「住民を危険にさらす過酷事故は起き得るという、福島第1原発事故の教訓を忘れてはならない。」「半島の西側には約5000人が住んでいる。県などの避難計画では、原発事故発生時、この地域の住民は放射性物質放出前に原発の東側に避難する。地震などで陸路が使えない場合は、船で大分県に向かう。暴風雨などで海路も空路も使えなければ、屋内退避する。」
そもそも、原発事故が起きて、船で避難する。笑い話のような避難計画を国、防災会議、県、自治体が避難計画として了承し、原子力発電所を再稼働させる。ばかばかしくてお話にもなりません。どの原発も海岸沿いに立地しています。しかし、船で避難しなければならないという避難計画はないはずです。伊方はそのくらい避難方法が選択肢として少なく、困難であるということになります。その困難さに目をつむり原発再稼働を何が何でも優先する。四国電力にすれば、利益を確保するためには再稼働を何としても実行したい。県としては税収を確保したい.町としては雇用を確保したい。―――どこにも、自治体住民と周辺住民の安全安心は課題となっていません。安倍、山口自公政権が責任を持つ。--どのような責任を持つのでしょうか。はたして、福島第一事故で政府は責任を持ったというのでしょうか。八百長事件のような無責任さで再稼働だけを決めて実行する。後は知らない。事故が起きれば、責任のなすりつけ合いと税金の投入で決定責任者たちは何食わぬ顔で済ます。
そろそろ、このような無責任体制を許さない。電力は足りている。また、事故費用、使用済み燃料の処置方法がない原発の稼働はしない。そのような電力会社、自治体が出現しなければなりません。安倍、山口自公政権のような無責任体制では事故が起きても、そのつけはすべて自治体、地域住民に被害がかぶさるだけです。
<毎日新聞社説>伊方原発再稼働 同意の根拠うまだ整わぬ
林幹雄経済産業相は、原子力規制委員会の安全審査に合格した四国電力伊方原発3号機(愛媛県伊方町)を視察後に中村時広知事、山下和彦町長と会談し、再稼働への理解を求めた。町長は近く同意し、知事が最終判断を下す見通しだ。町議会や県議会は既に同意しており、知事の同意で地元同意手続きは終わる。
だが、事故に備えた避難計画は不十分なままだ。多くの住民が不安を募らせ、再稼働に反対している。安全審査結果に基づく工事計画の認可など、規制委の手続きもまだ残る。再稼働の環境は整っておらず、中村知事は同意すべきではない。
避難計画の不備などは、再稼働した九州電力川内原発1、2号機(鹿児島県)にも共通する課題だ。そもそも政府は、原発依存度をできる限り下げると言いながら、道筋を描こうとしていない。住民の安全が十分に確保されないまま、原発回帰、再稼働路線を鮮明にする政府の姿勢には大きな疑問を感じる。
伊方原発は四国から九州に向かって細長く延びる佐田岬半島の付け根部分にある。半島の西側には約5000人が住んでいる。県などの避難計画では、原発事故発生時、この地域の住民は放射性物質放出前に原発の東側に避難する。地震などで陸路が使えない場合は、船で大分県に向かう。暴風雨などで海路も空路も使えなければ、屋内退避する。
政府の原子力防災会議は今月、この計画を「具体的かつ合理的」として了承した。だが、放射性物質を除去する換気設備付きの放射線防護施設は4施設(約470人分)しかなく、手薄だ。船などの輸送手段の確保もスムーズにできるか疑わしい。
住民の不安は、佐田岬にとどまらない。伊方原発30キロ圏の宇和島市と西予市が、再稼働を巡る住民説明会に参加した自治会長や市議らにアンケートしたところ、いずれも再稼働反対が過半数を占めた。
中村知事は、福島第1原発のような過酷事故時に国が最終責任を持つよう繰り返し求めていた。安倍晋三首相は原子力防災会議で、事故時に国民の生命や財産を守ることは「政府の重大な責務で、責任を持って対処する」と述べ、知事も評価した。だが、事故時に国が責任を免れないのは当然で、地元自治体が避難の最前線に立つことに変わりない。
政府は11月に伊方原発で原子力総合防災訓練を実施する。原発30キロ圏に一部がかかる山口県や避難住民受け入れ先となる大分県も参加する。中村知事は、この結果もきちんと見極めるべきだ。
住民を危険にさらす過酷事故は起き得るという、福島第1原発事故の教訓を忘れてはならない。