パンダの親指
シャンシャンが中国に行ってしまった。テレビのニュースで見ると,大勢のファンが見送り,涙を流している人も多かった。
レッサーパンダやコアラなど可愛い動物はたくさんいるのに,なんでジャイアントパンダ(以下パンダと略す)はこんなに人気があるのだろう。
考えるに,希少性があり,ゆったりとして悠々迫らない動作が,多くの人に癒しを与えるのではなかろうか。
パンダは食肉目クマ科ジャイアントパンダ属に分類されている。この属にいるのはパンダだけで,1属1種である。
もっぱら竹の類を餌にし,1日10時間余りを座り込んで竹を噛んで過ごしている。両方の前足で器用に竹を握り,しごいたり口に運んだりしている。
この握るという動作は,向かい合った指が必要で,哺乳動物では霊長類の専売特許で,この動作が備わっているから人類は進化したとされている。
この握るという動作が,なぜクマの仲間でパンダだけにあるのか,子供の時からパンダが大好きだった著名な進化学者S・J・グールド(元ハーバード大学教授,故人)の著書『パンダの親指 進化論再考 (上)』(早川書房 1986年)にその理由が詳細に書かれている。
S・J・グールド『パンダの親指(上)』より複写
グールドはパンダの前足を調べ,指が6本あるのに驚いた。この6本目の指はどうやってできたのか。カナダの動物解剖学者D・D・デーヴィスの書いたモノグラフに,その解答を見つけた。
パンダの親指らしく見える構造物は,解剖学的には指ではない。普通は手首の小さい構成要素である撓側種子骨(トウソクシュシコツ)が異常に発達し,盛り上がった肉趾の芯になって指の役割を果たしているのである。この偽親指には,元々種子骨にくっついていた小さな筋肉も一緒に大きくなり,”指”の動きを司っている。
パンダはクマの仲間と共通の祖先から進化してきたものであり,その祖先には5本の指が備わっていたと考えられる。パンダだけが6本目の指を新しく備えるよりも,すでに存在するものを利用したほうが,進化のコストは少なくて済むということである。
パンダの親指はそうした進化の具体例なのだ。
お元気で,シャンシャン!
梅は咲いたか桜はまだかいな
阿見町にて2月22日撮影
STOP WAR!
パンダが竹を握って食事をするのは見ていましたが、6本目の指に相当するモノが有るとは初めて教えて頂きました。お元気で,シャンシャン!
近所の梅は、満開です!桜は一つ月後かな。
ただ見ているのみでしたが山人さんのブログにて多くの事を知る事が出来ました。有難うございました。
シャンシャンを多くの人が成田空港迄見送りに行っている映像を目にし驚きました。偕楽園の観梅の事が思い出されました。東京の桜開花予想は3月19日の様
ですね。