ファンと選曲「ベスト盤」
シンガー・ソングライターの大江千里が、ファンのリクエストを参考に選曲したベスト盤「sloppy JoeⅢ」を発表した。83年5月21日のデビュー以降発表した計265曲からリクエスト数ではなくコメントの内容で18曲を選んだ。今月21日の大阪でのライブを前に、「デビューした日に出身地でライブができるなんて最高」と意気込んでいる。
大江のベスト盤のタイトル「sloppy Joe」は、「米国南部の、トマト風味で煮込んだ牛挽き肉のごちゃまぜ料理」のこと。英和辞書で千里の頭文字のSno項目をめくるうち偶然みつけた。89年に出した「Sloppy Joe」には「ワラビーぬぎすてて」「REAL」など、94年の「Sloppy JoeⅡ」には「十人十色」「格好悪いふられ方」など、ヒット曲を盛り込んだ。
今回は、前2作に収録した曲は外した。「同じ曲があっちにもこっちにも入ってると、僕がリスナーでも迷うから」とファンと同じ目線を大切にする。
リクエストは、今年2月、自分のホームページで募った。一ヵ月間で約6千通が寄せられた。「誰にどんなメッセージを送るか明確に決めて曲を作るタイプ」を自認する大江は今回、ファンのコメントをすべて読み「僕の思いが、届くべきところに届いていると実感できた」という。
例えば、夢を抱いて上京した若者の孤独を歌った「サボタージュ」には、青春時代を首都圏で過ごした地方出身者からのメッセージが相次いだ。「夢や希望を追って上京したものの不安でたまらなかった、デビュー直後の気持ちをそのまま書いた曲。同じ境遇の人の心に届いていたんだと分かり、励まされた」「自分の曲といえども、ファンの歴史がプラスされることで、重く深い存在に変わる」と知ったことで、歌い直したり、アレンジを変えたりするのは控えたくなったという。
ファンの思いがうれしくて、「曲間を短くするなど工夫して、CD1枚の限界ギリギリまで詰め込んだ」と笑った。
「残念ながら漏れた」曲も含めて演奏する全国ツアーを7月上旬まで展開中。大阪でのライブは21日午後5時半から「Zepp Osaka」で6,300円(ドリンク別)
朝日新聞の夕刊の記事です。