ぷらすわんの子供たち ~ホワイトスイスシェパードと暮らす~

ホワイトスイスシェパードのヴァルターを中心に日常や競技会などを綴った雑記帳。

久々に読むなぁ

2012年02月12日 | 今夜の一冊
島田荘司の本は大好きで初期は全部読んでます。
御手洗シリーズも吉敷シリーズもどっちも好きだし、
それ以外の話も今まで外れだったことのない
アタシにとって唯一の作家です。

今回もやってくれました。
読み始めからぐいぐい引き込んでくれる。

島田荘司の世にあるあまたの謎をひも解く本は
その仮説にいつもなるほど~って唸らせられる。

今回読んでいる「写楽 閉じた国の幻」も
写楽とはいった誰だったのかを軸に世を騒がせたある事件を背景に
人間模様を巧みに描いてます。
もともと浮世絵は好きな方なので
写楽の謎っていうのはとってもそそられます。

いや~、やっぱり島田さんの本は凄いわ。
毎回その一言に尽きます。

涙が止まらない

2011年12月19日 | 今夜の一冊
先日紹介した本を読み終えました。

「エドガー・ソーテル物語」デヴィッド・ロブレスキー著

この本はまったく衝動的に購入したので前知識無しで読みましたが
たぶん今まで読んだ本のトップ3に入る素晴らしさでしたね。
これがデビュー作だなんて凄すぎる・・・・。

あらすじは産まれたときから声を出せず、手話でしか話せない
エドガー・ソーテルという少年が人里離れた農場で数世代にわたって
ある犬種のブリーディングと訓練を続けてきた家系の両親と
暮らしているのですが、ある日叔父が帰郷してきたことによって
今までの平穏な暮らしが崩れていきます。

思慮深く人に寄りそうソーテル犬はエドガーにとって生涯の友、
かたい絆で結ばれているのです。

ある日エドガーの父が突然死に、打ちひしがれたエドガーはその死の原因を
つきとめるために更なる惨事を起こし、広大な森へと逃げることになってしまいます。
エドガーについてきた3匹の犬と共に大自然の中で生き続けようと
奮闘しながら成長していくのですが、ある男に出会いエドガーにとって
転機が訪れます。


プロローグを読んだ時、それがいったい何なのか
この物語にどう関係してるんだろうと思っていたけれど
読み進めていくうちにそれが誰なのか、どういうことなのか
その重要性に気づかされたましたね。
そして現代版ハムレットと呼び声高い作品と言われる意味も
読み終えると分かるのです。
悲しいのではなく、あまりにも切ない。

一見単調のような流れに思えていたけれど実は自分自身も
エドガーに同化して苛立ちや怒りを感じ、自然の脅威に慄き、
犬に対する不安で胸が張り裂けそうになったり怖くなったりしてました。
今まで本を読んでいて、ここまで現実的に怖さを感じるのは初めて。
ページをめくるのが怖くなる思いでしたね。
アタシにとっては人の心理を突いた作品だなって思えました。
犬と居てこうなってほしくない、一番痛いところを突かれた感じ。

エドガーにとって一番大切な犬との別れ、
そしてその犬にしてやれなかった自分の心残りをどう償っていくのか。
アタシ自身前に飼っていた犬で同じように悩んだ時期があったから
余計エドガーの気持ちがリアルなほど分かるんですね。
その思いに折り合いをつけれる結末はそれしかないって
分かっているけれどもやっぱり読むのは辛い・・・。

読みながらもう切なくて切なくて涙が止まらないです。
自分が一番大切な犬にお互いの気持ちを伝えあえるなら・・・。
それは犬と共に生きる人達の理想でしょうね。

読み終えてもなおアタシは涙が止まらないという一冊でした。

無条件に可愛い

2010年07月20日 | 今夜の一冊
今、一番のお気に入りの一冊です。

きな子ちゃんの本はいろいろ出てますが、
やっぱり写真集が最高。

うちもシェパードが2頭いたんで警察犬訓練の様子は
懐かしい&がんばってるね~って思わず力はいっちゃいました。

とくにきな子ちゃんの表情がめちゃめちゃ可愛いっ。

疲れた心を癒してくれるお勧めの一冊です。

女性だけでなく

2010年05月11日 | 今夜の一冊
多くの方に読んでいただきたい一冊です。

著者 弁護士 中村久瑠美
  「あなたそれでも裁判官?」

どういう本かというと、
育ちのいいお嬢さんがある知的な男性と恋に落ち、結婚するんですが
結婚後すぐに夫が仕事以外にまったく関心がなく、暴力を振るい始めるんですね。
で、誰にも言えない状況で苦しみながら耐えつづけるんですが、
後遺症が残るほどの重傷まで負い、ついに夫と離婚し子供を抱えながら
必死勉強して司法試験に合格、司法研修時代までの壮絶な自伝本なのです。

