米の価格は5キロで1780円、10キロ3500円前後などで小売業が新米を販売しています。農家が新米を供出するときは60キロ単位なので、18000円前後となります。10アール(一反部)10俵(600キロ)が標準的な収穫量として18万円です。苗代、農薬代、化学肥料代、日々の水管理労務費、機械代の支払いなどを引けば、ほとんど手元にはお金が残らないはずです。これで、農家の生活費がまかなえるかといえば、到底まかなえるはずはありません。
野菜も大根、ほうれん草などが200円前後で売られています。農家が種まき、水遣り、収穫するまでの期間、管理することを考えたら、100円前で安売りなどができるはずがありません。消費者は、買う立場で安いほうがよいと考えがちですが、生産者が再生産できる販売価格、利益保障をしない限り、国産野菜も生産者がいなくなる可能性もあります。安ければよい。小売業が安売りするときに生産者のことを考えているのかと??考えてしまいます。
街には100円ショップが沢山出店しています。閉店した後、売り場縮小をした大手小売業の空いた売り場は100円ショップで埋めることが札幌でも増えています。100円は確かに安い。しかし、生産者のことを考えればこんなことでよいのかと考えさせられてしまいます。
消費者は、消費する立場と労働者の側面と2つあります。賃金が上がらない、低賃金だから生活が苦しい。食費を削る。安いものを求める。小売業は売れないから100円均一、安売りで集客を図る。生産者は納入価格を買い叩かれる。この下向きの低価格競争が結果として消費者、生産者の首を絞めることになっています。本当は安売り競争ではなくて、適正な価格で納入され、生産者の再生産を保障する。適正な販売価格で消費者が購入する。消費者である労働者は、生活できる賃金を保障される。労働者の賃金を保障するためにも最低賃金を引き上げる。最低賃金をきめる政治、政府は最低賃金を引き上げることで、企業に人件費拡大、給与の改善を強制する。このようなことが可能なはずですが、安倍、自民党政権は「言葉」だけで、具体的に改善する政治行動を行いません。これが彼らの本音、本質です。大手企業、多国籍企業は安倍、自民党に政治献金をしているので、その見返りとして法的措置を取らないことを要求する。風が吹けば、桶屋が儲かる式の話ですが、現在の日本、アメリカ、新自由主義経済を信奉する国家、政治経済の閉塞状況のからくりです。
経済成長をしないので給与が上がらないのではありません。多国籍企業、大手企業が人件費の削減競争、その競争を根拠として価格競争を行い、ライバル企業をたたき、破綻させて、市場占有率を引き上げる。この経営上の保障、根拠として、労働者の賃金を引き下げる。新興国に生産拠点を移す。低賃金労働を使った生産で大量生産、大量消費で利益を上げる。賃金が相対的に高い地域、国家の労働者は失業、非正規労働で人件費を低く抑えられる。賃金を買い叩かれる。こんなことを続けていたら、どの国の国民、労働者であっても豊かにはなれず、結婚しよう、子どもの数が増えるなどは経済的にありえません。本当に、富裕層、多国籍企業、巨大金融機関の強欲と私利私欲にはほとほとあきれるばかりです。ユニクロが売上高で年間1兆円を超えるそうです。しかし、職員の給与は年間100万円でよいと経営者が公言しました。どうやって生活するのか聞いてみたいものです。ふざけるなといいたいのですが、このような企業の強欲さを批判し、正すことができないと未来は暗い限りです。