日立製作所が、神奈川県秦野市でITエコ実験村を始めた。
私は、日立製作所の情報通信社が、生物多様性のCOP10の年にあたり、何をすべきか検討している段階で、いろいろと提案をさせていただいた。1年ほど前のことである。
最初は森林づくりをしたいという着想で、場所を探したいということだった。しかし、森林づくりといてもまとまった森林を企業単独で探すのは難しい、また森林づくりを現地で協働するパートナー探しが重要であるという観点から、県の法人の森や林野庁の山村再生支援センターの仲介を得ることも提案した。
日立製作所のサーバー製造工場がある秦野市の紹介で土地を探すことになり、何箇所かの視察に同行させていただいた。しかし、森林となると市街地を離れた山間に入るしかなく、アクセスが悪い。そこで、里山ではどうかとなり、里山関連のNPOが活動する場所を視察することになった。
出会ったのが、耕作放棄された谷津田と周辺の里山だった。テレビでおなじみのダッシュ村のように、水があり、多様な生物があり、人と自然とのふれあいがある。秦野市では、生き物ふれあいの里という、地権者とNPOの提携により、耕作放棄地をビオトープとして整備する制度も持っている。その協働関係に企業が参加することも可能だという。
そうして、場所が決まった。地権者の理解があり、谷津田があり、里山があり、行政が新たなに生き物ふれあいの里として整備する予定の場所であった。秦野市内を自然観察のフィールドとしている東海大学との連携関係も築かれた。
IT技術と東海大学の手による生物多様性のモニタリング、復田とビオトープの整備といった事業が立ち上がる。
自然生態系の様々な生物のつながりの観察を通じて、生物と人の出会い、そして関係する人々の出会いがあるだろう。何を紡ぎだしてくれるだろうか。注目したい。
ITエコ実験村のホームページ