“さるかに合戦”  臼蔵 と 蜂助・栗坊 の呟き

震災や原発の情報が少なくなりつつあることを感じながら被災地東北から自分達が思っていることを発信していきます。

伊方の避難計画「現実性ない」 福島で脱原発首長会議

2015年10月19日 12時00分00秒 | 臼蔵の呟き

<東京新聞>

 現職、元職の首長らでつくる「脱原発をめざす首長会議」は18日、福島県南相馬市で記者会見を開き、四国電力伊方原発3号機をめぐり「避難計画に全く現実性がない」と厳しく批判し、再稼働に反対した。

 会議の世話人の一人、桜井勝延・南相馬市長は「住民の避難先が十分確保されているとは言えない」と指摘。東京電力福島第1原発事故による避難の長期化で、南相馬市では災害関連死と認定される住民が現在も増えており、桜井氏は「再稼働を許さないのが一番の避難計画だ」と述べた。

 茨城県東海村の村上達也元村長は「避難計画通りにできないことは、福島の事故で分かっているはず」と批判した。

大飯原発3、4号機運転差止請求事件判決要旨

主文

1  被告は、別紙原告目録1記載の各原告(大飯原発から250キロメートル圏内に居住する166名)に対する関係で、福井県大飯郡おおい町大島1字吉見1-1において、大飯発電所3号機及び4号機の原子炉を運転してはならない。

2  別紙原告目録2記載の各原告(大飯原発から250キロメートル圏外に居住する23名)の請求をいずれも棄却する。

3  訴訟費用は、第2項の各原告について生じたものを同原告らの負担とし、その余を被告の負担とする。

理由

1 はじめに

 ひとたび深刻な事故が起これば多くの人の生命、身体やその生活基盤に重大な被害を及ぼす事業に関わる組織には、その被害の大きさ、程度に応じた安全性と高度の信頼性が求められて然るべきである。このことは、当然の社会的要請であるとともに、生存を基礎とする人格権が公法、私法を問わず、すべての法分野において、最高の価値を持つとされている以上、本件訴訟においてもよって立つべき解釈上の指針である。

 個人の生命、身体、精神及び生活に関する利益は、各人の人格に本質的なものであって、その総体が人格権であるということができる。人格権は憲法上の権利であり(13条、25条)、また人の生命を基礎とするものであるがゆえに、我が国の法制下においてはこれを超える価値を他に見出すことはできない。したがって、この人格権とりわけ生命を守り生活を維持するという人格権の根幹部分に対する具体的侵害のおそれがあるときは、人格権そのものに基づいて侵害行為の差止めを請求できることになる。人格権は各個人に由来するものであるが、その侵害形態が多数人の人格権を同時に侵害する性質を有するとき、その差止めの要請が強く働くのは理の当然である。

2 福島原発事故について

 福島原発事故においては、15万人もの住民が避難生活を余儀なくされ、この避難の過程で少なくとも入院患者等60名がその命を失っている。家族の離散という状況や劣悪な避難生活の中でこの人数を遥かに超える人が命を縮めたことは想像に難くない。さらに、原子力委員会委員長が福島第一原発から250キロメートル圏内に居住する住民に避難を勧告する可能性を検討したのであって、チェルノブイリ事故の場合の住民の避難区域も同様の規模に及んでいる。

 年間何ミリシーベルト以上の放射線がどの程度の健康被害を及ぼすかについてはさまざまな見解があり、どの見解に立つかによってあるべき避難区域の広さも変わってくることになるが、既に20年以上にわたりこの問題に直面し続けてきたウクライナ共和国、ベラルーシ共和国は、今なお広範囲にわたって避難区域を定めている。両共和国の政府とも住民の早期の帰還を図ろうと考え、住民においても帰還の強い願いを持つことにおいて我が国となんら変わりはないはずである。それにもかかわらず、両共和国が上記の対応をとらざるを得ないという事実は、放射性物質のもたらす健康被害について楽観的な見方をした上で避難区域は最小限のもので足りるとする見解の正当性に重大な疑問を投げかけるものである。上記250キロメートルという数字は緊急時に想定された数字にしかすぎないが、だからといってこの数字が直ちに過大であると判断す’ることはできないというべきである。

