安倍は、アベノミックスで円安、株高、経済成長が実現?したので、税収、予算を自分の考え方で組むのだと側近に語っているとのことです。彼らの感覚では、当然なのかも知れませんが、行政の公平性、長期的視点での政策立案などについては、全く配慮せずに政策課題を提起しているように見えます。衆議院、参議院選挙で2連勝、国会の衆参ねじれを解消し、巨大与党を実現したのは安倍、麻生、アベノミックスなのだから、党内で安倍に意見を言える議員もいないようです。
内閣法制局長官人事で、法制局の見解を変更する。日銀総裁を変更して政府の意見を、日銀を通じて実施させる。などなど、人事権を使って恫喝、強要するなどやりたい放題です。
デフレ経済、経済の低迷の最大要因は、従来型の経済構造を変えられないことです。小泉政権、安倍第一次政権が、大幅な規制緩和を通じて、正規労働の削減、非正規労働の拡大で低賃金労働者を拡大し、賃金水準を引き下げたことが国内消費を低迷、減少させ、経済の停滞を作り出してきたことは経済学者も認めるところです。そのことを認めたからこそ、安倍自身が経団連、大手企業に賃金引上げを(形式的に)要請しなければならなかったたわけです。その賃金上昇を実現しない限り、どのような経済対策を打とうが、デフレの克服、長期的に国内景気の回復を実現することはありえません。ところが、自民党政権は最低賃金の大幅な引き上げには応じず、非正規労働の規制、削減もせず、逆に解雇規制の撤廃、残業規制の撤廃を審議する有様です。
国土強靭化は民主党政権時代に野田政権に対して消費税率引き上げとセットで書き込ませました。その強靭化法案を政権について、自らが法案として作成しました。これは名称を変えた、公共事業の復活、ゼネコン、セメント、鉄鋼業界への予算のバラまきです。理由は、東日本大震災を利用した、道路、港湾、河川工事などへの予算投下です。赤字国債の主要部分を占めた公共投資、ゼネコン救済資金投入を忘れたかの自民党政権の傲慢さです。消費税率引き上げ税収分を大手企業向けに減税と、公共事業へのばら撒きに使用し、赤字国債の削減には全く、税収が寄与しないことになります。安倍、自民党、野田民主党、公明党の倫理観のなさと、財政の改善に対する無責任さはひどさを増すばかりです。
<社説:国土強靭化法案の問題>
あたかも水戸黄門の印籠(いんろう)のように、ばらまきにお墨付きを与える根拠としてはならない。
大規模災害などに備えるための国土強靱(きょうじん)化基本法案の次期国会での動向が注目されている。国土強靱化の名の下に野放図な公共事業に道を開く懸念や、他の政策よりも公共事業が優先される可能性など、法案は多くの問題点を抱えている。
「国土強靱化」は東日本大震災の教訓を踏まえ、自民党が今後10年間の防災のハード整備に加え、道路網整備などによる「多軸型国土の形成と物流ネットワークの複線化」実現に向け、掲げる理念だ。同法案はこうした「国土の全域にわたる強靱な国づくり」を支える仕組みを制度化する。自民党は野党時代にいったん法案を提出したが廃案となり、さきの通常国会で名称に「防災・減災等に資する」と付け加え、内容も改めた新たな法案を公明党と共同提案した。
旧法案が「ばらまき」批判を浴びたこともあり、今の法案は大規模災害対策に限定的ともとれる構成とし、既にあるインフラ施設の活用を盛り込むなど配慮もみられる。大震災の教訓を踏まえ全国的な防災の再点検は当然だが、なお多くの疑問を指摘せざるを得ない。
まず「国土強靱化」が何を意味するかが依然としてはっきりしない点だ。法案によると、政府は防災に関する課題を洗い出し、基本計画を策定する。どんな分野が対象かが明確でないと、かなり広範な政策が含まれる可能性がある。
中央集権的な要素もある。法案では地方自治体も施策を策定、実施する責務を負い、国民もまた国土強靱化に関する施策に「協力するよう努めなければならない」とされている。統制強化につながりはしないか。
政府の他の計画も国土強靱化に関する部分は「国土強靱化基本計画を基本とする」とされ、国土強靱化が優位に立つ。財政再建、福祉、環境保全よりも公共事業が優先し、幅を利かせる根拠とならないだろうか。
全国的な防災を実施するにあたって道路整備や堤防、防潮堤などのハードの新設を積極化するか、それとも既存設備の老朽化対策、耐震対策を優先していくかなどの議論は十分に尽くされていない。法案では政府の強靱化推進副本部長に国土交通相らが名を連ねる。「女性、高齢者、子ども、障害者等の視点を重視」とあるが、ソフト面の防災への意欲はあまり感じられない。
安倍内閣の発足以来、公共事業への積極路線が取られ、消費増税決定に伴う大型景気対策で分捕り合戦の加速が懸念されている。国会で法案の中身を徹底吟味すべきだ。