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http://blog.goo.ne.jp/sherry0324/e/cbbebf8d7a2ab59ffe0bd8650375ce24
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第九章 徳島
それから一週間後、薫子から俊介にメールが来て、徳島で会うことになった。
「薫子の父親が病気で入院中だから、こっちにはでてこれないんだって」
「そうなんだ・・・」
俊介と二人きりだったのに会話は全然弾まなかった。ずっとずっと気持ちはあせっていた。
何にあせっているかもわからないまま、俊介の顔を仰視できなかった。
徳島県徳島市
那賀川や吉野川、四国山地、紀伊水道をはじめとする自然が多く残っている鳴門の渦潮や祖谷渓、大歩危・小歩危などの観光資源を有する美しい市。そして阿波踊り発祥の地。
私と俊介は、薫子との待ち合わせの場所に行くために眉山のケーブルカーに乗った。
ケーブルカーを降りるとき、香織が躓くと俊介が、さりげなく香織の腕をつかんでくれた。
悲しかった。切なかった。自分の俊介を思う気持ちすべてが堰きとめられなかった。思わず香織は涙ぐんでしまった。
「どうした・・痛かったの・・?」
(やさしくしないで、これ以上やさしくされたら私自分の気持ちを押し留められない)
「大丈夫。ちょっと目にゴミが入っただけ」
やがて展望台の上に薫子が姿をあらわした。
美しかった。昔見たロミオとジュリエットの映画のジュリエットを彷彿とさせた。
「久しぶり、俊君。そちらの方は?」
「僕の幼馴染、そして今一番大切に思っている女性、香織だよ」
一瞬耳を疑った。
(何?何を言っているの俊介は!?)
私は、頭の中がパニックになりながらも、美しく微笑んでいる薫子に向かって挨拶をした。
「はじめまして岡崎香織です。」
「ようこそ・・徳島へ。よかった俊君も彼女連れだったんだ。和敏・・・」
そういうと薫子は、近くにいる男性を手招きした。
「和敏、こちら、以前から話ししていた俊君とその彼女の香織さん。こちらは私の彼氏で古谷和敏さん」
「はじめまして古谷さん」俊介と古谷は軽く握手を交わした。
「ここじゃなんだから、展望レストランですだちジュースでも飲みながら話をしましょ・・」
薫子と和敏が、連れ立って歩き出すと、俊介は心持ち顔を赤くしながら私の耳元で囁いた。
「ごめん。勝手に彼女だなんて紹介して。でも本気だから」
「ありがとう。うれしかった。」
本当に嬉しかった。天にも上る心地だった。
好きな人に好きだと思われることがこんなに幸せだと思ったことはなかった。
天にも登る気持ちって言うのはこういうことなのかも知れない・・・なんて思いつつ
自然にほころんでくる頬の緩みを止めることはできなかった。
最終章 エピローグ
「ごめん。香織・・・実は、結婚することになったんだ」
「誰と?」
「薫子と」
目が覚めた。また予知夢だった。予知夢なんて能力をうらめしいと思ったのは初めてだった。
あの徳島の夏から5年がたった。
徳島から帰ってきてからの私たちは、きっと人がうらやむような仲のいい恋人同士だったと思う。
でもいつも、夢に邪魔をされた。
喧嘩をする予感は夢になって現れ、私は、自分が傷つきたくなくて、だんだん俊介に本心が言えなくなっていった。
そして俊介の顔から笑顔が消えた。
そうやって、他の恋人同士がよくやるような小さな喧嘩を重ねるうちにだんだん心がささくれ立っていった。
最後に交わした言葉はなんだったのだろう。
きっとたわいも無いことだったのかも知れない。
でも、もうその頃には、軌道修正することにすら二人とも疲れていたのかも知れない。
大学卒業後、音信普通になり、2年の月日がたった。
嫌な予感がしてポストを覗きにいった。
すると一枚の絵葉書が届いていた。
俊介と花嫁姿の薫子さんがそこに微笑んでいた。
私と俊介が連絡とらなくなってから、二人がどうなったかは全く知らなかった。
宛名だけの絵葉書。宛名の文字に懐かしさを覚えてちょっと胸が痛かった。
(これでよかったんだよね)その日から、私は予知夢を見なくなった。
「最後のラブレター」
~オリジナルポエム~
いつかどこかでもう一度
君に出会ったらどう言おう
あの時君を愛していたことは
嘘ではなかったと君に告げたい
二人の想いがシンクロしてから
たくさんのことがあったね
そしていつのまにか
僕には君の心が見えなくなった
君は二人でいると
目をふせがちで
何をきいても
「大丈夫、別に」だったね
僕は君の心が知りたかった
君の心を救いたかった
でもいつの間にか知らぬ間に
二人の心の間を大きな氷河が
流れていた
僕らはずっといい関係でいられると
思っていたのに悲しいよ
君の心を半分だけ
僕の心にしまったままで
僕達のつながりは
壊れてしまった
僕は違う人と一緒に生きていくよ
もう今度はその人を悲しませないように
僕は僕なりにがんばるよ
だから
君も絶対に幸せになってね
