前日の飛騨の小渓流での釣りは正直なところ疲れた。
寒いし、久しぶりに渓を歩いたし。
明け方もかなり冷え込むだろう。
早朝から川に降り立つのはあまり気乗りがしないな・・・
そう考えながら寝袋に潜り込んで熟睡し、目が覚めたのは8時頃だった。
長良川のいつもの場所は釣り師もまばら。
恐らく今朝は誰も釣っていないのだろう。
別の場所を当たってみようか。
ということで8時半頃から14時近くまで、何箇所かのポイントをかなり丁寧に流してみたが、疎らなのは河原の釣り師だけでなく、水中の魚も同様というのが長良川からの回答。
本当に魚が居ない。
※画像はポイントのイメージ図、且つ釣り師が居なくて釣れていないことの証左となる画像
釣れなくて当たり前なのが遡上魚の釣り。
もう相当以前からボウズでも特に何も感じなくなっている。
はっきり言って慣れた。
でも、見込みがあるならボウズが続いてもいいよ。
現在の状況はそういうわけではないだろう?
魚が、サツキマスが居ないのだよ。
市場への出荷本数が5月14日時点で20本なんてどうかしてるよ。
そんなごく僅かしか遡上してきていないのに、それが釣り師の竿に掛かるのは・・・偶然の要素が大半じゃないかな。
僕の遡上魚の釣りは下手くそだから釣れなくてもさほど問題にはならないが、名手と呼ばれる釣り師の方々も釣っていないのだよ。
今シーズンもサツキマスは諦めようかなあ。
本当に幻の魚になっちまったよ。
追憶のサツキマス
こんなタイトルで一生懸命ブログを更新していたのは2014年のシーズンだった。
以来サツキマスとは出会えていない。
本当に僕は遡上魚に縁が無い。
週末にしか釣りができないということもあるが、それ以上に運も無い。
掛かって岸近くまで寄せたけどバレたとか、恐らくサツキマスだろうけどチモトでハリスを切られたなど、そんなことばかりだ。
いや、僕がサツキマスに出会えない理由の最も大きな理由はこれだと思う。
「釣り方に問題がある」。
居付きの個体は食ってくる、口を使って威嚇する、興味を示すような釣り方でも、遡上魚には効果的でない釣り方をしているのだろう。
でもどのような点が問題なのか分からない。
分からないままシーズンが過ぎる。
だから僕はもう、サツキマスに関しては「釣れても釣れなくても、毎年5月は長良川で竿を振る」というライフワークのつもりで取り組んでいる。
それでもここまで釣れないと気持ちは萎えるよ。
2015年はまだ何度か掛けることができた。
2016年は「なんだ今シーズンは、この場所は素通りか。こんなひどいシーズンはないな」と思って5月下旬まで長良川に通った。
2017年は「去年がいちばん酷いシーズンだと思っていたけど、今年はもっと酷いな」と思い、5月上旬でもう長良川を後にした。
2018年のシーズン、僕らの漁場のすぐ近くまでマスたちは遡上してきていると思う。
ルアーアングラーの方々を魅了している。
もうすぐだ、もうすぐ僕らのポイントにやってくる。
そんなタイミングで降雨があり水位が上昇することが何度かあった。
勿論、下流域でルアーアングラーたちを魅了した一群は素通りして郡上の方に向かうだろう。
そもそも、遡上数がそれなりにあれば「その一群は素通りしてしまう」などと考える必要はないのだろう。
次々に遡上してくるから、その時期に毎日同じポイントで川に立つ「定点観測方式」を採れば通過するマスたちに当たるだろう。
それが叶わないのが現実だ。
釣り師の竿に掛かる程の遡上数が無いのだろうと思う。
週末しか竿を振れない僕は、最も遡上の多い時期は定点観測方式、それ以降はある程度上流域で散った個体たちを狙って所謂「ラン・アンド・ガン」方式を採っていた。
※画像はポイントのイメージです。
そんな釣り方ではいつまで経っても釣れない川になってしまった。
長良川は豊かな川のはずなのだが。
今シーズンもサツキマスの顔は見られないだろうな。
そろそろ、益田川の本流アマゴたちが呼んでいるよ。
追憶のサツキマス 画像イメージ
どうだっ!
追憶感出てるだろっ!?
