白珠だより

札幌にて美人画と武者絵を扱っております白珠画廊のブログです。

聴こえるでしょう?

2010-09-21 | 画廊の様子
ポプラの枝が空いっぱいにざわざわ揺れています。
唐黍畑の向うから香ばしい匂いがふわりと漂ってきます。
クローバの原っぱはそよそよと波を立てて行ったり来り。
それから子供達の丸い頬をちょんと突っついて行くのは誰かしら。
姿は見えないけれど耳を澄ますとトントン、ぴゆうぴゆう
カタカタ、ふうふうと不思議な音が聴こえてきます。
誰かいたずらっこがいるみたい。

ふうっと一吹きで命を与えたり奪ったり、天と地の人々を
繋いだりするのがアイオロス、ギリシャ神話の風の神さまです。
髭のない男が頬をぷうっと膨らませラッパを吹いている姿で
描かれています。顔だけで体は持っていません。
アイオロスは人々の耳元でさまざまな言葉を囁きます。
何をですって?
それは貴方だけのひみつです。


今日の一枚   「風ことば」  木版      中島 潔
      私はこの絵を眺めていると次の歌を思い出します。
                        s・y

    誰が風を見たでしょう 
    僕もあなたも見やしない
    けれど木の葉をふるわせて
    風はとおりぬけてゆく 

    誰が風を見たでしょう
    あなたも僕も見やしない
    けれど樹立が頭を下げて
    風は通り過ぎてゆく    
        
   Who has seen the wind?
           Christina Rossetti (1830~96)   

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