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近江・村雨城 土の城なのに遺構が完璧に残り見どころが多い

2018-08-19 | 歴史
村雨城は甲賀市甲南町にあり、遺構がほぼ完全に残る土の城で国指定史跡になっています。
新名神高速道路の甲南ICの北側の至近距離にあり、訪れやすいのに見どころが多い内容豊富な遺構の見学会が楽しめました。写真は過日の城郭研究家 長谷川博美先生の解説による見学会に参加したときのものです。



主郭と副郭の複郭式城郭を堀切と土塁、横矢掛の防御で固めている
村雨城は甲賀郡中惣遺跡群の一つとされます。郡中惣は甲賀郡の小領主の平等な連合体の自治組織とされ、成立は織田信長の近江侵攻の頃とされるが、それ以前は六角氏の配下とされることもあるようです。

主郭の平坦面、主郭を囲む土塁と北虎口
主郭は甲賀の城の基本である1片約50mの方形で、四方の土塁遺構が残っていました。虎口も北と西に開いていて、竪堀や堀切で厳重に防御されています。主郭土塁の北西隅は櫓台と見える面積が確保されていました。

主郭南下の堀切と土橋 解説する長谷川博美先生
土塁は主郭の南側土塁で、土塁の外側には堀切を設けて防御性を高めています。土橋は城の外郭の城域に通じていました。村雨城は、大きく見ると内郭と外郭の二重構造だったと解説がありました。

主郭北側の土塁、虎口、堀切
主郭の北には寺前城が隣接していますが、この方面にも厳重な防御が施されています。村雨城と寺前城が各々独立した城と見る説は、こういったところから出ているのでしょう。
 土塁の左端下からも城道があり、北虎口と併せて「並び虎口」の機能だった可能性があるという解説がありました。

北大堀切で解説を聞く
主郭の北側には大きな堀切(北大堀切)が築かれていました。

村雨城は高速道路からのアクセスが極めて良く、遺構がしっかり残っていて、長谷川先生の詳細な資料と解説もあって中身の濃い見学ができ大満足の城でした。