*****ご注意!!!一部ネタバレの可能性があります!*****
清原果耶主演でTVドラマ化された 城塚翡翠シリーズの2作目
倒叙(とうじょ)とは犯人側の視点で描かれるストーリーのことで、「刑事コロンボ」や「古畑任三郎」が代表例です。
作品冒頭で犯人が事件を犯す場面があり、読者(視聴者)は犯人が分かっている状態でストーリーを読み進めます。
名探偵(コロンボや古畑)が推理力と犯人との駆け引きで事件の解決するのですが、犯人が捕まらない方策をどうとっているか、どうやって嫌疑から逃れようとしているのか、という描写に面白さがあり、ミステリーのジャンルの1つとされています。
本書には3つのストーリーが掲載
・雲上の晴れ間
・泡沫の審判
・信用ならない目撃者
それぞれに独立して、城塚翡翠が解決する点だけが共通しているが、3つの話に接点はない。
犯人の尻尾を掴むための、犯人との騙し合いは見応えある。
取り繕い、嫌疑を晴らそうとする犯人に対し、翡翠の容赦ない追い込み方は時に犯人が気の毒になることも。
前作は主人公翡翠のミステリアスな部分が多かったが、本作では相手を誘導するために霊感があるふり、ドジっ子のふり等演技力が秀でていて、計算された振舞いと描かれいる。
それも全て、翡翠が殺人を犯す人を許せないからだとしているが、その理由と翡翠の過去については明らかにされていない。
次作でその辺りが明らかになるのかな?
泡沫の審判のみ 小説現代 2021年1月号初出
他は書き下ろし
2021年7月5日第1刷発行
カバーイラスト 遠田志帆
ブックデザイン 坂野公一
カバーイラスト 遠田志帆
ブックデザイン 坂野公一