来週の火曜日5月9日から、精華町会議員選挙が始まります。それに照準を当てた論戦が始まっています。
私も当事者の1人ですので、誤解を恐れずに「事実」を示しておきます。
3月の議会で賛成多数で改定が決まりました。反対された議員が「問題ある」とチラシに掲載して配布されています。配布されることは自由ですので、異論ありません。その議員は、ブログでも議論の活性化を主張しているのですから、その点は賛同します。
ただ、問題は「ウソが書かれている」ことです。
いくつかあるのですが、論点がぼけるので「事実」を2つ挙げておきます。
1つは、20%アップということです。
事実は、当面約9%アップです。恐らく、条例本則のことを言っておられるのでしょうが、3月議会ではもう1つの条例・アップ幅を50%カットするものも可決されています。ので、正しい事実は「約9%アップ」です。
そのチラシでは「一般労働者の春闘では1%前後のアップなのに」とあります。しかし、春闘は毎年ありますが、報酬改定は18年ぶりです。春闘が毎年1%なら(もちろん経済情勢で波があります)、18回すれば18%前後になるのですが・・・。というより、報酬と給与を同列で議論することの是非が問われます。
第3者機関である特別職報酬審議会の会議録にも、「平成22年からの議会活性化と充実、通年議会の本格導入」で、「町長を100とした議員報酬の額が、類似団体議会の水準を下回っているため、全国平均とする」という前提で、報酬額を答申されています。
簡単に言えば、18年間据え置きの反動で一挙に上がるということです。
しかし、政治的判断で、前述の通り当面「アップ幅を50%カット」しています。チラシを配布した議員が議会での主張されたとおり、選挙後の議会でそのカットを続けるのか元に戻すのかは改めて判断されることになります。
なお、これも「事実」ですが、チラシを配布されている議員さんたち2人は、「50%カット条例にも反対された」ということです。これは、「反対したけど上がったので、わざわざ50%カットせずに全額受け取ればいい」という意思表明です。アップに反対しながら、カットにも反対するという「どちらなの?」という矛盾した態度表明になっているのです(政治の場では有りうることかなぁ。反対するけど上がったらホンネとしてカットされたくないということ)。会議録や議会だよりを確認していただければ、事実だと確認できると思います。
2つは、議会提言の公務日数換算の数字が「ウソ」ということです。
このチラシには「248日間」と書かれています。しかし、議会から町長に提言した最終文書には「170日間」とあります。なんと46%も水増しして住民感情をあおっています。町長の年間勤務日数(およそ350日)に対する170日ですから、約49%相当です。248日間なんて公務性のある日数があるはずありません。
今回の作業は、議会として初ですので、議員の中でも事務局の中でも勘違いが発生しました。議会運営委員会でも「そんなはずない」と再検証し、反対されて議員さんからも計算方法の提案があり、再計算した結果が「170日」です。ただし、断っておきますが「170日の出勤」ではなく、「170日分の公務性のある業務」ということです。私たち議員は、労働基準法が適用されません。会議も2時間程度で終わる日もあります。逆に、早朝から夜まで8時間を超えて業務につく日もあります。それらの時間をトータルすると、およそ170×8=年間1360時間程度となるので、「170日分」としています。
なお、議会運営委員会の作業チームでは前例をリサーチしたうえで作業を進めてきました。
議会改革の先進的な取り組みをしている議会は全国にいくつかあります。その主な先例は、
神奈川・葉山町議会 年間127日 対町長46%
熊本・御船町議会 年間192日 対町長64%
岩手・紫波町議会 年間174日 対町長52%・・・です。
ご覧の通り、精華町議会の170日分が、異常に多くも少なくもないことが理解されると思います(町長の出勤日数がそれぞれ異なるので、%は合いません)。
平成27年度の全国議長会で特別表彰をうけた、長野・飯綱町議会では、議員報酬や定数を考えるとき、次のような視点が必要だとしています。
・議員活動の実態
・町村規模(いわゆる業務量)
・立候補の意欲が将来期待できるレベル
・その地域の生活に見合う
・調査研究などの議員力が発揮できる などです。
要約すれば、「ヒマなのに高額もらうな。業務量に応じたレベルであること。議員の明日の生活を心配せずに住民の負託にこたえられる活動が展開できる。将来現役世代も意欲もって立候補できる条件が必要だ」ということです。
ほぼ、この間精華町議会で論議してきた視点と共通します。
チラシ配布の議員は、自身のブログでも「事実に基づく議論が大切」旨書かれています。その通りだと思います。ならば、その言葉に泥を塗らないためにも、ニセの情報発信したことを、率直に認めて、謝罪し、必要な訂正措置を取られることが、常識的な対応だと思うのですが・・・・誰にもミスはあるものです。
このまま選挙に突入すれば、不要かつ不毛な論争になるのではないかと危惧するものです。
報酬据え置きを主張する議員に共通するのは、ご自身が年金など議員報酬以外の収入を得ていることです。それがダメだとは言いませんが、議会は年齢的にも地域的にも、性別的にも多様な意見が反映されてこそ存在意義があります。年金を受け取っていない方のことも考えて判断する必要があると思われます。
さらに、もう1つだけ「事実」を示します。
それは、活性化に取り組んできた精華町議会の議員が、「他人事・傍観者的立場」でいてはいけないということです。
もちろん、議会活性化は「定数や報酬」という議員の身分にかかわることだけではありません。会議の公開や説明責任、住民参加、監査機能の発揮など多種多様にわたります。
率直に言って、副業的な位置づけでは、こなせません。自治体規模が大きくなり都市化すれば、業務の幅は広がり、関係する住民や団体も多様化します。時には、相対立する意見が出される場合もあります。単純な判断もできません。前例があるケースもあればないケースもあります。昔と違い、採決要員・追認議会では通用しません。
だからこそ、議会のあり方・活動スタイルを自己変革する必要があります。委員会の録画中継もその課題の1つです。
チラシ配布の議員は、この間議会内部でそれらのことをほとんど主張せずに、今、他人事のように「すべきだ」と言い始めています。
私も、私たちも、スムースな活性化を望んでいて、議会運営委員会を軸に検討を重ねてきました。ただ、財政上の問題・職員体制の問題・裏付ける条例整備など、「今日決めたら、明日から実施できる」簡単なものばかりではありません。これまでも、試しにやってみて制度設計をし直して実施に移すことも多々ありました。
主張するなら、まず議会内部の議論に積極的に参画して実践してもらいたいものです。「委員でないのでできない」なんていう理屈は通用しません。これまでも、議会運営委員会は、委員以外の議員の意見を何度も聞いてきましたし、積極的な改革提案はいつでも歓迎してきました。報酬問題に限らず、全員協議会(全議員による意見交換・調整の場)や委員会への委員以外の議員の参画など、対応してきました。
みなさん、私の見解はおかしいのでしょうか?
精華町議会の定数は18人です。1人の議員では1/18の権限しか発揮できません。私たちは政治的存在ですから、意見の相違ははっきり主張します。賛成する時もあれば、反対する時もあります。
ただ、住民に奉仕するための議会改革・活性化は、自己主張していただけでは前進しません。可能なら18人の議員が協力して活性化する必要があります。
9日から始まる町議選の結果、議会問題を「自分の問題としてとらえられる議員」が1人でも多く誕生してほしいものです。私も頑張ります。