3 本件原発に求められるべき安全性

(1)  原子力発電所に求められるべき安全性

 1、2に摘示したところによれば、原子力発電所に求められるべき安全性、信頼性は極めて高度なものでなければならず、万一の場合にも放射性物質の危険から国民を守るべく万全の措置がとられなければならない。

 原子力発電所は、電気の生産という社会的には重要な機能を営むものではあるが、原子力の利用は平和目的に限られているから(原子力基本法2条)、原子力発電所の稼動は法的には電気を生み出すための一手段たる経済活動の自由(憲法22条1項)に属するものであって、憲法上は人格権の中核部分よりも劣位に置かれるべきものである。しかるところ、大きな自然災害や戦争以外で、この根源的な権利が極めて広汎に奪われるという事態を招く可能性があるのは原子力発電所の事故のほかは想定し難い。かような危険を抽象的にでもはらむ経済活動は、その存在自体が憲法上容認できないというのが極論にすぎるとしても、少なくともかような事態を招く具体的危険性が万が一でもあれば、その差止めが認められるのは当然である。このことは、土地所有権に基づく妨害排除請求権や妨害予防請求権においてすら、侵害の事実や侵害の具体的危険性が認められれば、侵害者の過失の有無や請求が認容されることによって受ける侵害者の不利益の大きさという侵害者側の事情を問うことなく請求が認められていることと対比しても明らかである。

 新しい技術が潜在的に有する危険性を許さないとすれば社会の発展はなくなるから、新しい技術の有する危険性の性質やもたらす被害の大きさが明確でない場合には、その技術の実施の差止めの可否を裁判所において判断することは困難を極める。しかし、技術の危険性の性質やそのもたらす被害の大きさが判明している場合には、技術の実施に当たっては危険の性質と被害の大きさに応じた安全性が求められることになるから、この安全性が保持されているかの判断をすればよいだけであり、危険性を一定程度容認しないと社会の発展が妨げられるのではないかといった葛藤が生じることはない。原子力発電技術の危険性の本質及びそのもたらす被害の大きさは、福島原発事故を通じて十分に明らかになったといえる。本件訴訟においては、本件原発において、かような事態を招く具体的危険性が万が一でもあるのかが判断の対象とされるべきであり、福島原発事故の後において、この判断を避けることは裁判所に課された最も重要な責務を放棄するに等しいものと考えられる。


TPPの本質

2015年10月19日 11時00分44秒 | 臼蔵の呟き

日米軍事同盟が韓国と朝鮮、中国の脅威論を背景として、東アジアの軍事的な緊張感を高めることに強く、関与しているとの分析です。実際に、日米安保条約は、アメリカと日本の経済的な関係を密接にし、その経済的なくびきから離脱することを困難にする役割を強烈に果たしています。その結果が、歴代自民党政権がとる外交政策に本質的に表れています。アメリカ政権、アメリカ多国籍企業、アメリカ軍の要求、主張、利益を損なわない形で、日本の政策展開をする。少しでも、アメリカ政権、アメリカ多国籍企業、アメリカ軍の利益を損ねる行動をとれば、その懲罰を与える。その1つが、田中角栄による中国との国交回復――報復としてのロッキード事件の密告、民主党政権時代の沖縄米軍基地の鳩山元首相撤去発言―――自民党、民主党内部、外務省などから攻撃。―――これらがアメリカ政権、アメリカ権益を擁護する勢力からの報復であったといわれる所以です。

いずれにしても、経済協定でありながら、その意図は、中国などに対する軍事的な威圧、封じ込めに利用されることを想定させるものであることも確実です。オーストラリア、ベトナムなど参加国などもそのことを十分理解し、意識しているのだと思います。