この本のタイトルを見たとき、これは著者が
弁護士としてなんらかの状況で裁判官に対して
言った言葉とばかり思ってました。

辛い思いをして弁護士になったのだから
きっと強い方なんだろうなって。
だから弁護士になってからの言葉と思ったんですよ。

でも読み始めて驚いた。
これは自分の夫に向けて言った言葉だったんですね。

暴力をふるっていたのは現役の裁判官だったわけです。

この本を読みたいと思ったのは
個人的にも過去に重なるところがあったわけで、
そういうのって結構多いんじゃないでしょうか?

一人で悩んで苦しんでる女性はたくさんいると思うのね。
そういった人々に勇気をくれる一冊。
それ以上に周りの人々に読んでもらいたいし、
知ってもらいたい一冊です。


Bartimaeus

2009年01月18日 | 今夜の一冊
退屈しのぎに(ハードカヴァーとしては)値段が手ごろ、
長編が読めるということで取りあえず1冊だけ買ってみたのが
ジョナサン・ストラウド作「バーティミアスⅠサマルカンドの秘宝」。

一冊600ページはあるからね。
もし面白かったらⅡ・Ⅲと、しばらくは楽しめるかなと。
それなりに面白い程度の期待しかなかったんだけど、
気がつけば予想以上の面白さにしっかりのめり込んでましたねえ。

というわけで2日ごとに本屋に行っては「ゴーレムの目」を買い、
読み終えちゃ「プトレマイオスの門」を買い、瞬く間に読み終えちまいました。
最初から3冊購入すればよかったのに。
はぁ~。

ストーリーの舞台は一昔前のロンドン。
魔術師たちが政府を動かし、帝国を牛耳っている。
一般市民の存在価値は薄くさげすまされた世界で貧しいが故
魔術師の弟子にされた少年が師匠に隠れてバーティミアスという
悪魔を召喚したところから物語は始まる。
少年は自分を軽んじ、辱めた魔術師に復讐しようとするわけだが
それがとんでもない事態を招いてしまう・・・。

というのが1冊目の筋書きなんだけれども、
この少年の臆病で生意気でひねくれた性格と
後先考えなしの行動で何度も取り返しのつかない事態に陥るのが
なんちゅうのか、上手く描かれてるのね。
悪の権現であるべきバーティミアスがなんと可愛く思えることか。(笑)

ここに謎の能力をもった一般人が絡んでくるのだけれど
それは2冊目以降に話が展開するわけで・・・。
2冊目・3冊目と数年後づつ時間も経過してはじめ子供だった少年も17歳、
政界トップ7にまでのし上がってきてます。
ただ自己中心でひねくれた性格はますますひどくなって
バーティミアスは彼に見切りをつけようとするのですが・・・。

今まで何気なく描写されていた伏線が3冊目で徐々に明らかに
なっていくわけです。
それと同時にバーティミアスがいままで言ったセリフや行動、
気持ちや考え方が初めて理解できるんですね。
そして最後は少年とある人物が見事に重なり合い、エンディングは
もうこれしかないだろうって終わりです。

なによりもこれでもう終り、続編はなしという終りが
感動的で心打たれます。
う~ん、凄い。
欲を言えば、子供向けに書かれた本なんだろうけど
大人向けの文章だったらもっと最高。

読んですぐ、もう一度はじめから読み返したくなる3冊です。

PLEA OF INSANITY

2009年01月07日 | 今夜の一冊
ジリアン・ホフマンの新作が出てます。

報復シリーズは夜眠るのが怖くなるような面白さでしたが
今回は違った意味で面白かったっす。

「心神喪失」
確かにタイトルどおりテーマが重~い。
読んだあと自分ならどう考えるか、ですっきりしない。
でも読まないより読んでよかったと思える。
いやいや感想を述べるより感じ取ればいいか。
とまあ、自分の感想はほとんど役に立たないですな・・・。

