白珠だより

札幌にて美人画と武者絵を扱っております白珠画廊のブログです。

イルカは歌う

2010-03-17 | 取り扱い作品のご紹介
   夕べ夢の中に雪が降りました。大きな牡丹雪でした。ふうっと目が覚めて
   窓の向うをこっそり覗いてみると静かに雪明りの街が広がっていました。
   夢に降る雪も本当に降る雪もどちらも人の心に積もった塵を覆って消し去ってくれる ように思われます。


   朝になってどのくらい積もったのかしらとカーテンを引いて見ると
   ふんわりと残り雪の上にのっかっているだけで、お昼には降った分だけ消えてしまいました。

   落ちてはとける雪・・・淡雪・・・春の雪は降る時をきちんと知っています。


♪汽車を待つ君の横で僕は時計を気にしている~ラジオから流れてきました。

   日本の早春を代表する曲です。

今はもう汽車の風景はありません。でも人の心の風景は昔も今も変わりはありません。
なごり雪、別れ雪、忘れ雪、恋の淡雪、春の雪は様々な心模様を包んでいます。

降っては消え落ちてはとける季節の中で、人は誰かを見送り誰かに見送られる、
そんなことを繰り替えしながら本当の春に出会うのではないでしょうか。

♪いま、春が来て 君はきれいになった 去年よりずっときれいになった・・・イルカは歌います。

        今日の一枚の絵    「春乃雪」  宮下柚葵    肉筆


                          s・y