浜松市での「まち×もり=∞」シンポジウムは、500名のホールが満席となる大盛況であった。
森側の住民だけでなく、街の住民も多く、山村と一体となった新浜松市の新たな一歩を記したのではないだろうか。
小説家・三浦しをんさんと速見さんのトークセッションでは、三ケ日みかんジュースで乾杯したり、くつろいだ雰囲気で楽しい語りとなった。
三浦さんの「神去なあなあ日常」という小説を事前に読んだ。何十年、何百年という時間スケールで木を育てる林業の、他の産業にない、粘り強さ、かっこ良さを、才能あふれる文章で表現している、素敵な小説だ。
林業と比べると農業のサイクルは早い。収穫の悦びも得やすい。しかし、林業は違う。伐採する木は、先祖が植えた木である。代々、受け継ぎ、受け渡すという重みがある。
パネラーの一人、東京大学演習林の蔵治先生は、「地球温暖化と林業との関係」を問われ、次のように応えてくれた。
「地球温暖化の原因は、大量生産・大量消費、グローバル化等という現代文明のひずみにある。大きなスケールの、ゆったりとした自然との関わりを取り戻すことが必要だ。そうした観点から、林業の大事さを見直すことが大事だ。」
そう、森林の更新することで、二酸化炭素の吸収能を高めたり、地場材を使うことで、木材の輸送過程での二酸化炭素排出量が少ないとというのは、表層的なことだ。
大きな循環としての林業をきちんと廻す社会、大きな循環を消費者が意識する社会をつくっていけたら、素敵だ!