“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

人間らしく生きること

2013年10月27日 12時48分05秒 | 臼蔵の呟き

今回の国会の議論、予算委員会の審議を見ていて感じることは、「人間が人間らしく、生きることが困難になっている」社会をめぐり、その社会を肯定する勢力と改善しようとする勢力のせめぎあいなのだと強く感じます。

せめて人間らしく生きたい。こんなささやかな願いも切り捨てる。安倍、自民党政権の政治姿勢はそのことが徹底して貫かれています。正社員として働きたい。長時間残業は減らし、家族と団欒したい。たまには贅沢をしたい。しかし、現状の規制緩和路線により、解雇は自由、残業は天井なし、正規労働を削減し、非正規労働の無制限緩和を目指して国家戦略特区(政府が計画立案、実行する点で異常な特区)を作るなどは気が狂っているのではないかと思うほどひどいものです。参議院選挙でブラック企業が問題となりました。今までは、ブラック企業が野放しになっていました。ワタミ、ユニクロなどが売り上げを伸ばし、職員を使い捨てにし、労働法規を無視、軽視した経営が社会問題化したのは当然のことです。

消費税率の引き上げと法人税率の引き下げセットも人間らしく生きることができるかどうかの問題です。収入が年200万円前後の人から消費税、社会保障費用、税金などを取りながら、売り上げ高何千億円、利益が何百億円もの大企業に法人税を値下げする。強きを助け、弱きをくじく政治の典型を安倍、自民党政権が血道を上げる姿です。しかも、企業の交際費を費用として損金扱いをしたい(麻生財務大臣)などは何を言っているのかといいたい気持ちになります。涙のような年金を値下げし、一回の食事もままならない高齢者は死んでくれとでも言うようなことを平気で進めています。

一生懸命働き、稼いだので高額所得は当たり前。寝る時間を減らして、いくつかのアルバイトを掛け持ちして働く労働者は努力が足りないからでしょうか。このような人が多くいます。正規雇用にならないので、非正規労働で生計を立てようとすれば、低賃金労働しかありません。1つの低賃金労働では生計が成り立たないので、日中、深夜などを使った職種で寝る時間を削減して働くしかありません。実際に、日中勤務とダブらない時間帯の深夜労働にはびっくりするくらいの若い人、人数が集まっています。貧困大国日本の現状です。誰であっても日中働き、生活できる賃金を得たい。夜は体を休めたいと考えるのは当たり前のことです。しかし、そのようにしたら生活できない人がたくさん作り出されている。

憲法が規定する基本的人権、法の下の平等、教育を受ける権利などが何人にも保障される社会を望みたいと思いますし、そのような社会を作る政治、政権を生み出したいものであると思います。利益、利益、競争、競争、効率、効率と叫び、人間が人間らしく働くことができない社会は異常でしかありません。


特定秘密保護法案の閣議決定

2013年10月27日 10時54分04秒 | 臼蔵の呟き

知ることによるマイナスよりも知らないことによるマイナスのほうがはるかに政治的には大きな被害、損失が生まれます。人類最大の悲劇である戦争行為は知ることの制約から始まることは歴史が示しています。ナチスも旧日本軍も謀略と弾圧により、戦争反対、正義の声を多くの国民から隔離し(秘密にする)国民を戦争に動員し、侵略した国の人民虐殺、食料の略奪、国土の破壊を行いました。この被害、損失は賠償によって償うことは不可能なくらい巨大、巨額です。

アメリカがNSCにより各国首脳、要人、国民の通話内容、メールなどの通信記録を盗聴、傍受して政治問題化しています。国家が、知る権利を独占し、違法な盗聴行為を正当化することは許されません。また、彼らは特定秘密法により、自らに都合の悪い情報を隠匿し、情報操作をしながら、このような盗聴、通信傍受が合法だと主張する身勝手さが許されるはずがありません。アメリ政権、アメリカ軍の政治的腐敗堕落、身勝手さを自民党が見習いたいことはよく分かります(アメリカの目下の政権)が、それだけに日本でのこのような弾圧法を法制化させることは許すことが出来ません。

<社説>

政府は安全保障にかかわる秘密の漏えいに重罰を科す特定秘密保護法案を閣議決定し、国会に提出する。外交・安全保障政策の司令塔となる日本版「国家安全保障会議(NSC)」設置に合わせて情報管理を徹底し、米国との情報共有を進めて安保体制を強化する狙いだ。