君なら幸せを勝ち取れるから
僕は君にさよならはいわないよ
いつかいつか
もう一度
友として笑い会える日がくるまで
~Fin~
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第九章 徳島
それから一週間後、薫子から俊介にメールが来て、徳島で会うことになった。
「薫子の父親が病気で入院中だから、こっちにはでてこれないんだって」
「そうなんだ・・・」
俊介と二人きりだったのに会話は全然弾まなかった。ずっとずっと気持ちはあせっていた。
何にあせっているかもわからないまま、俊介の顔を仰視できなかった。
徳島県徳島市
那賀川や吉野川、四国山地、紀伊水道をはじめとする自然が多く残っている鳴門の渦潮や祖谷渓、大歩危・小歩危などの観光資源を有する美しい市。そして阿波踊り発祥の地。
私と俊介は、薫子との待ち合わせの場所に行くために眉山のケーブルカーに乗った。
ケーブルカーを降りるとき、香織が躓くと俊介が、さりげなく香織の腕をつかんでくれた。
悲しかった。切なかった。自分の俊介を思う気持ちすべてが堰きとめられなかった。思わず香織は涙ぐんでしまった。
「どうした・・痛かったの・・?」
(やさしくしないで、これ以上やさしくされたら私自分の気持ちを押し留められない)
「大丈夫。ちょっと目にゴミが入っただけ」
やがて展望台の上に薫子が姿をあらわした。
美しかった。昔見たロミオとジュリエットの映画のジュリエットを彷彿とさせた。
「久しぶり、俊君。そちらの方は?」
「僕の幼馴染、そして今一番大切に思っている女性、香織だよ」
一瞬耳を疑った。
(何?何を言っているの俊介は!?)
私は、頭の中がパニックになりながらも、美しく微笑んでいる薫子に向かって挨拶をした。
「はじめまして岡崎香織です。」
「ようこそ・・徳島へ。よかった俊君も彼女連れだったんだ。和敏・・・」
そういうと薫子は、近くにいる男性を手招きした。
「和敏、こちら、以前から話ししていた俊君とその彼女の香織さん。こちらは私の彼氏で古谷和敏さん」
「はじめまして古谷さん」俊介と古谷は軽く握手を交わした。
「ここじゃなんだから、展望レストランですだちジュースでも飲みながら話をしましょ・・」
薫子と和敏が、連れ立って歩き出すと、俊介は心持ち顔を赤くしながら私の耳元で囁いた。
「ごめん。勝手に彼女だなんて紹介して。でも本気だから」
「ありがとう。うれしかった。」
本当に嬉しかった。天にも上る心地だった。
好きな人に好きだと思われることがこんなに幸せだと思ったことはなかった。
天にも登る気持ちって言うのはこういうことなのかも知れない・・・なんて思いつつ
自然にほころんでくる頬の緩みを止めることはできなかった。
最終章 エピローグ
「ごめん。香織・・・実は、結婚することになったんだ」
「誰と?」
「薫子と」
目が覚めた。また予知夢だった。予知夢なんて能力をうらめしいと思ったのは初めてだった。
あの徳島の夏から5年がたった。
徳島から帰ってきてからの私たちは、きっと人がうらやむような仲のいい恋人同士だったと思う。
でもいつも、夢に邪魔をされた。
喧嘩をする予感は夢になって現れ、私は、自分が傷つきたくなくて、だんだん俊介に本心が言えなくなっていった。
そして俊介の顔から笑顔が消えた。
そうやって、他の恋人同士がよくやるような小さな喧嘩を重ねるうちにだんだん心がささくれ立っていった。
最後に交わした言葉はなんだったのだろう。
きっとたわいも無いことだったのかも知れない。
でも、もうその頃には、軌道修正することにすら二人とも疲れていたのかも知れない。
大学卒業後、音信普通になり、2年の月日がたった。
嫌な予感がしてポストを覗きにいった。
すると一枚の絵葉書が届いていた。
俊介と花嫁姿の薫子さんがそこに微笑んでいた。
私と俊介が連絡とらなくなってから、二人がどうなったかは全く知らなかった。
宛名だけの絵葉書。宛名の文字に懐かしさを覚えてちょっと胸が痛かった。
(これでよかったんだよね)その日から、私は予知夢を見なくなった。
「最後のラブレター」
~オリジナルポエム~
いつかどこかでもう一度
君に出会ったらどう言おう
あの時君を愛していたことは
嘘ではなかったと君に告げたい
二人の想いがシンクロしてから
たくさんのことがあったね
そしていつのまにか
僕には君の心が見えなくなった
君は二人でいると
目をふせがちで
何をきいても
「大丈夫、別に」だったね
僕は君の心が知りたかった
君の心を救いたかった
でもいつの間にか知らぬ間に
二人の心の間を大きな氷河が
流れていた
僕らはずっといい関係でいられると
思っていたのに悲しいよ
君の心を半分だけ
僕の心にしまったままで
僕達のつながりは
壊れてしまった
僕は違う人と一緒に生きていくよ
もう今度はその人を悲しませないように
僕は僕なりにがんばるよ
だから
君も絶対に幸せになってね
君なら幸せを勝ち取れるから
僕は君にさよならはいわないよ
いつかいつか
もう一度
友として笑い会える日がくるまで
~Fin~