たちはああやって網に掛かってしまうんだな。ウグイのアタリさえないのも頷ける気がするなあ・・・」ともうその場を動く気にもなれずそのまま網の回収の光景を眺めていた。
2枚目の網が回収されると、案の定3枚目の網の回収に取り掛かった。
川を横断するように3枚の網が互い違いに7~8mの間隔で仕掛けられいた。
これでは釣れるわけがない。
以前見た光景、日暮れ間近のこのポイントで多くの渓魚たちが川面を割って飛び跳ねて居たことが思い出され、とても悲しい気持ちになってきた。
3枚目の網の回収が終わった。
回収され始めた時に既に予測はしていたのだが、3名の初老男性は持参した別の網を仕掛け始めていた。
僕はもう釣りをする気分には到底なれずにその場を立ち去った。
我々釣り師は、網師がそこで網を仕掛けていたり網を投げているとその場所には入らない。
入らないというか入れない。
退去せざるをえない。
しかし網師は、我々釣り師が竿を出しているまさにその時でも平気な顔で網を仕掛けにやってくる。
獲った魚を何処かに卸しているとか、生活が掛かっているのなら止むをえまい。
漁を生活の糧としている方々にとってみれば、竿で釣りをする殆どの人間の行為は所詮遊びだろう。
以前益田川漁協のホームページに管理人の言葉として以下のような内容が書かれていた。
「組合員にとって網漁は楽しみでもあります。どうかご理解ください。」
即ち、生活の糧というばかりではないのだ。
楽しみならば、その漁法が異なるだけで釣りと同じだ。
なのになぜ、釣り師が竿を出しているその真最中に網を仕掛けるという暴挙が許されて当然という振る舞いなのだろう。
回収ならまだしも、釣り師がそこに居たら仕掛けるのは暫く時間を置いてからという配慮を期待するのは僕の身勝手な考えなのだろうか。
その辺りは漁協が主導して組合員に指導、周知徹底を行なって欲しい。
仮にそのような要望を漁協に伝えても「個人のマナーによるところが大きいのでご要望には応えかねます」という回答が出てくるのが関の山だろうか。
遊漁者よりも高い料金を支払っているのだから優遇されて当たり前という声もあるかもしれない。
しかし、優遇制度があるなどとは漁協のホームページには一切記述がない。
もしそんな制度が存在するのならば、規約のPDFでも掲載しておくべきだろう。
釣りでも網でも、魚が着いて居そうなところを狙うのは同じだろう。
ならばこの先もずっとこの問題が付き纏うと思う。
双方がお互いの立場や楽しみ方を理解して、決して横暴な振る舞いの無いように、それぞれが楽しめる方法で益田川とそこに棲む魚たちに触れ合うことを望むのは無理な話なのだろうか。
漁協へ意見するのは筋違いな話なのだろうか。
非常に後味の悪い釣りとなった。
悪い事ばかりではないかもですねw
ちょっと違った角度からですが、網は先行者で凄腕の釣り師と考えるべきですよw
実際に網にかかったアマゴを見たのなら、そのポイントを確実に通るグッドサイズのアマゴが居る事に確信が持てる訳ですし、ナイスアマゴが少なく無いって事も分かった訳ですしね!
あっしらの追っかけてるサツキマスですが、
あっしの場合、すば網にかかった漁獲量をヒントに群れの遡上ペースやポイントを予測してるんですよね~
網の位置は長良川漁協の組合員の方が知り合いに居ますので伺いましたよ!
凄腕の釣り師がブログで釣果をアップしてるようなものかなぁ?っと…
活きた有力情報と考えるべきですよ~
それとその凄腕が捕り逃した個体を捕ってる訳ですから、ある意味勝ってますよねw
釣果で考えるたら絶対勝てないですからね~
あと…
そんだけ凄まじい釣果で文句言ってちゃいけないですよ~( ´艸`)
十分ですってw
釣れなかった人の言うことですよ~
釣れなかった人だって同じ遊漁料金払ってるんだから…
そんなに腹が立ったのなら来期は回り込んで網の目の前でデカいアマゴをぶち抜いてやるしかないですよね~(*・ω・)ノ
網師の悔しがる顔を見るまでは安息は来ないかもですよ~(^O^)v
>実際に網にかかったアマゴを見たのなら、そのポイントを確実に通るグッドサイズのアマゴが居る事に確信が持てる訳ですし・・・
↑Rosso♪さんのおっしゃる通り、僕も「やっぱりここには大物が入っていたんだな、ポイント選びは間違ってはいなかったな」と慰めましたよ(笑)
その他にも書いて頂いていることはごもっともなのですが、毎年毎年横暴な網師の振る舞いに遭遇するとね、やっぱり文句を言いたくなります。
でもね、今まで実際に文句を言ったことはありませんよ。
「それでも俺様は釣ってやるぞ!」と思って釣ってきました。
ただね、この記事に書いた日だけはそんな気持ちが全然沸いてこなかったです。
腹立たしいのもあるし気が抜けたような感じになっちまいました。
因みに、来シーズンは僕はサツキマスには出会えないと思います。
今シーズンの5月頃は平日釣行可能な身分でしたが、来シーズンは休日アングラーなので・・・
長良川に遊びに行くという感じでやってみますね(笑)
私は飛騨を中心に渓流釣りをやりますが、この網漁の記事と全く同じ経験があります。言葉にならない絶望感でした。漁は仕方ないとはいえ根こそぎは…私が見た時はアユではなくほとんどが渓魚でしたから。更に支流ではウエットスーツの人達が潜って渓魚を獲ってました。依頼私は人があまり行けないような源流釣りばかりしています。しかし最近は、こんな所までというようなポイントに人影があります。特にルアーの人が増えました。私は魚を絶えさないように気をつけて釣りをしているつもりです。これからもそのつもりではいます。益田川、小坂川にはよく行きますので、どこかでお会いできるかもですね。