サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

バイオ燃料の地産地消

2009年07月26日 | 環境と経済・ビジネス
滋賀県は、菜の花プロジェクトの発祥の地。特に、愛東町では、休耕田を利用した菜の花栽培→菜種油の利用→廃食油の回収→BDF化→自動車利用といったサイクルを地域で循らせるビジョンを示し、全国に菜の花プロジェクトのネットワークを拡大させた。

代表の藤井さんに話を聞いたことがある。菜の花プロジェクトでは、菜の花栽培を活かし、菜の花畑を景観として見せるような取組みは比較的うまく行っているが、BDFの取組はうまくできていないところが多いという。

私が今回たずねたのは、愛東町に隣接する豊郷町で、BDF事業を成功させている油藤商事さん。廃食油の回収ネットワークを滋賀県全域に巡らせ、400L/日のBDFプラントを稼動させている。東に染谷商店があれば、西に油藤商事ありという存在だ。

油藤商事は、もともと地域で油を売っていた老舗で、最近ではガソリンスタンド、LPガス、配管工事の3つを事業の柱としてきた。BDFは4本めに育ってきている。

各地のBDF事業が苦労している中、なぜ青山さんは事業を成功させたか。

それは、多様な主体とのコラボレーションを、互酬性にある形で実現してきたからに他ならない。連携の相手は、JA、企業、牛乳配達と新聞配達屋さん、大学など数多。新聞配達では、バイクの二酸化炭素排出量を相殺するためにバイオ燃料を使うというオフセットの考え方だという。

集め、作り、使ってもらう循環の輪を、たくさん作ってきている。

油藤商事がBDF事業を開始したのは、専務理事の青山さんの想いがあったから。青山さんは、油屋の後を継ぎながらも、NPO活動を好きでやっていた。しかし、仕事とNPO活動の両立が難しくなり、仕事の中にNPO活動を持ち込もうと考えたという。

また、ガソリンスタンド業界の将来を考えると、何かをしなければと危機感があったという。スロービジネスという考え方、あるいは近江商人の「三方よし」の教えが理論武装となり、BDF事業のコンセプトを確立させている。

私は、環境コミュニティ・ビジネスの教科書をつくるため、全国各地の事例を調査してきた。そうした中、工務店や商店街など、もともと生活圏や地域密着の市場で商いを行うビジネスが、環境をテーマにしてきていることを知った。ガソリンスタンドもまた、地域市場の商いである。全国に4万ヶ所もあるガソリンスタンドが、地域内の循環の拠点となっていくことができれば、すごいことだ。
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