もし一夜のうちにあなたの身内の家族や親しい家族が
幼い子供も含め、何の理由もなく惨殺されたとしたら?
犯人が同じ家族で被害者を装って生き残っていたら?
そして裁判で心神喪失を理由に無罪を主張したら?
あなたはどうします。

実際、特別な理由もなく突然事件に巻き込まれ命を奪われる人たちがいる。
そして被告側が心神喪失を理由に無罪を主張するケースも耳にする。
被害者側からすればこんなに腹立たしいことはない。
そう、自分だってそう思う。

けれど加害者側の立場になって事件や状況を考える機会や情報もほとんどないし、
無知であるがゆえの偏見や誤った見方をしていないとは決して言えない。

裁判員制度もじき始まるけれど、それを前に両者からの見方を
考えされられる作品でした。
う~ん、自分はどう判断するんだろう。

アルケミスト

2008年12月18日 | 今夜の一冊
ここのところまた児童書に手を出してます。

今回読んだのはマイケル・スコット作の
「The secrets of the immortal Nicholas Flamel」
6冊シリーズ(らしい)の2冊。

英字タイトルのほうに惹かれて買っちゃんたんです。
アイルランドの作家さんだし、神話とかめちゃそそられるし
表紙もきれいだし・・・。

日本語タイトルでは「錬金術師ニコラ・フラメル」
「魔術師ニコロ・マキャベリ」と一瞬単独商品のような感じですが
シリーズもんでした。
ああ、また続けて買わなきゃならんよーな本をセレクトしちまった。(笑)
児童書ってお高いのよね。

しかしながらも児童書はとにかく読みやすい。
疲れてる時でもすんなり頭に入ってくるから
と~っても楽なんですわ。
最近は海外ファンタジーものがたくさん出回ってて
大人が読んでもけっこう面白い本があるんですよ。

忙しい時期に限って本が読みたくなる者には
こういった本は苦痛にならなくてありがた~い。

あらすじは15歳の双子の姉弟がアルバイトしていた先で
突然わけの分からない者たちからの危険に晒されます。
古の儀式書「アブラハムの書」を所持していた錬金術師ニコラ・フラメルと
呪術師ジョン・ディーの争いに巻き込まれたのです。
そして二人は望みもしない恐ろしく不思議な未来を歩み始めることに。

実在の人物や神話の登場人物がぞろぞろ出てきます。
それ一つ一つを取り上げてまた別に調べてみるのも楽しいかなと。
双子の姉弟のそれぞれの感情や行動もよく描けていて
読みながらムカついたり、同感したり。(笑)

残り4冊ですが、次はまだ先だね~。
これまた長期にわったって楽しむ本が増えちまいました。

うーん面白いんだけどね

2008年12月07日 | 今夜の一冊
今回はお待ちかねのJ・ディーヴァーの新刊。
スリーピング・ドールです。

私は前作のウオッチメーカーがディーヴァーとの
初めての出会いだったのだけど、(ボーン・コレクターは映画で見ただけ)
巧みなストーリーとどんでん返しのどんでん返しで
結末を全く予想できない凄さが強烈で感心しまくってました。

おかげでライムシリーズとその合間の作品はすぐ読みつくしちゃったという。
それほどのめり込める作家も近頃は少ないものね。

読む方の好みもあるだろうけどライムシリーズが
私には面白いですよ。

今回の新作はライムシリーズの順番ではないので
前作に登場したキネシクス分析の天才キャサリン・ダンスが主人公。

あらすじは、ある一家を惨殺したカルト指導者が脱獄し、
彼を尋問したダンスが捜査の指揮を取ることに。
人間の所作や表情を読み解き、いかなる嘘をも見破る
ダンスと狡知な頭脳を持ち周到に捜査の裏をかく犯人ペル
との頭脳戦の追跡劇。

ライムほど強烈なキャラクターに馴れちゃったせいか
他のキャラだと印象が薄くなるのが残念(笑)
他のライムシリーズ以外の作品も出来が悪いわけじゃないけど
どうもインパクトが弱い気がする。

キャサリンも魅力的なキャラでよくできたストーリーだったけど
鍵になるスリーピング・ドールとのやり取りの部分が
物足りなかったのね。私としては。
あと前半が良かった分、後半があれよあれよという間に終わっちゃった
感じでちょっと残念。

次回のライムシリーズに期待です。

児童向けじゃない?

