サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

浜松市になった山村その4 ~春野レポート提案編

2008年04月21日 | 環境と森林・林業
1.春野町の資源は、例えば次のように豊富だ。

・「すみれの花咲く頃」を作詞した白井鉄蔵氏の出身地であり、宝塚との交流があった。記念館もある。

・そもそもすみれが多い。すみれ祭りがあるなど、地域の園芸文化にも注目。

・王子製紙があった、木材パルプ発祥の地であること。

・世界一のお茶(コンクールで受賞)をはじめ、集落ごとに有機のお茶など、工夫されたお茶があること。

・火の神様である秋葉山とそれに続く秋葉街道がある。入込客数は年間60万人程度。秋葉山は、全国的に有名な鎮火の神様で、秋葉原も、春野の秋葉原にあやかった地名である。
 
・自然薯や山根の甘露煮、鹿料理など、山の幸、川の幸が豊富。

・天狗の大きなお面が観光名所になるなど、天狗の里である。


 なお、次の点は、地域の大事な資源であるが、今後の展開に課題を残している。

・高校生集団宿泊施設として、「春野山の学校」がある。ただし、昨年度閉鎖され、現在、NPOでの運営委託に移行中。

・電源開発が春野町に風力発電を建設する予定。アセスメント等で遅れているが、完成したとき、中心地からも風車がつらなる景色がみえることになる(風車については、生態系影響を危惧する声もあるらしい)。


2.課題と展開方向を次のように考える。

・商工会議所も天竜区で合併したこともあり、春野という地域として、まとまった地域づくりがしにくいこと。春野を語る想いや夢は一杯だが、個人個人がばらばらでは、ターゲットとなる都市住民・消費者に伝わりにくい。

・地域づくりは、自分たちの思いだけでなく、ターゲットを設定し、そのニーズを把握し、それに応える広報戦略や商品・サービス開発を行うことが重要である。

・ターゲットとして、秋葉山への入込客に地域におりてもらい、地域を周遊してもらうこと、あるいは秋葉つながりで、東京市場をターゲットに地域を売り出すことなどが考えられる。名古屋市場も考えられる。

・春野という地名は、「自然的楽園」にちなむもの。「はままつ春野ブランド」はそれなりにイメージ力を持つ。商工会はいうように、かつて成功させて宅配便だけでなく、地域でのエコツアー、うなぎをイメージした元気ツアー、山村留学など、ソフトも組み合わせた、消費者を会員として囲い込む戦略も考えられる。

・物議をかもし出している風力発電あるが、その設置を契機に、地域づくりが展開できないだろうか。自然エネルギーのまちとして、風車、バイオマスエネルギー利用を進め、地球環境問題の貢献と地域経済の活性化を両立させていく地域づくりを進めることが考えられる。

注1)
秋葉原にある秋葉神社とは、明治初期(明治2年)に起こった大火事の後にこの地に立てられた神社のことをさす。元々は「鎮火社」という、防火祈願の神社で、皇居紅葉山から勧請された三体の鎮火の神さまを祭っていたようだが、当時の東京(江戸)では防火の神さまといえば、遠州秋葉山(静岡県春野町)の秋葉権現が有名であったために、防火祈願の神社であると言うことより秋葉神社という名前が広がった。
鎮火社の俗称が広まると共に、火災によってできた秋葉神社周辺の名称も秋葉ヶ原・秋葉の原という名前でも呼ばれはじめていたようだ。鎮火社は明治21年に移転し、跡地が国鉄に払い下げられるが、その後、駅の完成と共にこの地の名前が秋葉原となる。つまり、秋葉原の地名の由来は、遠く離れた静岡県の秋葉山(秋葉山本宮秋葉神社)にある。

注2)
春野森の学校は、約43㌶の広大な敷地に宿泊棟が10棟あって、収容人員は最大500人。県から市が借り受けてNPOが活用する形で、市は活用策を検討している。 事業の候補として挙がっているのは、国の「子ども農山漁村交流プロジェクト」の受け入れや森林環境教育事業、アウトドア・スポーツ・文化事業など。周辺の山のトレッキングや田舎暮らし体験などが考えられ、農家レストラン開店の可能性なども追求するとのこと(NPO天竜川・杣人の会HPより)。

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