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環境未来都市、スマートシティ、あるいは環境モデル都市、低炭素都市が全国各地で、あるいは世界各地ですすめられている。これらは、エネルギーの枯渇や地球温暖化、少子高齢化による縮小といった未来に向けた長期的な問題を都市全体として解決しようとする取り組みである。
未来に向けた都市づくりは、人間活動の生存を危ぶむ制約を解消するだけでなく、より幸福な暮らしや新たなビジネスチャンスを見出そうという思惑をもって取り組まれている。時代を振り返れば、日本の産業は、環境やエネルギーの問題を克服することで、国際競争力を高めた。1970年代の2度のオイルショックは省エネルギー技術を高めた。自動車への厳しい排出ガス規制にいち早く対応することで、環境性能が高い自動車は世界各国で高いシェアを獲得してきた。そして、環境未来都市やスマートシティづくりも、環境に配慮することで産業を活性化させるというこれまでの成功体験を再現しようとするものだ。
しかし、よく考えてみたい。グリーンイノベーションや環境と経済の統合的発展等といわれるが、そんなに上手くいくのだろうか。
省エネ家電製品への買い替え促進を促したエコポイント制度は、今まで使っていた環境性能の悪い家電製品を省エネ家電に替えることで、エネルギーの消費節約、二酸化炭素の排出削減の効果をあげた。また、家電製品の売り上げを伸ばし、景気対策になった。その結果。日本の電器メーカーの業績は低迷し、エコポイントによる景気対策は焼石の水である。そればかりか、本当に行うべき企業イノベーションを先送りしているようにも見える。 はたまた、原子力発電所からの脱却をめざし、再生可能エネルギーが期待されているが、再生可能エネルギーさえ、設置が進めば、問題は解決するのだろうか。かつては、石炭を使うことが森林を伐採して木材を利用することよりも、環境配慮であるとみられた時代もある。良かれと思って進める再生可能エネルギーも、導入の仕方に配慮が欠けると、想定外の過ちも発生しそうである。等々。
本書は、環境未来都市やスマートシティに、よりよいビジネス・チャンスを見出していただきたいという思いで作成した。
まず、本書のプロローグでは、2030年の成功した都市の姿をある家族の暮らしを通じて、描きだす。2030年には環境未来都市あるいはスマートシティに取り組みながらも、成功する都市もあれば、成功できない都市もあると想定している。次いで、現在進められている環境未来都市やスマートシティの動向を紹介し、それらの死角を指摘する。そのうえで、あるべき都市をサステナブル・シティと称し、その取り組みの具体像を事例やビジネスへのヒントを交えて、紹介する。
本書を入口にして、一人でも多くの方が未来に向けた都市づくりに関心や意欲を高めていただくことを願う。
出版社からの紹介・注文先: http://www.chukei.co.jp/business/detail.php?id=9784806145653