サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

人間勝手な生物多様性 ~みつばちNPOに学ぶ

2010年05月23日 | 生物多様性・自然保全
JICAの研修で、「生物多様性と地域づくり」をテーマに講義を依頼された。

毎年やっている地域資源の話の焼き直しでいいからと言われても、本人は同じ話では面白くない。少し考えたり、調べたりしてみるかと思い立った。


まず、「生物多様性と地域づくり」で何をいいたいか?

プレック研究所の部長会の最中、あまりに話が長いので、眠気覚ましに少し考えた。

・特定生物の保護のためには、それを支える生態系の保全が重要。
・生態系には原生的なものだけでなく、人為の関与で形成された二次的自然がある。
・人の暮らしや生業の変化(近代化)は、二次的自然に対する人の関与を変化させ、そして生物多様性を劣化させた。
・つまり、生物多様性の問題解決のためには、人の暮らしや生業の変化を問い直すことが必要である。
・人の暮らしや生業の変化に起因する問題は、生物多様性だけではない。問題の根っこは同じ。
・生物多様性をテーマにした地域づくりにおいても、問題の根っこの問い直しに迫るものでなければならない。


こんなところだろうか。次にこれらのコンセプトを事例をもとに伝えたい。どのような事例があるかを考えた。

里山、森林認証、食のリサイクルループ、生き物シンボルの地域づくり等がいいだろう。ただ、JICAの研修テーマは、「都市における生物多様性」というテーマなので、都市での活動事例が欲しい。

思いついたのは、銀座でやっているミツバチだ。大都市の真ん中にも自然があり、生物との共存がある、いい話にみえる。


そこで、地元学の朝田さんにヒアリングを依頼した。朝田さんから以前、みつばちをテーマにした「NPOみつばち百花」を立ち上げ、力を入れているという話を聞いたからだ。確か、国分寺で活動をしている、近所だし、ガーデニングが趣味の私も、何か参加できることがあるかも知れない。

朝田さんが待ち合わせに指定してくれのたのは、国分寺の「カフェスロー」。その店の近くに、巣箱を置いて、活動拠点としているからだ。

話を聞いてよかった。特に次の話が面白かった。

・銀座のミツバチの活動では、「都市は農薬が散布されていないので、ミツバチにもよい環境である」と言っているが、本当だろうか。大気汚染物質は多いだろうし、風も強い。ミツバチは本能で蜜をなんとか集めているが、「ぜーぜー」言っていて、寿命も短いのではないだろうか。

・地元学をずっとやっていて、地域活性化に役立つものを探す宝探しになってきたことに違和感を持ってきた。人間の目線でなく、ミツバチの目線でやる地元学が面白いと思っている。

・ミツバチを真ん中におくとと、ハチミツや花が好きな人は多いから、活動がしやすくなる。ただ、ミツバチを飼いさえすれば、生物多様性に貢献というのはおかしい。ミツバチを通じて、ミツバチと生態系の関係の真実を問い直すことが大事だ。


問題の根っこをしっかりと見据えた「NPOみつばち百花」の活動に、今後も期待したい。

NPOみつばち百花:
 http://bee-happy.jp/

カフェスロー
 http://www.cafeslow.com/
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