絵画指導 菅野公夫のブログ

大好きな絵とともに生きてます

浦和のHさん 水彩風景

2014-08-16 | 通信指導
埼玉県展がきっかけで、知り合った浦和のHさんが、水彩の風景画をみせてくれました。



浦和なので、通信でと思いましたが、直接会って指導してほしいと言われたので、
月に二回お会いして、アドバイスをしています。

まだ、薄塗の水彩画なので、絵が軽いのですが、これはなかなかいい感じで描けました。

水際のカーブがやや単調です。
地面から木が生えていることを考えると、水際の表現が大切になります。
ここが曖昧だと、水の中から木が生えているのかと思われてしまいます。
しかし、だからと言って、がっちり地面が感じるのがいいかと言うとそうでもありません。
最低限、水と地面の違いを感じさせることが必要ですが、このやわらかい空気を崩したくありません。とてもよい感じで描けています。

もう一つ、私は常に考えるのですが、地平線の問題です。
この木々を取り除いた時、地平線はどこになるかという問題です。
それを意識するかしないかで、風景が安定するかしないかに関わります。
木々の間から見える後ろの空間は、靄がかかったような明るさで、よく空間が描けています。
しかし、そのどこかに地平線を思わせる水平さを含ませて置きたいです。
水際のカーブが右下がりになっているため、絵が曲がって感じないように水平を持たせたいのです。左側の植物の塊も理想的には、水際のラインをもう少し下げたい気がします。
暗いので、それが水にも写って分かり難いですが、そのためにあまり気にならないとも言えますが、この状態は、右から来る水際のラインとつながりすぎています。

また、この状態はまだ描きっぱなしという感じがしますので、これをしっかりした絵画にするには、
以上上げた問題を解決することと、絵の具の厚みの問題があります。

水面の明るさと空の明るさを微妙に差をつけることを考えると良いでしょう。
水で薄めた絵具という感じではなく、もっと深い表現を求めたいです。
薄く塗っても深く描ける人は良いのですが、多くの人は、薄塗で軽い安っぽい表現になりがちです。それを克服するには、厚く塗ることです。
厚く塗ると、自然に絵の具が絡んで、微妙な味が出ます。

不透明になって水彩画らしい瑞々しさがなくなると思う人がいますが、
深い表現を一度覚えないと、いつまでも素人っぽさから抜け出せません。


コメント
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