序破急

片足棺桶に突っ込みながら劇団芝居屋を主宰している爺です。
主に芝居、時々暮らしの中の出来事を書きます。

第25回公演「六丁目金山ビル・おみまめ」物語11

2013-06-22 23:20:56 | 日記・エッセイ・コラム

第五場 その二

権藤から美樹達の父親の現在と過去を聞いた純子は、美樹に権藤から直接聞くよう説得するが拒否する美樹の態度は頑なだった。会いたいと主張する隆文と話し合わせる為に栄治と純子はその場を離れマーガレットに戻る。

そこにはアルバイトを終えた大宮岬が世話になった礼をしに純子を待っていた。

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 岬 「ママさん」<o:p></o:p>

純子 「アラ、岬ちゃんどうしたの、こんな時間に」<o:p></o:p>

 岬 「ママ、お蔭様で一週間無事に勤めることが出来ました。これもママや皆さんの励ましのお陰です。ありがとうございました」<o:p></o:p>

 純子 「なに、それを言いたくてこの時間に来たの」<o:p></o:p>

 岬 「はい」<o:p></o:p>

 純子 「わざわざ、有難うね。さあ、もう遅いから早く帰りなさい。明日学校があるんでしょう」<o:p></o:p>

 岬 「ハイ。これからもよろしくお願いします」<o:p></o:p>

 純子 「ハイ。頑張ってね、応援してるから」<o:p></o:p>

 栄治 「晃ちゃん、送って行ってやれよ」<o:p></o:p>

 晃子 「いや、でもこれから話があるんじゃ・・」<o:p></o:p>

 栄治 「居たって足しにならないんだから」<o:p></o:p>

 晃子 「マア、そうですけど・・」<o:p></o:p>

 純子 「晃ちゃん、悪いけどね」<o:p></o:p>

 晃子 「・・・ハイ。じゃ、送って行きます」<o:p></o:p>

 純子 「気をつけてね」<o:p></o:p>

 岬 「じゃ、お休みなさい」<o:p></o:p>

     ドアベル。晃子と岬行く。

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一瞬流れた和やかな空気は、事の経過を気にする三人によってすぐにかき消される。

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純子の口から語られた美樹の父親の実体があまりにショッキングだったからである。

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 幸子 「ねえ、それでどうなったの、美樹ちゃん」<o:p></o:p>

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 純子 「隆文君と話し合ってる」<o:p></o:p>

 栄治 「美樹、あれで納得したのかな」<o:p></o:p>

 純子 「さあね、どうかしらね」<o:p></o:p>

 栄治 「しかし、よりによってあっちの世界の話が関わって来るなんてなあ」<o:p></o:p>

 純子 「あんた、本当に駄目みたいだね、ああいうの」<o:p></o:p>

 栄治 「ああ、小さい時に映画館で悪戯されたのがトラウマになっていて、未だにああいう連中が近くに来ると嫌悪感で身がすくんでしょうがないんだ。だらしない話さ」<o:p></o:p>

 純子 「そうだ。あんた、父親がそうだからって、美樹ちゃんには関係ないんだからね」<o:p></o:p>

 栄治 「わかってます」<o:p></o:p>

 幸子 「栄ちゃん、こういう時にこそ美樹ちゃんを支えてやらないとね」<o:p></o:p>

 

栄治 「わかっているって。・・・・でもママだったらどうする、子供まで作った自分の旦那から実はホモだなんて告白されたら<o:p></o:p>

 純子 「・・・別れるね、わたしでも。初めが嘘で始まってちゃねえ、とても一緒には暮らしていけないよ。そんな人が普通の生活を望むんだったら、最後まで嘘を付き通さなくちゃ。途中で自分が楽になる為に正直になるなんて、許される話じゃないわよ」<o:p></o:p>

 幸子 「そうよねえ」<o:p></o:p>

 栄治 「女にとって屈辱モノだってことだ」<o:p></o:p>

 純子 「そうよ。それに時代がね、今みたいに何でもありの時代じゃないんだから。・・・殺したいほど憎んだってことよ」


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