サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

浜松市になった山村その2 ~水窪レポート

2008年04月16日 | 環境と森林・林業
水窪では、元議員でラーメン屋さんの富永さんと、元教師で、キャンプ場「マロニエの里」の指定管理者となっているNPOの袴田さんにお会いした。

登山が好きで、水窪を訪れた夫婦が、還暦を越えて、移住し、始めた定食屋さんで、200円のラーメンで腹ごしらえ。鈴木議員は、300円の日替わり定食を注文した。

富永さんと袴田さんの構想は、廃校になった西浦小学校を利用し、森の学校という体験教室を立ち上げること。すでにNPO法人格取得は申請し、小学校の利用許可を交渉中。

森の学校は、水窪での様々な体験の基地となる。例えば、西浦小学校の近くには、カタクリの里がある。ちょうど、見ごろの時期だが、うつむき加減に咲くカタクリの花は、手鏡に写して観察する。

カタクリの里の入り口には、カキの貝殻の化石がおいてあった。このあたりは大昔、海底でそこが隆起したのだ。近くには縄文の遺跡がある。人が古くから住んだ場所でもある。

さらに山間に入り、大野のヤマサクラを見る。分校跡のはりつく古木は、台風にやられ、傷んでいるが、小さい花を一面にまとい、春を謳歌している。でも、保存樹木指定や折れた枝の手入れ、根元の柵の設置等がされていない

大野の集落も斜面に張り付いているが、さらに日本のチベットと呼ばれていたのが、草木という集落である。ここには、300円の日替わり定食屋さんで、偶然一緒になった女性が暮らしている。富永さんが、定食屋で、月桂樹がゴキブリよけにいいと話をして、欲しいというので、その苗を届けにきた。

なぜ、このような斜面で、暮らしにくそうなところに移住したのか。女性は、祖母の縁があったことと、景色のよさだと言った。犬が2匹いた。先日、イノシシを捕まえて、食べていたという。見事な番犬が守ってくれるおかげもあるだろう。

水窪には、廃村になりそうな集落が実に多い。例えば、大野の集落は、昭和6年に250名だったが、平成12年には49名になっている。草木という集落は、昭和6年に524名だったが、平成12年には42名である。今はもっと少ないだろう。

さて、この水窪への勝手な提案。限られた情報を前提にしているので、その点はご容赦。


1.地域の伝統文化などの地元学による編纂

・アワ、ヒエ、キビなどの雑穀料理などの伝統食がある。伝統食専門の店もある。このほか、民俗学あるいは考古学的なおもしろさが、この地域のふんだんにある。郷土史研究はもちろんなされているだろうが、今、伝統を語り、体現している人々に話しを聞き取り、整理しておく、丁寧な作業が必要だろう。
・例えば、集落ごとに、住民とともに、地元学を実施する。その成果は、森の学校で行う体験プログラムに活用することができるだろう。

2.水窪の中心街の景観保全

・水窪の中心街は、南信州と遠州を結ぶ街道の宿場町である。細い道をはさみ、木造家屋が寄り添い、連なっている。
・景観条例による保全措置等はとられていないという。浜松市全体で景観計画をつくり、その中で、水窪中心街を景観整備重点地区に設定し、景観のルールづくりを徹底させていくことが考えられる。

3.その他

・空屋や廃校を利用したUJIターン支援
  (UJIターンの受け入れ窓口、支援体制などの整備) 

・地域資源ガイドの育成とエコツーリズム

・外部人材を巻き込みながら、水窪体験イベントの開催

・山の中で地球温暖化の影響を調べる体験プログラム


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 浜松市になった山村 ~水窪... | トップ | 浜松市になった山村その3 ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

環境と森林・林業」カテゴリの最新記事