サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

風土セラピー

2008年08月22日 | 環境と森林・林業
 数年前に森林セラピーを体験した。岐阜県が実験的に実施していたもので、本格的なものとはいえないかも知れないが、効果を実感できた。

 コースは、道の駅のようなところから、滝のあるところまで往復するもので、片道1時間くらいだっただろうか。

 途中にカツラの木があった。秋深い頃で、落ち葉から木の葉の香りがたつ。かなり遠くからでも、それとわかる香りだ。

 滝も小ぶりでよかった。この実験では、体験前後に顔写真をとり、表情の変化の証拠とする。一時的な体験だけでなく、写真が記念のお土産となる。

 さて、その後。

 急いで東京に帰るスケジュール。タクシーにのり、電車にのり、缶ビールで乾杯。気分は、東京で仕事をしている時に引き戻される。さきほどまでの森の中での体験は、すっかり払拭され、反動で疲れを感じてしまう

 この体験のあと、森林セラピーだけでなく、その前後の体験、食事とか、温泉とか、ゆったりと時間をすごせるようなトータルの体験デザインが必要だと考えるようになった。

 つまり、森林セラピーならぬ、風土セラピーが必要である。

 風土セラピーでは、その土地にある、よいものをまるごと体験してもらう。身土不二という言葉があるが、その土地でできたものが、その土地で食するにはふさわしい。。

 そして、土地の地形に即して流れる水、大気の動きを感じる。土地に育つ植物は、動物といった、生命をいつくしむ。その土地を愛する人々と語らう。そんな風土そのものの体験により、セラピー効果を最大限に発揮するのではないだろうか。

 セラピーとは、そもそも人間本来の持つ自然治癒力を高めることである。人間本来の居場所において、人間本来の力が高まるのではないか。

 地域づくりの観点からいうと、風土セラピーを提供するためには、地域の多様な産業の参加が必要である。林業、農業、水産業、宿泊業、運送業、軽工業、あるいは建設業などである。地域内の産業連鎖をもたらし、地域を活性化させるテーマとしても、風土セラピーは魅力的である。


 
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