新潮文庫の「ゾルゲ 引裂かれたスパイ」を読み終えた。
上下巻の長作だが、内容はともかく感じた事は、ゾルゲという男は社会主義に純情だったという事だ。
社会主義という制度を信じ、そのためにソ連のスパイとなって命を縮めた。
社会主義と資本主義を比較してうんぬんなどという知識は持っていないので、どうこう言えないけど、どんな体制であっても権力を集中させるとロクな事がないと、この本を読んで思った。
当時のソ連ではスターリンが「同志」を粛清し続けた。
これは権力闘争というよりも、人間に備わった猜疑心、妬み、ひがみなどあらゆる悪の心が権力という力で発揮されたというべきだろう。
そんな事情に薄々は気づいていながら、ゾルゲはソ連の社会主義に純情を捧げ続けたのだ。
スターリンだけでなく、その後の支配者も権力を維持し続けるために粛清を繰り返した。
おのれの心に忠実に。
ゾルゲはたくさんの人に好かれたという。
それは自己の欲が人よりも薄かったからだと思う。
欲のない人は他人に敵愾心を与えにくいようだ。
ただ社会主義に恋していただけなのだろう。
尾崎秀実も同じようなキャラだ。
そんな「理想」に恋しながら、結局その理想を操る人間が、普通に欲深く、人を疑い、嫌い、「理想」とはほど遠い世界を生きる人達であることが現実なのだ。
だから、人間がやるかぎりは、どんな理想的な社会も制度として成り立たないという悲しい現実を生きなければならない。
社会主義、資本主義など主義など問わない。
人には、他人よりも良く、優位に、金持ちに、エラそうになりたいという気持ちがあるので、それを考慮しない制度は、たとえ考慮してもだが、良い制度など作れはしないのだ。
だから誰かに権力を集中させないようにしなければならないのだ。
今の世の中を見ても、権力の集中するところにイヤな事が起きている。
しかし、それは権力があるところだけではなく、実は自分たちの身の回りにも、また自分にも同様の気持ちが渦巻いて日々「普通」の生活をおくっている事に気がつかねばならないのだ。
琵琶湖・沖島 7
上下巻の長作だが、内容はともかく感じた事は、ゾルゲという男は社会主義に純情だったという事だ。
社会主義という制度を信じ、そのためにソ連のスパイとなって命を縮めた。
社会主義と資本主義を比較してうんぬんなどという知識は持っていないので、どうこう言えないけど、どんな体制であっても権力を集中させるとロクな事がないと、この本を読んで思った。
当時のソ連ではスターリンが「同志」を粛清し続けた。
これは権力闘争というよりも、人間に備わった猜疑心、妬み、ひがみなどあらゆる悪の心が権力という力で発揮されたというべきだろう。
そんな事情に薄々は気づいていながら、ゾルゲはソ連の社会主義に純情を捧げ続けたのだ。
スターリンだけでなく、その後の支配者も権力を維持し続けるために粛清を繰り返した。
おのれの心に忠実に。
ゾルゲはたくさんの人に好かれたという。
それは自己の欲が人よりも薄かったからだと思う。
欲のない人は他人に敵愾心を与えにくいようだ。
ただ社会主義に恋していただけなのだろう。
尾崎秀実も同じようなキャラだ。
そんな「理想」に恋しながら、結局その理想を操る人間が、普通に欲深く、人を疑い、嫌い、「理想」とはほど遠い世界を生きる人達であることが現実なのだ。
だから、人間がやるかぎりは、どんな理想的な社会も制度として成り立たないという悲しい現実を生きなければならない。
社会主義、資本主義など主義など問わない。
人には、他人よりも良く、優位に、金持ちに、エラそうになりたいという気持ちがあるので、それを考慮しない制度は、たとえ考慮してもだが、良い制度など作れはしないのだ。
だから誰かに権力を集中させないようにしなければならないのだ。
今の世の中を見ても、権力の集中するところにイヤな事が起きている。
しかし、それは権力があるところだけではなく、実は自分たちの身の回りにも、また自分にも同様の気持ちが渦巻いて日々「普通」の生活をおくっている事に気がつかねばならないのだ。
琵琶湖・沖島 7