 <毎日新聞>危機の真相 TPPの戦略的正体 政治が経済を振り回す怖さ=浜矩子

 TPP交渉が大筋合意にこぎつけた。

 TPPとはそもそも何か。「Trans−Pacific Partnership」の頭文字だが、日本のメディアでは呼び名が分かれる。本紙は英語に素直に対応して「環太平洋パートナーシップ協定」と表現している。他紙では「環太平洋経済連携協定」というのも見受ける。

 このテーマが日本で話題になり始めた2010年春先ごろは「環太平洋戦略的経済連携協定」という言い方が主流だった。それもそのはずである。なぜなら、あの当時、TPPはTPPではなかった。TPSEPだったのである。TPとPの間にはさまっているSEは「Strategic Economic」だ。したがって当時、「戦略的経済連携」という日本語が前面に出たのも当然だった。

 ところが、いつの間にか、TPSEPからSとEが消えた。そして無色透明なTPPという名称が定着することになった。一体どういうことか。筆者はこの間、随分あれこれと臆測を巡らしてきた。

 恐らくは、「戦略的」という言葉のキナ臭さに、誰かが気がついたのだろう。環太平洋という領域を焦点に、戦略的な連携を結んでいく。この思惑があまり早く、あまり前面に出るとまずい。

 実はそこに狙いがあるとしても、そこがクローズアップされるようになると、物議をかもす。だから、ひとまず戦略的ははずそう。ついでに、経済も引っ込めて、何ともフンワリした感じのTPPにしておこう。どうも、そんな知恵を働かした人々がどこかにいそうな気がする。

 ところが大筋合意の前後のタイミングともなると、状況が少々変わってきた。まず筆者の目を引いたのが、安倍晋三首相の発言だ。去る4月29日、米議会での演説の際のことである。首相はTPPに言及した。英語で行われた演説の流れに即していえば、次の通りだ。まず「TPPは単なる経済的利益をはるかに超える」もので「我々の安全保障に関わる」テーマだと明言した。続いて「長期的にみたその戦略的価値(strategic value)」は「驚嘆すべきもの(awesome)」だと言っている。

 このくだりの公式日本語訳は次のようになっている。「TPPには、単なる経済的利益を超えた、長期的な、安全保障上の大き な意義があることを、忘れてはなりません」。大意としては、これでまあいいだろう。だが、英語ではTPPのstrategic valueがawesomeだと言っているのである。この語感が、前記の翻訳では、どうもしっかり伝わらない。かなり、やんわりとぼかされている感がある。

 何しろawesomeという言い方がすごい。awesomeの語感はまさしく「すごい」だ。「驚嘆に値する」とか「驚異的」の意である。今的な若者用語としてのawesomeには「すっげー」とか「やばい!」あるいは「テンション上がる!」的な意味もある。この言葉をTPPの「戦略的価値」について使うことには「驚異」ならぬ「脅威」を感じてしまう。

 首相のawesome発言は、TPP合意が近づく中でのものだった。そして、合意なった直後には、次の新聞の見出しが筆者の目を引いた。「日米同盟 より強固に」(10月8日付日本経済新聞朝刊)。TPP合意を巡る識者インタビュー記事の一つに、この見出しがついていた。発言者は米国戦略国際問題研究所(CSIS)の政治経済部長、マシュー・グッドマン氏だ。

 この記事の中で、グッドマン氏はTPPについて次のように言っている。「日米同盟をより強固にする大きな戦略的な価値もある。米国がアジア太平洋に戦略の重点を移すリバランス(再均衡)政策にとって格好の材料となる」

 事がなるまでは本音を隠す。狙いが成就したところで正体を現す。TPPにはどうもこんなイメージがつきまとう。グッドマン氏の言葉が満を持しての本音吐露なら、首相のawesome発言は少々フライングだったわけだ。

 ここで思いが及ぶのが、今日の欧州連合(EU)の姿だ。欧州における経済統合の動きは、元をたどれば軍事同盟構想だった。「欧州防衛共同体」を形成する。そのことによって独仏間の武力衝突を恒久的に封印する。それがそもそもの発想だった。だが、これがあまりにも刺激的に過ぎたため、早い段階で目的が経済統合にすりかえられた。

