「モーニング・サービス」
とは言っても、朝の喫茶店でコーヒーにトーストやサラダがつく、あのセットのことではない。
以前、客寄せの為にパチンコ店・パチスロ店で行われていた、朝イチのサービス(特典)である。
まずパチンコでいえば、「綱取物語」(平和)や「春夏秋冬」(西陣)のように、朝一状態がアツいデジパチが、典型的なモーニング台であった。
(西陣・春夏秋冬)
また「エキサイト」「アレジン」「アレキング」(ともに藤商事)等の連チャンアレパチも、電源オン時に連チャンモードに入る可能性があり、朝一が大変おいしい機種であった。
(藤商事・エキサイト)
ハネモノの「ビックリハウス2」(奥村)は、電源立ち上げ時にミニデジタルに大当りチャンスの「7」が出現する為、開店直後が狙い目であった。
(奥村・ビックリハウス2の7セグ。7が出ればVゾーン入賞のチャンスが高まる。)
同じハネモノでも、「たぬ吉くん」「玉ちゃんファイト」(ともに京楽)では、あらかじめデジタルに「V」を仕込むという、何とも太っ腹な店が存在した。
そして、権利モノのモーニングで有名なのが京楽の「ピンボール」。大当り終了後、最初のデジタル回転で中デジに奇数が出ると確率変動に突入するのだが、この確変状態(或いは大当り終了状態)を店側が仕込むサービスがあった。また、大一の「ダイナマイト」では、デジタルに「3」を出しておくサービスがあった。
(京楽・ピンボール)
(大一・ダイナマイト)
CR機が出始めの頃には、すでに確変に入っているお宝台を、朝イチの抽選で開放する豪儀な店もあった。
このように、パチンコのモーニングは実に様々なタイプがあったが、なんといっても魅力的だったのが、パチスロのモーニングであろう。
これは、店側が開店前に特定の台にビッグボーナスを仕込んでおくというものだ。その台に朝イチで座る事が出来れば、たった3枚(1枚)のコインでビッグを引けてしまうのだから、実に旨味のあるサービスだった。
(ユニバーサル3-2号機、コンチネンタル2)
パチスロのモーニング「仕込み」が許されていた時代(厳密には「黙認されていた」といった方が正確か・・・)、朝イチや新装時にはとりあえず1プレイ目に7を狙うのがお決まりであった。
運良くモーニング台に当たれば、ビッグ1回分(5~7000円)のリターンが期待できたので、ボーナス消化後に即ヤメしても十分に儲かったのだ。
極端な話、店でコインを買わずに、ポッケに20枚くらいのコインを忍ばせておき、シマの端から一台づつ順番に7を狙っていけば、モーニング台に当たる可能性が高かったのだ。
ただ、店側もそんな事を黙認するほど甘くはなかった訳で、客の台移動を厳しくチェックする店も多かった。また、朝イチは全台の電源を落としておき、客が着席してコインサンドに1000円を投入するのを確認してから電源を入れる…という対策を取る店もあった。
さらに、モーニングを取った客が即ヤメして逃げるのを防ぐ為、「午前11:00までコインの途中交換は禁止」なとという、非常に理不尽なルールを課す店もあったのだ。
店によっては、低設定台にしかモーニングを入れないところもあったので、朝イチの投資が少なく済んだからと油断してモーニング台を追っかけると、閉店までに酷い目に遭うことも・・・。
まあ、客にとっては「とりあえず少ない投資でビッグを引ける」事自体がアドバンテージとなったのだから、種々の制約こそあれ、大変旨みのあるサービスであったことは事実である。
1・5号機から初期4号機時代までは普通に行われていたモーニングも、90年代後半に入ると「射幸性を煽る」ということで、自粛→全面禁止という形ですっかり影を潜めてしまった。今のパチンカー、スロッターにとって、朝イチのチャンスがこれ程多い状況は、想像もつかないだろう。
繁華街の小さなスロ屋の前で、モーニング狙いの客が開店前にズラッと行列を作る光景というのは、もはや隔世の感がある。