米価下落が地域経済に与える影響は、かなり深刻だ。そもそも昨年より25%も一気に下落する価格形成など、常識ではあり得ない現象である。市場原理と言えばそれまでの事だが、ほとんど弱小な規模の稲作農家が全国に散在しており、豊凶や消費動向を個々農家に求める事など不可能である。
農家を維持したいと考える政府は、農地の集積と大型農機具による合理化シフトに血祭をあげている。まさに補助金誘導で、大型農機具の導入は面積要件が第一で、受委託推進に交付金、国土を守るためと言っては農地水環境保全対策として、使い勝手の悪い、使い切れない金額の交付金がある。「農家は補助金の巣窟」と納税者から皮肉られるが、農家の衰退は止まらない。
政府は、全ての補助金予算を点検し机上プランを改め、農家の目線で有効な農業保護対策を打ち出す時に来ている。コメの需給調整は政府が責任を持ち、価格の安定に機動的に介入し素早い対策を打つ。一年一作の農家はセフティガードが何よりの政策である。先行きが見えれば、大型農機で対応するか、小型かは自身の経営判断であり、経営規模も地形、労働力事情で自然に変化する。家族農業は世界農業の主流である。
そんな中、稲田自民党政調会長を迎え「どこでも政調会」が山形JA全農ビルで開かれた。県内各単位組合長と自民党県議会議員が意見交換の場を持った。組合長からは、過剰米の隔離対策と米価変動補てん金の要望が出された。ある組合長からは「自民党政権になって、悪くなったのは農政だ」と厳しい見方の開陳もあった。
県議からは、農地水環境保全対策費の使い勝手の悪さが指摘され、改善するよう意見が出された。稲田政調会長がどれだけ理解できたのかは分からない。地方創生は、消費地から農村へ富の還流から始まる。
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