 本当の狙いは政治的であり、外交安全保障上の意図に発している。だが、あまりあからさまに戦略的意図を前面に出すと、嫌がられる。だから、さしあたりは経済のオブラートに本音を隠す。これが欧州統合の歩みの舞台裏だ。

 EUの場合、目指すところが恒久平和だったから、その点は許せる。だが、それでも、政治の思惑で経済を振り回すと、結果は怖い。今のユーロ騒動がまさしくそれだ。

 いわんやTPPにおいては、その戦略性がどうawesomeなのか。そこが問題だ。そこが怖い。若者用法ではなく、従来の意味で、本当に「やばい」かもしれない。


中国をけん制する安倍首相 これ見よがしに米空母に乗艦

2015年10月19日 09時59分36秒 | 臼蔵の呟き

「米日がアジア太平洋地域で中国の海洋進出を抑制し、一体となって動いている事実を日本の国内外に示そうとするシーンだ」

<朝鮮日報>中国をけん制する安倍首相 これ見よがしに米空母に乗艦

 共同通信などによると、日本の安倍晋三首相が18日、神奈川県横須賀市沖の相模湾で海上自衛隊の観艦式に出席後、横須賀港に停泊している米原子力空母「ロナルド・レーガン」(10万1400トン)に乗艦した。日本の現職首相が米空母に乗艦するのは初めてだ。

 空母ロナルド・レーガンは米国が保有するニミッツ級空母10隻でも最近建造された2隻のうちの1隻。ニミッツ級とは各種空母のうち、現在最大、最強とされる空母を指す。それを上回る空母は現在建造中のジェラルド・フォード級空母しかない。

 今回安倍首相は空母乗艦前に日本の護衛艦「くらま」(5200トン)に乗り、海上自衛隊の観艦式を見守った。自衛隊の艦船36隻と航空機33機が動員された。

 安倍首相は観艦式で「日本を取り巻く安全保障環境は、一層厳しさを増している。望むと望まざるとに関わらず、脅威は容易に国境を越えてくる。もはやどの国も一国のみでは対応できない時代だ」と述べた上で、「そうした時代になっても、国民の命と平和な暮らしは断固として守り抜く。そのための法的基盤が先般成立した平和安全法制だ。積極的な平和外交も今後一層強化していく」と強調した。

 安倍首相は空母ロナルド・レーガンについても触れ、「東日本大震災のとき、被災地にかけつけてくれた『トモダチ』だ」と強調した。米日同盟全体を指すと同時に、米国が2011年の東日本大地震の当時、韓国に向かっていたロナルド・レーガンを宮城県仙台市沖に停泊させたことを指した言葉だった。

 空母ロナルド・レーガンの乗組員は当時、ヘリコプターで原発事故や地震の被害者を救出した。日本の海上自衛隊の航空機も同空母に飛び、給油を受けた。作戦名は「トモダチ作戦」だった。安倍首相は同空母が日本に配備されたことを「心から歓迎する」と述べた。

安倍首相はさらに、海上自衛隊のヘリで空母ロナルド・レーガンに移動した。麻生太郎副総理と中谷元防衛相も同行した。米海軍第3艦隊司令官のタイソン中将が安倍首相を迎えた。安倍首相は戦闘機の操縦席に登り、笑みを浮かべて写真撮影にも応じた。

 現在日本は空母を保有していない。しかし、今年就役した護衛艦「いずも」(1万9500トン)は事実上の空母クラスとされる。韓国が保有する最大級の駆逐艦もいずもの半分にすぎない。日本の造船史も韓国とは比較にならない。20世紀初めに空母が最初に登場した際、アイデアを考案して試したのは米国、英国、フランスだが、実際に船から戦闘機を飛ばすのに最初に成功したのは日本の空母「若宮」だった。

