環境問題や環境政策をなぜ学ばなければいけないのだろうか。学ぶ必要性を感じていないと、学びは受動的になってしまう。学びにとっては、面白い、ワクワクするという知的好奇心が大事である。しかし、環境問題という人の生命や基本的人権の侵害に関わるような問題を学ぶにあたっては、それだけを学ぶ動機とするわけにはいかない。
環境問題や環境政策を学ぶ必要性(理由)として、9つの側面を図に示し、以下に説明する。あなたはどの必要性(理由)を感じるだろうか。学びとは考え方(枠組み)の変化である。本書を通じた学びにより、あなたが9つの側面を理解し、あなた自身の考え方(枠組み)が変化すれば、あなたの学習がなされたことになる。
【環境問題や環境政策を学ぶ9つの必要性(理由)】
- 今の社会や自分や家族の暮らしを維持し、守っていくことが必要であり、そのために環境問題を解決する必要があるから(慣性の維持)
- 環境問題は、人類あるいは自分にとって存続や生命・基本的人権を損なう非常事態であり、それを回避する必要があるから(非常事態の回避)
- 便利で快適な暮らしをしていることが環境問題の原因であり、私自身が環境問題の加害者であり、解決に向けた責任があるから(加害者の責任)
- 私は生まれながら、自然とふれあい、エコライフに慣れ親しんできており、それを大切にしたいから(天然の感性)
- 環境問題を通じて、自然や人を大切にし、自分も成長していくことができるから(より良き生き方)
- 環境問題の解決で損や負担をする人と、得をして楽をする人がおり、その利害調整をすることが必要であるから(利害の調整)
- 法制度や社会的な通念として、環境への取組みが求められており、それを知ることが必要であるから(規範の遵守)
- 環境問題は開発途上国の人々や高齢者や子ども、心身障がい者等の弱者に深刻であり、弱者を守る必要があるから(正義の実現)
- 社会経済の構造、生活様式、土地利用等といった根本を変えることが、環境問題のみならず社会経済の問題の解決につながるから(根本の解決)