2008年11月27日 | 今夜の一冊
D・B・シャンと言ってもピンとこないでしょうが。

私としては珍しく児童書で愛読してるデモナータシリーズを
書いてる作家さんなんですけどね。

ダレン・シャンとは別のペンネームで書かれた
大人向けのファンタジーが出ると聞いてましたんで、
密かに待っておりやした。

表紙は例の如く田口智子さん。
好きなんだな~、この方のイラスト。

その昔、詩とメルヘンという雑誌に掲載されていたと思う。
その頃も目を引くほど印象深かったの。

今回は本の内容に合わせてクールな表紙で
すぐ目に留まりましたぜ。
児童書の並びに積み重ねられるにはちょっと異色。

本の帯に「18歳以上向き」と書かれてるのに
児童書と一緒なのもどうかと思いつつ、
ダレン・シャンファンなら読みたいと思うんだろうな。

そもそもデモナータシリーズも児童書にしては
実に不快な描写が目白押し。
最初読んだときはこんな本を児童書?って
びっくりしたくらい。
だから子供たちが読んでも不思議じゃないんだろうね。

まあ、実際読み終えてみると、いわゆる一般のハードボイルドや
ミステリーを読みまくっている大人には物足りないものがある。
でも児童書の延長線上にあると思えばなかなかに面白い。

子供たちがシビアな世界に踏み込む本の一冊として
お勧めなのかも。

非現実的な世界だけれど、マフィア色が色濃くて
なんともジャンル分けがしにくいのですが。
やっぱりファンタジーなんでしょうか。

寝苦しい夜に

2008年07月31日 | 今夜の一冊
眠れなくなるほど怖くて面白い。
私にとって今年一番の本になるんじゃないかな。

フランク・シェッツィングの「深海のYrr」。
最近のドイツは映画も小説もなかなか興味深いです。
本屋で目に留まったのもそれだけの理由だったんだけど、
読み始めてこれは大当たりでした。

物語はペルー沖で葦舟で漁に出た漁師の一人が
行方不明になるところからはじまります。
数ヵ月後ノルウエー海底で無数の異様な生物が
メタンハイドレート層を掘っているのが発見され、
カナダ西岸で到来が遅れていた鯨の群れがボートを
襲い始め、世界各地で猛毒のクラゲが出現、
フランスではロブスターによって運ばれた病原体が
猛威を振るい始めます。
海の中で一体何が起きているのか?
それぞれの専門の学者達が調査し始めるのですが・・・。


海には昔から興味や関心があるのだけれど
いざスキューバーの資格を取るのに二の足を踏む。
マリンスポーツもやってみたいけど
それよりトレッキングやロッククライミングの方がいい。
海辺に住むのと山の中に住むのなら山の方がいい。
カナダを訪れる度にホエールウオッチングをしたいと
思いつつ実行にうつせない・・・などなど
私がいままであえて考えようとしなかった怖さを感じる理由。
のっけからことごとく起こしてくれてます、この本は。(苦笑)

舞台が深海にへと深く潜っていけばいくほど
未知の世界に背筋が凍るような怖さを感じますねえ。
正体不明が引き起こす恐怖。

深海には何かいる。
それが何かわからないけれど、
海は人の身近に隣り合わせであらゆる方法で
やってくるわけです。
サメが人を襲うのは当然怖いんだけど
それ以上に深海で埋めつくされるほどのゴカイとか
破裂したロブスター、目の無い白いカニの大群の襲来・・・。
うう、想像しただけでめちゃめちゃ怖い。

深海の世界は宇宙よりずっと身近なのに
実のところ私達はほとんど知っていないんですね。
現実に起こっても不思議じゃないくらいリアルで
怖い小説です。
そして人類の危機に愚かな行動を起こすのは
やはり人間なのですね。
どよ~ん。

人類が地球に何をしてきたか
あれこれ考えさせられる小説でした。
生物学や科学に疎い人でも充分楽しめる一冊って、
日本では上中下巻の3冊なんですが。(笑)
実に読み応えあるお勧め作品です。

今日の画像はカヤにとまっているバッタ。
実はこのバッタもカヤで編んで作ったもの。
珍しくて頂いたんですが、よく出来てるでしょう。