 日本は東アジア各国で唯一近代化に成功した後、「日本の自衛のためにやむを得ない」という巧妙な論理で朝鮮を飲み込み、中国大陸と太平洋を侵奪し、第2次大戦に敗北した。東京湾に停泊した米戦艦ミズーリで降伏文書に署名したのは、1932年に尹奉吉(ユン・ボンギル)義士による上海での弁当爆弾で片足を失った重光葵外相だった。ミズーリは船上から航空機を飛ばす空母ではなく、戦艦だった。安倍首相が米空母に乗艦したことについて、日本メディアは「米日が共同で中国をけん制するための措置」と解釈した。

 韓国の外交関係者は「米日がアジア太平洋地域で中国の海洋進出を抑制し、一体となって動いている事実を日本の国内外に示そうとするシーンだ」と指摘した。現在自衛隊と米軍はインド洋でもインド海軍と合同演習を実施している。演習には米国、インド、日本の艦船10隻が投入された。

 東京=キム・スヘ特派員     朝鮮日報/朝鮮日報日本語版


軽減税率導入 10%ありきは容認できない

2015年10月19日 06時00分34秒 | 臼蔵の呟き

消費税制度が、低収入、年金生活者などに厳しい税制であることは明らかです。富裕層が食べる食料と貧困家庭が食べる食料の量は大差がありません。また、そのことによる経費もそう大きな差はありません。しかし、収入に占める食費の割合は、富裕層は問題なんらないくらい小さく、貧困家庭の収入に占める比率は、大きいことは誰が考えても分かることです。消費税制度を止め、収入に応じた応能負担を求める税制に変更すべきことは明らかです。

また、消費税率を導入し、引き上げるたびに法人税率を下げてきたことは許せるものではありません。消費税率で全国民から収奪した税金を、大手企業、多国籍企業の法人税率の引き下げに使うなどは政治的なモラル崩壊といってもいいものです。

軽減税率などというまやかしを止めて、消費税制度の廃止、税率の引き上げを止める。これこそが最大の税制上の課題です。また、戦争できる国作りを止めて、防衛費の削減を行うべきです。

<琉球新報社説>軽減税率導入 10%ありきは容認できない

 自民党税制調査会が、2017年4月の消費税10%への引き上げと同時に軽減税率を導入する方向で本格的な議論を始めた。

 安倍晋三首相が消費税率引き上げと軽減税率の同時導入を指示したことで急展開した格好である。首相は指導力をアピールしたいのだろうが、評価に値しない。
 そもそも自民党は昨年の衆院選で、17年度から生活必需品の消費税率を低く抑える軽減税率導入を目指すことを公約に掲げていた。公約に盛り込んだ以上、国民が望む軽減税率を実現することは国民との約束である。公約実現にようやく着手したにすぎない。

 政府、与党内では「みなし課税」を採用する案が浮上している。売り上げに占める軽減対象品目の割合を一定と見なし、業種ごとにあらかじめ決めた割合に従って納税する方式だ。消費税率8%と10%の税額を仕分ける必要がなく、事業者は現行の経理方法を維持できる利点がある。
 だが、17年4月導入に間に合わせるための過渡的な措置とはいえ、大きな問題をはらんでいる。実際の税額と納付額が異なることは避けられない。事業者の手元に本来納めるべき税金が残ったり、逆に事業者が払い過ぎてしまったりする可能性がある。
 事業者間で不公平な状態が存在することはいかがなものか。公平であるべき税制上も大きな問題である。

 軽減税率の対象品目も焦点となるが、安倍政権が公約実現に背を向けてきたこれまでの経緯からして、軽減税率制度が骨抜きにされる懸念がある。
 その理由の一つは、安倍政権が財務省の提案した還付制度の導入を目指していたことにある。還付制度は支払時に税率10%で支払い、還付対象品について2%分を後から手続きした人に払い戻すものだ。支払時に税金が軽減されない制度を「日本型軽減税率制度」と名付け、公約した軽減税率とは全く別ものを検討してきた。そのことからしても、安倍政権が軽減税率に本気で取り組むかどうか疑念がわく。
 消費税を10%に引き上げるならば、軽減税率導入は不可欠である。だが国民の暮らしを考えれば、消費税を10%に引き上げる状況にはない。10%ありきの軽減税率導入によって、国民に配慮したかのように装うやり方は容認できない。