「カネをちょっと出しているばかりに、世界を下に見ているようだ。安倍政権の傍若無人ぶりは感じていたが、これほどまでに品格がなくなっていたとは思いも寄らなかった。」
歴史認識の改ざんが、侵略された国家からどう見られているのかを知らなければなりません。従軍慰安婦問題で韓国政府と話し合いができないほどの外交問題化させ、靖国参拝、南京虐殺で中国政府と対立し、安倍、山口、自公政権はどこに行こうとしているのでしょうか。このような隣国との軋轢を起こし続けて国連常任理事国になりたい。本当に愚か過ぎて、理解不能です。
天皇制政府と旧日本軍が行った中国、朝鮮半島、アジアへの侵略行為と殺りくはどう言いくるめても、消去できない事実です。その事実に向き合い、侵略した国家に対して謝罪し、平和国家としての誓いと行動を通じて、関係を改善する以外はありません。
<朝鮮日報>【萬物相】ユネスコを脅迫する日本の品格
日本が国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約(世界遺産条約)を批准したのは1992年だ。この条約が発効したのは75年のことだから、かなり遅かった。韓国は88年、中国は85年と、日本より先に批准した。日本は分担金をどれだけ支払うかについても、ユネスコと駆け引きをして決定が遅れた。遅刻してきた日本だが、米国に次ぐ多くの基金をこれまで支払っている。金を出した分だけのことはしてもらおうという腹積もりなのだろうか。その後の日本の欲は並外れていた。
批准の翌年、一度に4件の世界遺産を登録したのを皮切りに、これまで19件の登録に成功している。アジアでは「人類文明の発祥の地」中国・インドに次いで3番目に多い。日本ほどユネスコ世界遺産をPR用に利用している国も珍しいだろう。閉山して人けのない「石見銀山」を世界遺産に登録し、屈指の観光地にしたのが8年前のことだ。その時に自信が付いたのか、韓国人にとっては強制労働の恨(ハン=晴らせない無念の思い)が宿る廃鉱まで、今年登録リストに追加した。おかげで観光客は数倍に増えたという。
政治的利用度で言うと、1996年に登録された世界遺産「原爆ドーム」をしのぐ遺産はない。米国の原爆投下で骨組みだけ残った広島の中心地にある象徴的な建物だ。登録当時、米国は「被害だけを強調し、加害は忘れようとしている」と批判した。日本は「平和の象徴」と言って押し通し、米国は積極的には反対しなかった。平和と共存を重視する国連の精神を尊重したからだ。
世界遺産による日本の「被害国アピール」はこれで終わりではない。今月8日にユネスコ世界記憶遺産になった「舞鶴への生還」記録は第二次世界大戦時にシベリアに連行された日本人の抑留手記570点を指す。この中には民間人もいたが、主に中国を侵略してソ連軍に捕虜として連行された日本軍兵士たちだ。登録に成功した日本は万歳と叫んだが、ロシアは不愉快だっただろう。それでもロシアはおくびにも出さなかった。国連の精神がそうだからだ。
同じ日、中国の「南京虐殺」の資料も世界記憶遺産になった。日中戦争当時、旧日本軍が南京で犯した蛮行とその惨状を記録した中国側の資料だ。すると、日本政府は顔色を変えた。資料に含まれている犠牲者数を問題視し、「極めて遺憾」と過敏に反応した。さらに、菅義偉官房長官は「(ユネスコの)今の制度そのものを変える必要がある」として、ユネスコに対する日本の拠出金の削減や停止を検討する考えを示した。自民党からは「ユネスコ分担金を白紙化する」という発言まで出たという。カネをちょっと出しているばかりに、世界を下に見ているようだ。安倍政権の傍若無人ぶりは感じていたが、これほどまでに品格がなくなっていたとは思いも寄らなかった。
鮮于鉦(ソンウ・ジョン)論説委員
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版