 法案には、連立を組む公明党との調整で、国民の「知る権利」や報道の自由への配慮が盛り込まれた。だが、秘密情報の範囲が不明確で拡大解釈が可能な点をはじめ、根本的欠陥は変わっていない。法制化されれば、ただでさえ不十分な情報公開が一層後退し、国民主権の基盤である知る権利や報道の自由が侵害される恐れが強い。情報管理は国家公務員法などで対応可能だ。民主主義を危うくする秘密保護法案は撤回すべきだ。

■欠陥だらけ変わらず

 法案は《1》防衛《2》外交《3》特定有害活動の防止《4》テロの防止―に関する機密のうち、特に秘匿の必要性がある情報を行政機関の長が「特定秘密」に指定し、漏えいした公務員らに最高で懲役10年を科す。最大の問題は、対象となる情報の規定が曖昧なため、閣僚などが秘密指定の範囲を拡大し、都合の悪い情報をいくらでも隠蔽(いんぺい)できる点だ。

 政府は特定秘密の指定基準を策定するための有識者会議を設置するとしたが、会議は意見を述べるだけで、実際に個々の秘密指定が妥当かをチェックするわけではない。政府の勝手な判断を第三者が排除する仕組みはないままだ。

 特定秘密の有効期間は上限5年だが何度でも更新できる。政府は指定期間が30年を超える場合は内閣承認を必要とする規定を設けたが、内閣さえ認めれば永久に秘密にできる。

 報道や出版の取材についても新たに「法令違反または著しく不当な方法」でなければ「正当な業務とする」との規定を盛り込んだ。しかし、「著しく不当」の内容は不明確だ。法案担当の森雅子少子化担当相は、沖縄返還に伴う日米密約を報道した記者が、外務省の女性事務官をそそのかしたとして逮捕された西山事件のような取材活動は、新法でも処罰対象になるとの認識を示した。

 社会的に有意義な報道の価値を軽視し、漏えいを働き掛けたとして記者を厳罰に処すなら、報道の自由への配慮など名ばかりではないか。

 国会議員を処罰対象としていることも問題だ。国政調査権の侵害につながり、国権の最高機関である国会の地位を揺るがす。法案を成立させることは国会の自殺行為だ。

■狙いは日米同盟強化

 秘密漏えいに対する法律は既に存在する。自衛隊の秘密に関しては最高で懲役5年の自衛隊法があり、国家公務員法も懲役1年以下の罰則付きで広範な守秘義務を定めている。

 にもかかわらず安倍晋三首相が秘密保護法制定にこだわるのは、自身が掲げる「積極的平和主義」に基づく安全保障政策の柱の一つに位置づけているからだ。

 積極的平和主義は、中国などに対抗するため、集団的自衛権行使を容認して日米同盟を強化し、従来より踏み込んで日本が米国の軍事力を補完する役割を担おうとするものだ。

 その司令塔となるのが日本版NSCであり、米国NSCと情報共有を進めるため重罰規定を持つ秘密保護法の制定が米側からも要請された。

 日本版NSCの活動方針「国家安全保障戦略」の概要には武器輸出三原則の見直しが盛り込まれた。米国などとの武器の共同開発・生産を後押しする狙いだ。そのためにも秘密保護法が必要ということだろう。

 だが積極的平和主義は憲法の平和主義を逸脱している。国家安保戦略は首相の私的懇談会が概要をまとめた段階にすぎない。

 国会でしっかり議論されておらず、国民の理解も得られていない構想や戦略を基に関連法を整備することは、手法としても問題だ。

■憲法の原則を脅かす

 民主党は今国会に同党が提出する情報公開法改正案と秘密保護法案をセットで審議するよう求めている。民主党案は、公文書の非開示決定の是非を裁判所がチェックできる仕組みなどを盛り込んでいる。現行の情報公開法の不備を補う内容で意義があるが、仮にそれが成立しても秘密保護法を正当化する理由にはならない。国会審議で同法の危険性を厳しく追及すべきだ。

 国の情報は国民の共有財産であり、それを基に主権者である国民は政策の是非を判断する。それが時の政権によって恣意(しい)的に隠されてしまえば民主主義は機能しなくなる。

 知る権利は、憲法が保障する基本的人権の一つである表現の自由に基づく。治安維持法などで言論が弾圧され、日本が悲惨な戦争に突き進んだ歴史への深い反省から導かれたものだ。

 それをないがしろにし、国民主権や基本的人権の尊重という憲法の基本原則を脅かす悪法の制定は、断じて許してはならない。