その日は土曜日。
週の半ばから後半にかけて結構な量の降雨があり岐阜県下の殆どの河川で増水していた。
釣行先を検討してみる。
益田川は土曜はまだ水が高過ぎて釣りのできる状況ではない。
高原川は程無く水位は落ち着き釣りが可能な状況にはなるだろうが、それと釣れる状況になるというのとはまた別問題だった。
賭けの要素が強過ぎるので除外した。
となると、長良川はどうか。
郡上の中でも白鳥以北の上流部なら、まだ水が高いことには間違いなかろうが、釣りが出来ない状況ではなさそうだ。
寧ろマス狙いならばいい感じの出水ではないか。
そう考えて、これまで数えるほどしか竿を出したことのない郡上の上流部へ向かった。
行き先を決めあぐねていたため、自宅を立ったのは午前6時くらい。
いつも夜明けと同時に竿を振り始める僕にとってはかなり遅い出発だった。
当然先行者はいるだろうが、アマゴと違ってマス釣りならばあまり気にしなくてもいいかなと最近は思い始めた。
誰かがさんざん流した後に代わって入った別の人が数回の流しの内にマスを掛けたということはよく聞く話であるし。
それに、不慣れな流域なので完全に明るくなってからの方が入川に都合が良いだろう。
先ずはこれまで何度か入ったことのある越佐堰堤付近の流れを見てみた。
堰堤直下は案の定釣り師で埋まっている。
堰堤を越えた魚が休むにはいいかなとも思える淵やトロ場はすぐ上流に控えるが取り敢えずそこは除外しよう。
もっといい流れがあるかもしれない。
僕はそのまま上流に向かってクルマを走らせ牛道川との出合い辺りに来てみた。
いつもはさほど魅力的に思えなかった上越佐の堰堤だが、水位が上昇していい感じの流れになっている。
堰堤直下までやって来てすぐには遡上出来なくて止まるマスたちが着くならここだろうという筋も予測できる。
今日ならここが良いだろうと判断し、期待に胸を膨らませて竿を振り始めた。
周囲には誰も釣り師はいない。
暫くすると堰堤を越えた上流のトロ場に鮎師が入ってきたが、マス狙いの釣り師は全く来ない。
僕は貸し切り状態の中で隈なく探ったが、狙っていた筋での待望のアタリの正体はアマゴだった。
今日はイケるぞ!と気合が入り過ぎたのか、サツキマスの気配が全く無いと急に意気消沈してきた。
最初はこのまま上流部に向けてクルマを走らせるつもりだったが気持ちも萎えてきて、先ほど見かけた越佐堰堤を越えた後の淵の辺りで竿を出してみた。
これが思ったよりもかなり流しにくい。
流したい筋には微妙に届かない。
益々意気消沈してしまった僕はクルマに戻り昼寝を開始した。
午前中は断続的に小雨が降っていたが、目覚めた頃には曇り空ではあるものの雨は上がっていた。
そして風が強くなっていた。
釣りにくくなるなと思いながら、せっかくここまで来たのだからと思い上流に向けてクルマを走らせた。
赤瀬堰堤を見てみると、右岸に一人延竿師が入っていた。
左岸から入ろうかとも思ったが川幅が広くないので邪魔になるだろうと思い入川は控えた。
もし僕が右岸で釣りをしていたら、左岸のこの場所には入って欲しくない。
自分が迷惑に感じることは他人様にもしてはならない。
僕はそのままクルマを上流部に走らせた。
どのような呼称なのかは分からないが、いい感じの流れがある。
しかしそこも入川者がいた。
更にクルマを走らせる。
おまん桜堰堤には誰も入っていない。
右岸からなら、ササっと身支度を整えてすぐに釣りを開始できるような状況だった。
しかしその日の流れを見ていると、長尺のエアマスターを使って左岸側から探る方が良いように思えてきた。
僕はおまん桜堰堤の左岸側にクルマを移動させたが、堤防に上がるには農作物を野生動物から守るための電気ショック用の線を越えなければならなかった。
よく見かける電線は、一番高い位置にある線を僕でも跨げる。
しかし、そこにあるのは一番高い位置に張ってある電線は僕の胸くらいの高さだった。
当然跨ぐことはできない。
電線の間を上手くくぐることも難しい。
これは畑の地主さんが釣り客に対して「来るなよ!」と言っているということなのかと思いながら仕方なくまた下流に戻り始めた。
越佐堰堤周辺の空いているところに入ろうかなと思いながら赤瀬堰堤を過ぎると、先ほど右岸で竿を出していた釣り師の姿はない。
僕はクルマを停め、そのまま左岸側に入った。
対岸には誰も居ないので長すぎるかと思ったが敢えてエアマスターで対岸付近の筋まで探り始めた。
時折アタリはある。
でもそれはマスのアタリではない。
恐らくウグイとかカワムツのものだろう。
でも、サツキマスのアタリこそないが流れは非常にいい感じだった。
いつマスが掛かっても不思議ではなさそうだと感じた。
しかし、僕の竿には掛からない。
途中で対岸の下流の方にフライマンが入ってきた。
僕とは決して交差しない箇所からキャスティングしていた。
お陰さまで僕は完全に日が暮れるまで辺り一帯をしつこく探ることができた。
