詩絵里(★シェリー★)の星の囁き達

尾崎詩絵里(★シェリー★)の自作恋愛小説及びポエム、写真専用部屋です。掲載文の引用、転載は固くお断りいたします。

恋愛小説「彼と最後のLOVE LETTER」第五章・第六章

2011年01月19日 | 小説「彼と最後のLOVE LETTER」
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第五章  8月10日

ピンポーン
「来た・・・どうしよう・・・」
香織は、決心をしたようにドアをあけた。
「すみません。僕は・・・・」
意気込んでドアを開けた先には、見も知らぬダサイ男!ではなくすごく懐かしい顔が待っていた。

「駿・・・・?」
「香織??なんでお前がここに住んでいるの?薫子の家じゃ・・・」
「こんなところで立ち話もなんだから・・・とりあえず中にはいって」

心臓が飛び出るかと思った。
葉書をくれていた島岡俊介は、昔、隣のうちにすんでいた幼馴染。幼稚園、小学校1年まで一緒に学校に通っていた仲だった。
これが予知夢・・

「表札がでてなかったから・・・てっきり薫子・・いや椿さんの家かと」
「実は、まだ、このうちに引っ越してきて1週間しかたってないんだ・・」
「そっか・・・それでまだ・・」   
「そう・・・引っ越しの後片付けも終わってないのに両親は結婚記念日とかいって二人で旅行に行っちゃうし・・」
「でもびっくりだよ・・・当時隣に住んでいた香織が薫子の家に現在、住んでいるなんて」
「とりあえず、お茶でも飲んで・・・」
「ありがとう・・・表札がでてなかったから、手紙も戻ってこなかったんだね・・・・」
「そうかも・・・」

島岡俊介は、すっかり背も高くなり、何かスポーツでもやっているのか、少し浅黒くやけており、見るからに好青年になっていた。

「俊介・・そういえば苗字は?以前は石塚俊介だったよね。苗字変わったから全くわからなかった・・・元気だった?」
「香織は小学校1年生で引っ越しちゃったからわからないと思うけど・・・うちの家庭、結構複雑だったんだよ・・実は、一時期この家に住んでいたんだよ」
「え・・・・?」
「二階の押入れの天井に落書きしてあるんだよ・・業者が消してなければね・・・」
「全然知らなかった・・・・で・・・訊いてもいいかな・・・」
「あ・・薫子のこと?」
「うん・・・」
「薫子は、僕の血のつながらない妹。香織と一緒だった大森第三小学校を卒業した後、両親が離婚をして、その後再婚したんだ・・・それで、こっちに越してきたの・・・そのときの父親方の連れ子だよ・・でも・・・また性格の不一致で離婚しちゃって・・・・
10年前に引っ越したんだ、小金井市の方に・・・
それで10年ぶりにこっちにまた家を買って引っ越してきたから・・薫子に逢いにきたんだ。母親はバツ2のままだけどね。」
「そうなんだ・・・・」

幼い頃のやんちゃな面影を少し残した俊介の顔を香織はぼんやりと眺めていた。
「薫子とは10年後、お互いに大学生になったら逢おうって約束をしていたから・・」
「そっか・・・ごめんね。きっとすごく俊介、その薫子さんに会うのを楽しみにしていたんだよね」
「香織が、謝ることないよ・・でもびっくりしたな・・・香織元気だった?」
「うん。俊介は、今何をやっているの?」
「僕は、今年、セントラル大学の法学部に入ったばっかりだよ」
「え・・・・セントラル大学って・・・もしかして大学一緒なの?」
「香織も?すごい奇遇・・どこの学部?」
「私は文学部の英文学を専攻・・今日学校行った?」
「今日は、行かなかったけど、明日は履修届け提出日だからいくよ・・」
香織はつづく偶然に、ただただ驚いていた。

「すっごい偶然だね」
「まさに事実は小説より奇なり(笑)」
「俊・・・俊介は、サークルはどこ?」
「僕は・・まだ決めていないよ。香織なんてたくさん勧誘あるんじゃないの?
女子はうちの大学少ないから・・・」
「でもいまいちぱっとするサークルがなくて」
「そうだよね・・・でも僕もこっちに久しぶりに引っ越してばかりだから友達とか作りたいし・・・うちの大学、合唱が有名なんだよね」
「そうなの?」
「全国大会レベルらしいよ・・・あと、演劇部も」
「・・演劇部か・・・・」
「演劇部だったら、高校時代の先輩がちょうど副部長しているから、明日紹介するよ」
「ありがとう!!」




第六章  夏合宿

電撃が走ったかと思った。はっと気が付いて私がみると誰かの手が私の手に触れていた。
「大丈夫・・・火危ないよ」
私は、ボーっとして花火を種火につけようとしていたところだった。
「ありがとう・・・」
「ぼーっとしていると火傷しちゃうぞ」
「うん」
ものすごく心臓が早鐘を打っているようだった。明かりは花火の灯りだけで、あたりはかなり暗くなっているので誰だかよくわからなかった。「香織・・・」
「俊・・俊介??」

ガバ!!そこで夢が覚めた・・・

「なになに・・?どういうこと?
なんで夢に俊介がでてくるの?これも予知夢?まさかねwww」

夏合宿が始まった。
結局、俊介に誘われるがまま、香織、孝子、小百合は演劇部に入ったのだった。
そして今日は、合宿最終日。
浜辺で、バーベキューをやった後にみんなで花火をやることになっていた。
(なんで私が俊介と・・・)心の中は疑問符でいっぱいだった。

「香織~香織!!」
「俊・・・俊介・・」
「どうしたんだ・・お前顔赤いぞ、熱でもあるのか」
と言うや否や、俊介は人目はばからず、自分のおでこを香織のおでこにつけようとした。
「何するの!?」
「熱はないみたいだな」

心臓が飛び出すかと思うほど胸がドキドキした。
(もう・・・あんな夢を見るから。俊介のこと気になっちゃうじゃない!)

 夜の花火が始まった。花火を種火につけようとすると一人の人影がよってきた。
ドキドキ・・・・・
「ほら、火危ないぞ」
「ありがとう・・・」
「ぼーっとしていると火傷しちゃうぞ」
思い切って香織はその人物を見た。
思いのほか、顔が近くて、香織の髪の毛が俊介に触れた・・・・
(やば・・・私また絶対に赤くなっている!!)

俊介の手が私の手に触れた・・・・
ひんやりとした大きな手だった。
初めて俊介を男だと感じた瞬間だった。

海からの風が心地よかった。
一瞬周りのざわめきが消え、俊介と私二人きりで花火をしている錯覚にとらわれた。

「ねぇ・・・俊介・・・・」
「薫子さん探ししてみない?」
え・・・!!こんな雰囲気のいい感じの時に私は無意識に突拍子もないことを言っていた。

「ありがとう・・・俺も薫子探ししてみたいなって、香織に手伝ってもらえたらな・・・って思っていたんだ」
「うん・・・じゃ合宿から帰ったら早速」
「ありがとう」というと俊介は香織の手から自分の手を離し、香織の髪の毛をくしゃりとやった。
(やばい・・・好きになっちゃったかも)

孝子と小百合がやってきた。
「なんか香織と俊介君いい感じだったんじゃない?」
「まさか・・・彼とはただの幼馴染だから・・私がちょっとぼーっとしていたから火の心配をしてくれたただけ」
「とかなんとか言っちゃって、香織顔赤いよ」
「それは花火のせいだよ・・・」
「ふ~ん」
「それよりね・・・」
香織は、俊介と再会したときの話をし、俊介の妹探しをすることについて簡単に話をした。

~つづく~

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