環境政策の枠組みは拡張されつつある。
その理由として、次の3点がある。
①不特定多数が加害者となる都市生活型公害や地球環境問題が対象となり、大量生産・大量消費・大量廃棄型の構造が問題視されてきたこと、
②エコロジー的近代化の流れにより環境と経済の統合的発展という方向が示されたこと、
③持続可能な発展という概念が提示され、環境・経済・社会という3つの側面への配慮が規範となり、環境政策もそれへの対応が求められたこと、
拡張された環境政策には、環境問題と社会・経済問題の同時解決(環境と経済・社会の統合的発展)を図る「連環政策(統合発展的環境政策)」と、環境問題と社会・経済問題の根幹にある構造の改善を図る「根幹政策(構造的環境政策)」がある。
従来の環境政策に膠着感があり、新機軸を打ち出ししにくい状況にあるなか、連環政策と根幹政策を環境政策として位置づけ、環境面から持続可能な社会への転換を目指す政策を進めることが期待される。
なお、連環政策にせよ、根幹政策にせよ、政策分野縦割りで運用される行政システムにおいては機能しにくい面がある。分野横断的な環境政策を進める行政内の位置づけを確保するため、これを環境基本計画等で明示するとともに、実行を担保するための仕組みの整備と適正な人材の配置が必要である。