それでもマスが掛からないのはやはり腕が良くないのだろう。
「今日はイケそうだ!」という期待も完全に消えた、
そもそも僕は遡上魚には縁がないと思っていたが、センスもないのかもしれない。
居着きの魚を狙う釣りと比較すると、釣行回数は勿論、実際に釣った回数も極めて少ない。
センス云々の問題もあるだろうが、まだまだ経験が足りないのだ。
何年か後、今よりも僕の遡上魚狙いの釣りの腕が良くなっていたならば、今日の水況でマスの顔を見ることはさほど難しくなかったのではないかと思う。
しかしそれにしても僕は本当にサツキマスには縁がない。
もう今シーズンは追憶のまま終わるなあと殆ど諦めの境地で、でも時には休日の所用や他河川の水況によっては長良川でサツキマスを狙うこともあるだろうなと思っていたが、今日はまさしくそんな日だった。
そのような取り組み方ではやっぱり掛かってはくれないのだろうか。
今シーズン、もう一回くらいは長良川でサツキマスを狙った釣りをしたいなと思う。
そしてその時にはしっかりと僕の竿にかかってくれることを願う。
釣れなくても悲壮感は覚えなくなった。
耐性が出来たのかな。
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理由は大きく三つある。
まず第一に、6月以降は長良川で鮎釣りが解禁となる。
鮎釣り師の合間を縫ってのマス釣りは窮屈になる。
朝一番だけなら竿を出せるが、僕は休日にしか釣りができない。
せっかくの休日ならば終日竿を振っていたい。
第二に、遡上してから日数が経過するとマスたちも次第に痩せてくる。
銀白色の魚体に婚姻色が浮かび始める。
出来れば銀白色の魚体のサツキマスを釣りたい。
第三にそろそろ本流のアマゴやヤマメも大きく育ってくる。
最終的には降海していない、川で大きくなった本流のアマゴかヤマメを獲りたいと思っている僕の目指す釣りからは遡上魚狙いの釣りは外れる。
そのような理由で一旦は終了なのた。
もっとも絶対にマス狙いの釣りはしないかといえばそうではない。
休日の所用や水況によっては朝一番だけサツキマスを狙うということはあるだろう。
でもとにかくこの週末が一区切りだ。
なかなか本気になれなくてのんびり動き出した今シーズンだが、いざ始めるとやはり一本でよいからサツキマスに会いたい。
その思いは届かないまま、最終日が訪れた。
2015年5月30日の釣りは、結果から言うと釣れなかった。
アタリもなかった。
前の週に細山長司さんを招いて催された長良川サツキマス実釣会のポイントや、渇水時にマスが集まると言われているポイントなどをしつこく回ったが、サツキマスの気配は皆無だった。
「温いなあ、20℃くらいはあるだろうなあ・・・」と思ったもののとくに測定はしなかったのだが、あまりにも魚の気配がないので水温を計ると16時の時点で22℃もあった。
この渇水でこの水温。
恐らくもう少し前の時間帯は今よりも高い水温だっただろう。
無理だと諦めざるを得なかった。
翌5月31日は、少しでも水温の低い上流部ならまだ望みはあるのではないかと考えて郡上漁協管内のポイントで竿を出した。
遡上の初陣はもうここまで来ているだろうと考え、朝一番は白鳥のポイントに入った。
ところが僕の他には誰も釣り師は居ない。
まだ時期尚早だったのかとの考えが一瞬脳裏を過った。
しかし、川の側まで近付いてそれは誤りだったと気付いた。
とにかく水が少ないのだ。
白鳥のこのポイントでこんなに水が少ないのは初めて見た。
これはもうマス釣りなんか出来ないなと思ったが、念のため竿を出してみた。
しかしそれも徒労に終わった。
サツキマスどころか魚からの反応は一切無かった。
その後は下流に移動しながら気になるポイントで竿を出してみた。
長良川中央管内よりは確実に水温は低かったが、いかんせん水位が低すぎる。
このような水況のときにマスが集まりそうなところを探ってみたがアタリは一切なかった。
一区切りつけようと考えていた日の釣りがこんな有様ではなかなか諦めが着かないものだが、でもここは初志貫徹で一旦は区切りを付けよう。
昨シーズンは毎週末のように泊まり掛けで釣りに出かけたが、恐らく今シーズンはそういうわけにはいかないと思う。
前述のように所用やら何やらで朝一番しか竿を出せないという日があるはずだ。
そのような日に長良川の水況がよさそうだったらまた来てみよう。
そう思いながら、例年殆ど中央管内でしか竿を出さない僕は、郡上管内のポイントの下見を兼ねてポイントに立ち寄り観察し、時には実際に竿を出して感触を確かめた。
2015年5月30日、31日。
長良川 追憶のサツキマス2015~VOL:10 サツキマスは追憶のまま。
そろそろ益田の本流アマゴと高原の本流ヤマメに照準を変えてもいい頃だと思う。
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