エスせんブログ

ラノベ好きなB級小学校教師のエスせんが、教育中心に色々語るブログです。少しでも面白ければ「いいね」御願いします。

往年の少年ドラマシリーズを思い出させる『夏を待つぼくらと、宇宙飛行士の白骨死体』

2024-11-14 04:30:00 | ライトノベル
 木曜はラノベ愛語り。今回は、割と最近の本を紹介します。
 今回紹介するのは、篠谷巧先生の『夏を待つぼくらと、宇宙飛行士の白骨死体』です。文章中心のSNSであるnoteの記事で紹介されていて、面白そうだったので、発売月の令和6年8月に購入し、10月に読み終わりました。
 物語は、新型コロナ感染症対策が緩んできた2023年の7月、日本の「ド田舎」が舞台。「失われた青春を取り戻そう!」と叫ぶ親友・堤宗太に付き合わされた主人公・半田理久は、途中で出会った早坂紗季も加えた3人で高校の旧校舎に侵入し、そこで宇宙服を着た白骨死体を発見してしまう。その死体に「チャーリー」と名付けた3人は、かつて仲の良かった筧華乃子も仲間に加えて謎解きを始める。それは、4人が疎遠になった、ある出来事と向き合う事でもあった…と言う感じの話です。
 この作品、note記事を読んだ時には、スティーブン・キングの『スタンド・バイ・ミー』っぽい話だと感じました。「4人組」「夏」「死体」など、物語の重要な構成要素も重なってますから。そしてnote記事にも、その様なコメントを付けました。
 しかし、実際に読んでみると、当たり前ですが『スタンド・バイ・ミー』とは異なります。重要な構成要素は重なっていますが、そもそも肝心な主題が違います。『スタンド・バイ・ミー』の主題は「少年時代の喪失」だと思うのですが、本作は「青春と友情の奪還」だと…私は受け取りました。この、主題の大きな差が、作品全体の雰囲気も大きく変えています。
 はっきり言って本作は、ドキドキ展開はあったとしても、基本的に明るく、読後感は爽やかです。この雰囲気、どこかで体験した様な…と、読みながら考えている内に思い出しました。往年のNHK「少年ドラマシリーズ」っぽいのです。
 もちろん、「少年ドラマシリーズ」だって暗い話もあれば、重い話だってありました。
 ただ、「少年ドラマシリーズ」全体の雰囲気が、基本的に明るく、見終わった後の印象が爽やかだった…様に思うのです。まぁ、これは私の記憶違いかもしれませんが…。
 ともあれ私は、「少年ドラマシリーズ」の一作品であるかの様に感じながら、本作を読み進め、読み終えたのでした。
 ところで、先程の内容紹介で私は、「謎解き」と言う言葉を使いました。
 本作は、基本的に謎を解いていく物語です…が、最近の推理小説や『名探偵コナン』の様な感じではありません。それらの作品では、最初から(遅くても中盤までで)重要な物や人は提示されており、それらを組み合わせて真実に近づいていく事が多いです。それが本作では、最初は提示されていなかった重要な物や人が、物語が展開するにつれて出てきます。そのため、読み様によっては、「後出しジャンケン」と感じる人がいるかもしれません。
 実は、最初は私も「後出しジャンケン」の印象を受けていました。それが、「昔の『少年ドラマシリーズ』っぽいなぁ」と感じ始めた頃から気にならなくなりました。
 それについても考えてみました。そして気付いたのが、「昔の推理小説には、こういう後出しジャンケンみたいなのがあったなぁ」と言う事です。エラリー・クイーンは比較的少ないですが、アガサ・クリスティなんて結構多かったと思うのです。『アクロイド殺人事件』なんてメッチャ後出しジャンケンっぽいから、昔の「読者が選ぶ推理小説ベスト10」でも賛否両論でした。
 おそらく、「昔の『少年ドラマシリーズ』っぽいなぁ」と感じ始めた辺りから、私の中に、本作から古き良き時代と似たものを感じる感覚が発生したのだと思います。そして、それが昔の推理小説の記憶と結び付き、「後出しジャンケン」っぽさを感じない様にさせたのではないでしょうか。
 誤解の無い様に書いておきますが、そんなにヒドく「後出しジャンケン」な訳ではありません。そう受け止める人もいるかな…くらいな感じです。
 先述した様に、ドキドキ展開はあったとしても、基本的に明るく、読後感は爽やかです。「青春と友情に乾杯!」って気分になれますので、読んでみても損は無い作品だと思いますよ。私は。
 …と言う事で、この最終段落まで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。今日または明日、皆様が良い一日を過ごせるよう願ってます。

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